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【開催報告】第27回 スキマ研究会「森を考える座談会」

ひだ清見観光協会が主催する「森のマーケット」でスキマ研究会「森を考える座談会」をウッドフォーラム飛騨という緑に囲まれた会場で開催しました!

当日のウッドフォーラム飛騨内の様子

今年度最初となるスキマ研究会では「森」や「自然」をテーマに、地域内外から集まった総勢20人でお喋りしました。

前半は株式会社キタニジャパン代表取締役社長の東庄豪さんがスキマ案内人として企業として考える「森」と「自然」についてお話いただきました。

後半はご参者の皆さんと、それぞれの森や自然に対する思いを座談会形式で意見交流!

ここから先は、前半・後輩それぞれご紹介していきます!

【前半】自然と共生する企業を目指して

株式会社キタニジャパン 代表取締役社長
NPO法人フィン・ユール アート・ミュージアムクラブ理事長
東 庄豪 さん

スキマ案内人の東さんに、事業者として、森・自然をどのように捉えているか、家具作りやフィンユール邸の建設・運営にあたって、大切にしている考えをお話しいただきました。
株式会社キタニジャパンは1967年に設立し、1990年頃より高齢者福祉施設向けの家具の生産に取り組んでいます。
当時、福祉家具は北欧からの輸入がほとんどで、そのデザインや造り、機能面で満足いく作品を自社で生産することは急務であったことから、北欧デンマークに学びを求めて出向いたことがきっかけとなり、北欧の文化や自然との共生を学んできました。 
そのような中で、デンマークのデザイナーフィン・ユールがデザインし1942年に建築した自邸を、2012年にこの高山の自然の中に再現しました。

高山市の山間にあるフィン・ユール邸
NPO法人フィン・ユール アートミュージアムクラブHPより出典

北欧の家は当時から日本家屋の影響を受け、ふすまを参考にした可動式の仕切り壁や高い天井などを取り入れていたと言われます。
特に、1942年当時は第二次世界大戦の真っ只中で、照明を多用できなかったことから、フィン・ユール邸は日本家屋のように解放感のある大きな窓を取り入れ、どの部屋も自然光を取り入れることができる造りとなっています。
豊かな自然の姿や光を取り入れることができる窓は、北欧のブルーアワー(夕暮れ後すぐの空が濃い青に染まる時間帯)といった落ち着いた時間、空間における家庭の温かみのある生活スタイルにマッチしました。

大きな窓で光を取り込むリビングルーム
NPO法人フィン・ユール アートミュージアムクラブHPより出典

人口減少・少子高齢化・核家族化といった諸課題において"北欧は日本の10年後"だと、30年前からすでに言われており、まさにその通りの状況になってきていると東さんは話します。
共働きが増え、家庭の時間がより大切になってくるなかで、便利さだけではない生活スタイルの提案が必要です。北欧の家具が日本様式を取り入れて、さらに自国のスタイルに合うように進化していったように、外見を真似るだけではない、見えない部分の造りや使い心地の追求と、キタニを通して家具と出会う人達が家族との時間を大切にできる家具をこれからもつくっていきたいと笑顔で締めくくりました。


【後半】「森」と「自然」をテーマに自由な意見を話し合う座談会

東さんのお話の後、3テーブルに分かれて3つのテーマに沿って話会う座談会にうつります。

東スキマ案内人も加わった座談会の様子

1つ目のテーマ「森や自然にまつわる思い出」では、自身の幼少期のころに体験した自然との関わりの思い出から今の自身の周りの自然環境について思うことなどの意見を交換しました。
2つ目のテーマ「後の世代に残したい森や自然にまつわるモノ・コト・風景」では、自身が体験して楽しかった、虫取りや秘密基地づくりなどの自然との関わりを、今の子ども達にも体験して欲しいといった意見が出ました。
3つ目のテーマ「残したいモノ・コト・風景のために自分たちができること」では、自分たちそれぞれができること、みんなで取り組みたいことについて様々な意見が出ました。

グループワークのあとは、グ出たアイデアを全体にシェアします
考えやアイデアは忘れないようにメモメモ

スキマ研究会を終えて…

東さんのお話と、座談会でみなさんが話したことで共通していたことの一つは、"自分の時間を大切にする"ことです。今の自分が大切にしたいひと時はもちろん、振り返った時に貴重な経験だったと思える原体験、あの経験があったから今があると思うターニングポイント。それらを次世代にどう繋いでいけるか考える機会になりました。

自分が何に幸せを感じるのか知る事が、豊かに暮らせる第一歩なのかもしれません。ほっと一息つける部屋で息抜きしたり、森林浴に出かけたり。森や自然を感じられる場所に身を置き、太陽の暖かさや、葉擦れの音、夕暮れ時の静けさを感じる時間を1人で過ごしたり、大事な人と過ごしたり。相手を思いやるためにも、誰かと比べるではなく「自分にとって豊かな時間とはなにか」、その感覚を大切にしていきたいですね。

そしてもう一つの課題は、子どもたちがどこかの獣道を歩いたり、秘密基地を作ったり、川遊びしたり、空き地で鬼ごっこすることさえ難しいことです。子どもたち自身が暮らしの中で、森を見て、触って、美しくもあり危険でもある豊かな自然を感じ、学べる余地を残していく必要性を感じました。

そのためにも、興味を持った人が森と関わるプロと一緒に知識・経験を育めるプログラムにアクセスできるよう、引き続き森林サービス産業に関わる皆さんと情報交換していきたいと思います。

スキマ研究会とは

飛騨地域の様々な課題に立ち向かう事業者が講師 “スキマ案内人” となり、地域の実情や直面している課題 “スキマ” について参加者全員と対話します。「飛騨地域ってどんな地域だろう」「このテーマ、ちょっと興味あるかも」「面白い人と出会いたい」誰でも気軽に参加できる対話の会です。

【2023年度 開催履歴】

※2021,2022年度に計16回開催済み

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