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クルパカ!⑨ vol.452


哀愁漂う、からくり人形ちゃん!笑

俺はこの男のコミカルな表情にほだされている。

さて、この男。

かつて腎臓の病気になった。

この男の痛みに対する表情、初めてからくり人形が人間らしく生気を帯びた瞬間だったかもしれない。

苦虫を潰したような渋面。

それはとある壮行会という飲み会で起こった。

この男が初めて見せたビールを凄まじく不味そうに飲む顔つき。

ブサイクである。笑

実は、強烈にお腹が痛いという。

振り返れば、そこから俺たちの二人三脚が始まった。

この男の病室に見舞いに行ったり、見舞いに行ったり、見舞いに行ったり。

あれ?見舞いに行っただけだ。

しかも2回だけ。

病室ではちんげを誰に剃られるかで、この男と押し問答し、病室でありながら、ゲラゲラ笑っていた。

さて、この男。

寂しい男なので、小動物を飼っている。  

入院するということで、その小動物に餌をやらなければならない。

それを俺に頼むのだ。

おいおい、キャバ嬢にそこそこ費やしているのだから、そのくらいしてくれる女はおらんのか?

おらんだろーな。

納得。

ということで、この男の家まで小動物に餌をやりに行く。

この逸話をこの男はその後、ひとつ話のように周囲に話す。

そのあたりから俺ら二人のモーホー話がまことしやかに流れるようになる。

で、どんな病気も自ずと沈静化し、患者も元気を取り戻す。

満面卑猥顔のこの男にも治癒のタイミングが訪れる。

我々はその日の到来を待ちわび、この男の快気祝いを大勢で開くことになった。

その冒頭、俺はこの男にとって忘れ得ぬセリフを吐いた。

「かつて、これほどまでに酒を愛した連中がいたであろうか。我々は酒という一点でもって互いに引き合い、仕事というクサビの中でその絆を確かなものにしてきた。だから、我々にとって酒の一滴は血の一滴。そんな中我らがキーマン、クルパカ氏が、◯◯摘出により、夜の世界に完全復活を果たした。まずはそのクルパカ氏に復活の狼煙を上げていただくとしよう!そんなことよりも、早く飲みたいよ〜!(最後のセリフをクルパカ氏の真似で。)」

このセリフ回し、如水が不覚にも遅刻したため、俺があらかじめそれを100%想定して考えていたもの。

もし、如水が間に合っていたら、如水との掛け合いが想定されていた。

何れにしても、じょっすぃ〜♡

命拾いしたねー。笑  (終)

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