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【ユダヤ人の子育て】大富豪と天才を輩出する教育論

世界的な経営者や大富豪、歴史上の偉大な人物を輩出しているユダヤ人。

私も最近まで知りもしなかったのですが、現在ではユダヤ人は世界中に1400万人ほど、つまり東京都の人口程度しかいないにもかかわらず以下のような著名人を輩出しているそうです。

■起業家・経営者
ゴールドマン・サックス(マーカス・ゴールドマン)
Google(ラリー・ペイジ)
Facebook(マーク・ザッカーバーグ)

■学者・ノーベル受賞者
アインシュタイン(理論物理学者)
フロイト(精神医学者、精神分析学者)
マルクス(哲学者、思想家、経済学者)

■大富豪
ロスチャイルド家
ディズレーリ(元イギリス首相)

ノーベル受賞者は世界の全受賞者の22%をユダヤ人が占めるなど、グローバルで圧倒的な成果を残すユダヤ人。

一方で、ユダヤ人は約4000年の歴史の中で、約2000年も迫害が繰り返され、「流浪の民」として生き抜いてきました。国を追われながらも大事にしてきたのは、人に盗まれることのない「頭脳」、そして次の世代を創る「子ども」であったとされています。

その子育てや教育理論は様々な書籍でもまとめられています。本記事ではそれらのエッセンスをまとめ、ご紹介します。

1. 親が果たすべき役割

まず大前提として、ユダヤ人にとって、学びは生きていることと同義であって、目的を達成するための道具ではありません。

日本では、『良い大学に行けば成功に近く』という見方がありますが、ユダヤ人にとって学びは生きていることの一部です。そしてこの学びは、成績ではなく「好きなことを追求できる力」を指しています。ユダヤ人にとって、この力が豊かな人生を歩む上で最も重要なことであると位置付けています。

子どもが好きなことを見つければ、大成するか否かは求めずにとにかくサポートし、褒め称え、伸ばしていくのがユダヤ流。その具体的なプロセスを見ていきましょう。

1.1. 興味の種をく

『ユダヤ式「天才」教育のレシピ』の著者であり、国際教養大学グローバル・ビジネス課程特任教授も務めるアンドリュー・J・サター氏によると、本の与え方とタイミングを見計らうことが大切であると言われています。

本は子どもの才能を引き出す重要なツールの1つで、ユダヤ人家庭の多くでは、リビングなど大人から子どもまでが集まる場所に本棚があります。そこには写真集や図鑑、小説、芸術の本などはもちろん、音楽、天文学、政治、法律、哲学、経済学、文化論、歴史、科学、小説と幅広く並んでいるとのこと。全てが子ども向けの本である必要はないので、本棚の上の方には大人の本、下の方には百科事典や図鑑など子どもが自分で調べられる本を置くなどして、子どもが文字を読めなくても見て楽しみ、日々触れる環境を作る工夫がされています。

さらにユダヤ人家庭の親はよく本を読んでおり、子どもが何か質問するとそれに関連する本を出して一緒に学ぶのだそうです。こうすることで子どもの好奇心を刺激することをまず大事にしています。

1.2. 興味の瞬間を逃さず学ぶ楽しさを伝える

「教育(エデュケーション)」という言葉は、もともと「引き出す(エデュカーレ)」という言葉からきています。ユダヤ人の親はまさに、子どもの秘めた才能を引き出すのは親の役割だと考えているのです。

そのためにユダヤ人が特に気をつけているのは以下の2つです。

・好きなことがあれば全力で肯定し、子どもをサポートする
・「学ぶことは蜜の味」を刷り込む

1.2.1. 好きなことがあれば全力で肯定し、子どもをサポートする

上述のとおり、ユダヤ人にとって大事なのは、「好きなこと」を持つこと。子どもも早くから自分の好きなこと、熱中できることを持つことが奨励されます。好きなことがあれば、親は全力で肯定し、サポートし、どの親も「子どもは才能の塊」だと信じて疑いません。逆に、好きなことがない人は、周囲から心配されてしまいます。

例えば、日本人がユダヤ人の子どもに生花を教えた時、子どもたちがオアシスに鉛筆などを挿しても、その親たちは『こんな生け花するなんて我が子にはアートの才能があるわ!』と大絶賛。専門学校を出た子が就職もせず麻雀にハマった時も、親も親戚も誰も止めずに彼が麻雀に熱中することを肯定していました。結果的にはその子は数年後に麻雀を欧米に普及させる協会の代表となり、事業を立ち上げるほどになったのですが、誰もそういった結果を求めていたわけではないのです。

1.2.2 「学ぶことは蜜の味」であると刷り込む

新しいことを学ぶのは楽しい、いいことがある。そういった考えが親や周囲から自然と染みつくよう、日常生活に学びが生まれる工夫が凝らされています。

例えば夕食の後に行う、家族での「地名のしりとり」。これは前の人が言った地名の最後のアルファベットから始まる地名を言わなくてはいけないゲームです。兄弟でお互いに負けるのが悔しいので、一生懸命地図帳などを見て、Xで終わる地名など、次につなげにくいものを探しているのだそうです。そうしてあくまで「遊びの時間」にしながら、新たな土地の名前や場所を学ばせています。

また、子どもが何かに興味を示したら、その分野に関する本を与えたり、本物を体感させに博物館や美術館などへ連れて行ったりします。大人向けの本や施設なども、むしろ子ども向けに手加減しているものにはユダヤ人はあまり関心を持たない傾向があります。

本物を与えて、与えて、与え続ける。見返りを期待することはなく、子どもとその才能を信じ続け、絶対的な愛情を与え続けます。
そうすることで、子どもは好きなことを徹底的に追求し、自信が育ち、結果的に好きなことをもっと突きつめたいと学ぶようになります。

1.3. クリティカルシンキングを促す

絶対的な信頼とともにユダヤ人の家庭で育まれるもう1つ重要なものは、「批判的なものの見方(クリティカルシンキング)」です。

日本では「批判=非難」と混同されがちですが、クリティカルシンキングとは相手の意見を否定することではありません。『これはもしかしたら違うのではないか、何かおかしいのではないか』という視点で本を読んだり意見を聞いたりすることであり、その人自身への不信感や嫌悪とは全く切り離して考えられます。

1つの物事に対して人による解釈が異なっても構わず、その異なる意見を議論し合うことはユダヤ人にとっては当たり前とされているそうです。ただ、こうした批判や意見の対立の時に忘れてはいけないのが「ユーモア」です。ユーモアがあれば、批判も共有できるし、受け入れられるためです。

ユダヤ人にとって子育てとは、どんな苦境でも「人生が楽しみに満ちたものだ」ということを見つける力を根付かせてあげることなのです。

2. ユダヤの大富豪が語る、幸せでお金持ちになる秘訣

冒頭でもご紹介しましたが、世界最強の大富豪、ロスチャイルド家をはじめ、ユダヤ人からは数多くの大富豪が誕生しています。その富を形成する資産運用の秘訣は、民族のルーツに起因している要素が多い一方、成功を掴み取るための教えが存在します。

もちろん日本人でも参考にできる部分が多くあるため、エッセンスをコンパクトにまとめてご紹介します。

・社会のルールを学ぶ
・自分のことを知る
・感情と思考をコントロールする
・お金の使い方を学ぶ
・周囲の人との関わり方を学ぶ

2.1. 社会のルールを学ぶ

大前提として、お金に限らず成功を手にするためにはルールを徹底的に理解するか、ルールメイカーになることが重要です。ユダヤ人の大富豪が言う、主に理解しておくべきルールとは、以下のような内容です。

・「提供したサービスの量と質=報酬額」という大原則
・報酬額は「従業員 < マネージャー < オーナー」となるため、ビジネスオーナーになる
・自分の大好きなことを見つけ、その分野で成功している人を探す
・その人について仕事のやり方を学び、やるべきことを全てやり、絶対に妥協しない
・いきなり会社をやめたり、大きなお店を始めたりといったリスクを冒さない
・顧客満足に集中し、そのサービスを継続して利用してもらうシステムをつくる
・儲かる仕組みを作り、誰が管理してもうまくいくようにする。普段は日常的な仕事をせず、顧客と従業員の満足をスケールさせることに集中する

つまり、まずは好きなことを見つけてそのトップランナーから学んで実行する。もしそれが飲食店の経営だったならば、飲食店のバイトを一生懸命頑張るのではなくお店を経営するなどしてビジネスオーナーになり、自分の時間にレバレッジをかけるべきだということです。

そしてスタートする際には大きなリスクを取るのではなく小さく初めて収益と顧客満足を高める仕組みを作り、それを他の従業員に任せて次の成長の矢を見つけてまた同様に進めよ、ということが説かれています。

2.2. 自分のことを知る

幸せな金持ちになるための秘訣は、自分の大好きなことを仕事にすることが重要であり、その大好きなことに巡り合う最良の方法は、今やっていることが何であれ、それを愛することです。

ここで注意すべきこととして、好きなことと得意なことを勘違いしないことです。賞賛がなくても、お金をもらえなくても、やっているだけで楽しくなってしまうこと、それが「好きなこと」なのです。

2.3. 感情と思考をコントロールする

ユダヤの大富豪からは次のような言葉が残されています。

人生は、「考えること」と「行動すること」の二つでできている
思考が人生をかたちづくり、感情が人生をコントロールしている

つまり、自分の思考と行動をコントロールすることによって人生がかたちづくられるため、人への提供価値を高めるための自分の行動と、人の感情に訴えかける技術が重要であるということです。

2.3.1 自分の思考を洗練させる

食べるものが体をつくるのと同じように、考えることと行動することが人生をつくる、ということです。成功するために必要なのは、豊かに生きる世界観を持つこと。

だからこそ、「思考を可視化する」ことも重要です。考えていることを紙やノート、ブログなどどんな形でも良いのでメモをすることで「考えること」が洗練されるのです。

2.3.2 思考からまずは自分の行動に繋げる

まず前提として重要なことは、早く行動を起こすことです。

決断を先延ばしにすることは「いまは決断しないでおこう」という決断だ。これが、人生で最も大きい落とし穴の1つだ。

行動を起こす際に失敗は恐るものですが、失敗とは諦めてしまったときにのみ生まれるものであり、自分でダウンを認めない限り、人生は失敗しないのです。

その上で、どのように行動を起こすかが重要になりますが、行動を成功に導くために最も重要なのが「目標設定」です。目標設定のコツについて、ここではコンパクトにまとめてご紹介します。

■ワクワクするような目標を立てる
やるべきことでなく、こうなったら最高。死んでも良い。と思える目標

■細分化し、具体的な行動ステップを考える
いきなり実現不可能なことを目標にしない

■目標を達成したときのご褒美と罰を用意する
目標を達成することで感じる喜びをできるだけ書いてみる。また、達成できないとどんな痛い目にあうか書いてみる

■目標が達成したときをイメージして楽しむ
目標を達成して、自分や周りの人間が喜んでいるところを絶えずイメージする

2.3.3 人の感情に訴えかけ、行動を起こさせる

そしてビジネスを成功させるためには人を動かすこと、つまり人の感情をコントロールする技術が必要です。

セールスとは自分で考えていることを把握し、感情に訴えることそのものです。したがって「スピーチがうまい」ことは多くの成功者に共通する素質となっています。アップル創業者のスティーブ・ジョブズの例を見れば明らかでしょう。

2.4. お金の使い方を学ぶ

ここではユダヤの大富豪が大切にしているお金の使い方についてまとめます。

■お金で人を喜ばせる
お金で何を得ようとしているのかよく見極めること。 賢く使うとは、人を喜ばせるように使うこと。

■コストを増やさない
稼いだ分だけ使うのではなく、収入が増えても使う分は変えないことが大切。

■投資する/分かち合う
大富豪はお金のなかったころから収入の10%以上を投資か寄付に回していた。

総じて、お金は「人を喜ばせるための道具」であり、そうすることでお金が増えるということです。もちろん、それをするためには無駄なコストが出ていかないよう、税金の仕組みを知るなどお金のルールを押さえておくことも重要です。

2.5. 周囲の人との関わり方を学ぶ

ひとりで成功した人はいません。成功に限ったことではなく、普段の生活においても、「目に見えないたくさんの人の存在があって現在の生活がある」ことをまずは意識する。そうすれば自然と、身のまわりの「当たり前」に感謝できるのではないでしょうか。

レストランのオーナーとして成功するためには、多くのお客さんに来てもらわなければならない。
店の内装を担当してくれた人、食材を納入してくれる業者、それを運んできてくれる運転手、レストランからでたゴミを掃除してくれる清掃員、多くの人たちの協力と献身があって、初めてこの人は成功できる。

また、人は概ね200〜300人の人脈を持っており、その知り合いにもそれぞれ200〜300人の人脈を持っています。そのようにと考えると、友達の友達は9万人もいることになります。

こういった観点でも、成功に必要なのは特別なことをすることより、身の回りの人を大事にすることから始まるということがおわかりいただけるかと思います。

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ユダヤ人にとって子育てとは、どんな苦境でも人生が楽しみに満ちたものだということを見つける力を根付かせてあげること。「好きなことを追求することを重視し、成果や結果を求めない」という考え方が浸透しています。

お金を稼ぐという観点でも、まずは自分の好きなことを見つけ、その分野で成功した人から学ぶことが重要であると、ユダヤの大富豪から語られています。確かに、どのような人生であっても好きを追求することと人を喜ばせることがキーポイントになることは間違いありません。

彼らの子育ての考え方も、我々の子どもや我々自身に上手く取り入れたいものです。


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