焙煎デュカについて
最初に出来たけど商品No.2
試食販売でも店頭販売でも通販でもダントツの人気を誇るのがこの「焙煎デュカ」。商品ナンバー「2」となっていますが、実は一番最初に出来た商品です。
飛騨スパイスカレー研究所を構成する3人のメンバーで、まず僕らが最初に出す商品はやっぱり「ガラムマサラ」でなくてはならない…と決めていました。メンバーの1人が運営するカフェの閉店後に夜な夜な集まり、スパイスの変数の沼にどっぷり浸かり収集がつかなくってしまっていました。
主軸で開発から製造を担当する僕も家で色々とチャレンジするのですが、唐辛子を入れるため、どうやったって1日に試作できるのは2−3種類。後半に行くほど味がわかりません…。再現性のことも考えるとキッチンスケールで正確に測れる分量のスパイスで作るので、かなりの量が出来てしまいます…
こんなふうに焙煎デュカは生まれました
そんな時にふと思い出したのが「デュカ」というエジプトのミックススパイス。ナッツとクミンの香りが印象的でした。始めて食べたときはその程度の印象だったのでレシピを調べたりすることもありませんでしたが、スパイスの変数の沼にハマりあがいていたまさにこの時に蜘蛛の糸のようにおりてきたのがこの「デュカ」の記憶でした。
色々調べてみると「エジプト」で生まれた「ヘーゼルナッツ、クミン、コリアンダー、塩」などで作ったミックススパイスであること。
がわかりました。
「これはある程度型が決まっているし、材料もすべて揃っているから息抜きに作ってみよう」
と挑んだのが、まさに「焙煎デュカ」が生まれる瞬間でした。
見立てる楽しさ
「焙煎デュカ」のレシピを想像する時に見えた画があります。
代々木上原にあるイタリアンレストラン「コンチェルト」で11年くらい前にランチで食べたサラダ。
蒸したり素揚げした野菜の周りに細かく砕いて塩と一緒に焙煎されたナッツやキノコのフレークが散らしてあり、まるで畑の土の上に野菜が育っているような一皿で、その粋な盛り付けに息を呑んだものです。
その後、僕もこれを真似して料理の盛り付けの際には畑の土を見立ててよく作るようになっていました。
そんな記憶が思い起こされて、いつの間にか「デュカ」を試作することよりも皿の上でどの様に土に見立てるか?に注力していました。
これが白いキャンパスに画を描いていくような作業でとてもおもしろい。
気付いたら夢中になって選んだスパイスを焙煎していました。
作業中頭にあった一つのストーリーがあります。
「土の中に様々な種があってそれらのお陰で食材が出来てくる」
「土壌や種が健康な状態であることが重要」
そんなメッセージが浮かんできて「試作の段階ではまだ難しいけれどいつかは全てオーガニック原料で作りたい」と小さい決意が生まれました。
それからの作業は実にスムーズ。
まるで有能なプロゴルファーがコースを見てカラダがオートマチックにゴルフクラブを選択するみたいに、ナッツとスパイスを選んでいきます。
入れる原料は11種類でナッツが5種、スパイスが5種、塩1種…これは瞬間的に決まりました。「11」という数字が好きだというのが根底にあったのだと思います。
入れるナッツやスパイスは全て味や香りが異なるもの、かつ先のことを考えてオーガニック原料が存在するもの(手に入れやすいもの)で考えた結果
ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、クルミが決まり、最後の決め手になんとか日本や飛騨の食文化にローカライズしたくて炒り大豆を選びました。
そしてスパイスはちょっとした遊び心で、クミン、フェンネル、キャラウェイという見た目がほとんど同じ形のスパイスをまず選びました。これ、面白いのが、見た目は似ていても全て香りが違うのです。
そしてこの3つにない風味としてブランマスタードシードを入れて、最後の決め手はやはりコリアンダーです。
以前の記事にも書きましたが僕のスパイスカレー道はコリアンダーから始まっています。もともとデュカにはマストなスパイスなので入るのは当然なのですが、今回入っている5種のそれぞれに香りの異なるスパイスの中でもダントツに華やかな香りがこのミックススパイスの可能性を広げてくれています。
そして塩は、これはほんとに紆余曲折あったのですが、開発段階ではクリスマス島の塩を使い、海洋汚染のインパクトなどを考えた末にゲランドの塩に決めました。そして最終的にはほぼ環境汚染のインパクトを受けていない塩としてチベットの湖塩に落ち着いています。
これらを土をイメージしながら焙煎し、このデュカを敷き詰めた上に蒸し野菜や素揚げの野菜を並べて、食卓の上に畑を表現できたらステキだなと妄想して作り上げたのが「焙煎デュカ」です。
地球の大地へのリスペクトを大地を意味するterraという言葉に詰めました。
「焙煎デュカ」という和名が前面に出ていますが、実は小さく
「ROASTED DUKKAH terra」と書いてささやかな主張をしています。
…とこんなことを夢中でやっていたら、ガラムマサラよりも早く、あっという間に「焙煎デュカ」の試作が出来てしまいました。
メンバーに食べてもらうと無修正でGO!
勢いって素晴らしいですね。
時は2021年の10月。メンバーが運営するカフェのイベントで初の焙煎デュカお披露目です。メニュのチーズトーストやスパイスカレーにかけてもらったり、もちろん販売も。
オールオーガニック原材料へのシフト
それから徐々にファンが付いてきて、ちょうど1年経った時に当初のイメージの通り、全ての原材料をオーガニックに変えて今に至ります。オーガニックに変えた時に大変だったのがピスタチオ。
オーガニックでむき身のピスタチオってほぼ流通していないんです。
なので殻に入ったものを購入して手で剥いていくんですが、流石に1kgとか剥いていくとまず親指の爪がやられます…。そして一番ショッキングなのは計量すると500g…。トホホ…半分は殻ですか…。
手間も2倍、原価も2倍…です。
そしてもう一つが大豆。
オーガニック大豆は飛騨のものが手に入るのですが、オーガニックの炒り大豆も、これまたなかなか流通していません…というか流通していても高価過ぎて使えません。というわけで、コレもまた毎回大豆を水戻しして、水を切ってできるだけ乾燥させてからオーブンで1時間ほどかけて炒り大豆を作るという…
でもこのくらいで済むなら、やはりオーガニックにする価値はあります。
何しろ健康な土と種をイメージしていますからね。ココは妥協してはダメです。
飛騨スパ研スタッフ総意のオススメは餃子
そんなデュカはおかげさまでいつの間にかかなり幅広い用途で食卓を賑わせてくれているようです。
飛騨スパ研メンバー共通のオススメはもうダントツ餃子です。
餃子をひとかじりして、その断面に焙煎デュカをびっしり付けて食べるのが本当に至福の時間です。
イベントの試食の際にこの話をすると4割位の方が帰りにスーパーなどで冷凍餃子を仕入れて実際に夜やってくれます。
焼きおにぎりのビジュアルもキラーコンテンツ
イベントのお客さんが「やってみたい!」「コレ美味しそう!」と指差ししてテンション上げてくれるのが、販売時のPOPに入っている焼きおにぎりの写真。コレ、実はキャンプイベントでの訴求用に撮った写真なのですがとんでもなく美味いです。
炊きたての御飯に焙煎デュカとクリームチーズを混ぜて握ったおにぎりに醤油を塗って焚火の熾火で焼く…というもの。そのシュチュエーションだけでも美味しいですがPOPの写真は、そこに更に追い焙煎デュカをしてあります。
そうなんです。この焙煎デュカは結構がっちり塩気があるので、ご飯のふりかけにも合うんです。
朝食で活躍
我が家では結構モーニングに活躍します。
あまり朝食は食べない1日2食型の人間なのですが、結構焙煎デュカモーニングを食べたいが為に…というか写真も撮りたいが為に…朝食を食べてます。
まずはTKG(卵かけご飯)。
コレはもうヤバいです。家では炊きたての御飯に「煎酒」を垂らして、その上に生卵落とし。そして焙煎デュカをふりかけて、最後に胡麻油を数滴垂らします。もうこれは神々の食卓です。
後は目玉焼きですね。目玉焼きの半熟の部分にかけるのが定番で、家ではじゃがいものガレットの上に目玉焼きを乗せて焙煎デュカを変えて食べてます。その他チーズトーストにかけても合うので、やはり朝に活躍してます。
夕食にも活躍
もちろん夕食にも活躍します。活躍しますなんてもんじゃなく、大活躍です。
ポテトサラダにふりかけたり、ローストビーフにふりかけたり、オリーブオイルと合わせてサラダのドレッシングやお刺身のカルパッチョに。いちばん簡単なのはクリームチーズにふりかけてワインのおつまみに。
ウィスキーラバーは必見!
そしてもう料理を作るものめんどくさくて、すぐにでもウィスキーが飲みたい!という方!
コレはまさにウィスキー愛好家のお客さんに教えてもらったのですが、この焙煎デュカを舐めながら飲むウィスキーは格別です。
でもそれを更に上回るのが「ハイボールに焙煎デュカを振りかける」です。
これは全国のハイボールファンの方にはぜひやって欲しいです。
焙煎デュカのナッツはもちろん、スパイスの香りと絶妙な塩気がハイボールにピタッとフィットします。
夏場のキャンプで星を眺めながら飲む「焙煎デュカハイボール」いかがですか?
ガトーショコラにも!
最後に登場するのはデザート・おやつ。流石に甘い物には合わないでしょう〜と思いきや、コレまた合います。
オススメはガトーショコラ。チョコとナッツにスパイスと塩の組み合わせは最強です。コレはびっくりしますよ。
あとホワイトチョコレートとの相性も良いです。
嬉しい飛騨古川の老舗とのコラボ
飛騨古川にある老舗の味噌煎餅屋さん「井之廣製菓舗」さんにコラボで作っていただいた「焙煎デュカ味噌煎餅」は、自家製味噌やこだわりの卵、食材を使った味噌煎餅にホワイトチョコレートを塗ってその上に焙煎デュカを贅沢にふりかけた逸品で、日に日にファンが増えていっています。
なぜ焙煎デュカが人気なのか?
なぜ「焙煎デュカ」が人気なのか?
イベントで試食された方の50%くらいの方にご購入いただくこの焙煎デュカ。得体のしれないはずのミックススパイスの試食からの購入率50%ってすごくないですか?
そしてリピート率も高いです。
キャンプ系のイベントでお客様からよく相談されることがあります。
「有名なキャンプスパイスを買ったのですが、途中に味に飽きてしまって半分以上残っています。どうしたら消費できますか?」
流石に他所様のスパイスについてとやかく言えません。
ただ、そういったスパイスと飛騨スパ研で作るスパイスの違いは明確にわかります。
僕らの当初からのキャッチコピー
「僕らが本当に効かせたいのは塩気じゃなくてスパイスだ」
ココにすべてが詰まっています。
もちろん僕らのミックススパイスにも塩気は入っているのですが、これらは味を決めるために入っているのではなくて、スパイスの香りや風味を立たせるために入れています。
なので、焙煎デュカは料理の味を決めにいくのではなく、いつも寄り添っている感じ。
最後に噛んだスパイスで印象が変わる楽しさ
そんなことを思いながら、イベントでの試食販売をしながら行き着いた答えがあります。
「この焙煎デュカは何にでもかけちゃうんだよね。なんで飽きないんだろうね」と常連さんに言われます。
その横で初めて焙煎デュカを試食したグループがそれぞれバラバラの感想を言います。
「うん、カレーっぽい」
「そうか?俺はスーッとした感じが良いなと思ったけど」
「この花のような香りはなんですか?」
などなど。
答えが出ました。もちろんそのつもりで作ってはいましたが、言葉にしてしまうとなんだか「そんなもんだろ」と言われてしまいそうで…というか無粋かな…という思いもあって言語化していなかったのですが、今ではキラーワードになってくれているセリフがその答えです。
「焙煎デュカは全て味も香りも異なる5種類のナッツと5種類のスパイスを使っています。毎回最後に噛んだスパイスやナッツで印象が変わるんです。だから飽きないんですよ」
という、焙煎デュカ。
本当にたくさんのお客様や仲間に育てていただいています。
ありがとうございます。
でも商品ナンバーは「2」です。
商品ナンバー「1」は粗挽ガラムマサラです。それはまた今度お話しますね。
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