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クジラのまち拠点復活 おしかホエールランド 震災9年4カ月経て再開

 東日本大震災の津波で被災した石巻市鮎川浜の観光拠点「おしかホエールランド」が再建され、約9年4カ月ぶりに再開館した。これで牡鹿地域拠点エリア(ホエールタウンおしか)に整備された施設は全てオープン。22日は式典があり、クジラの生態と捕鯨文化を伝える施設の完成を祝い、地域のにぎわい創出に期待を込めた。【山口紘史】

ホエールランド館内

クジラの骨格標本が目を引く

 ホエールタウンおしかは鮎川港東側2万4千平方メートルの敷地内に整備し、飲食店や観光案内所などが入る「観光物産交流施設Cottu(こっつ)」、自然環境を学ぶ「牡鹿半島ビジターセンター」は昨秋にオープン。有料施設の「ホエールランド」は新型コロナウイルスの影響で開館を3カ月延期していた。

 式典では亀山紘市長が「3施設の魅力を通して人の交流と地域活性化が図られることを祈る」とあいさつ。エリア全体の指定管理を担う一般社団法人鮎川まちづくり協会の齋藤富嗣代表理事は「まちのシンボルの復活は大きな喜び。クジラを通した伝統文化を内外に発信したい」と語った。

テープカット

テープカットで拠点の完成を祝った

 ホエールランドの名誉館長に委嘱された東京海洋大学の加藤秀弘名誉教授は「展示物は質の良いものがそろい、(クジラの博物館としては)世界一。施設もおしゃれでこれからの鮎川を象徴する素晴らしいものと思う」とアピールした。

 ホエールランドは延べ床面積1127平方メートル。広さは震災前の約4割だが、海を泳ぐクジラを大画面に映すシアターや津波流失を免れた巨大なマッコウクジラ、コククジラの骨格標本など展示品や見せ場は充実。牡鹿の鯨捕文化や歴史、海の魅力に理解を深めるコーナーもある。

 初日は地域内外から観光客が訪れた。仙台市青葉区の安達美恵子さん(65)は「骨格標本やパネルなど見ごたえがあった。幼いころから鯨肉が好きで鯨食文化の歴史が分かるパネルは特に興味深かった。今度は孫も連れて遊びに来たい」と話していた。


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