パーカーデザイン採用 パズル風に想像動物描く 就労事業所利用の福田さん
パーカーデザイン採用
石巻市中央の就労継続支援B型事業所「きゅう」(北村誠悟所長)を利用する福田成美さん(33)=同市開北=がデザインした作品「ワンダフル・パズール~不思議な動物園」が、大手アパレルブランドのメゾンスペシャル=東京都=の目にとまり、パーカーのデザインに採用された。【山口紘史】
就労継続支援B型事業所は、障害により企業などに就職することが困難な人に対し、雇用契約を結ばずに働く場所を提供し、知識や能力向上の訓練も同時に行える支援施設。「きゅう」では、精神や心の病を抱える人が通いおのおのの好きなことを仕事に生かしている。
福田さんも精神障害があり、2年前から同施設を利用。学生時代から絵を描くのが好きで、現在も得意の絵を生かした仕事に取り組んでいる。
学生時代は、配られたプリントや教科書の余白に特に意味もなく、ひたすら動物の絵をパズルのように描いていたという福田さん。「動物の絵で空白を埋めていくことで得られる不思議な達成感が楽しくて、大人になった今も無心で描くことがあります」と語る。
採用作品「ワンダフル・パズール」を手にする福田さん
後に福田さんはこの作品群に「パズール」(パズルと動物園の「ズー」を掛けた造語)と名付け、その作品群の一部は同施設の入口にも展示している。
福田さんの非凡な才能を見た北村所長は「試しにデザインコンペに応募してみてはどうか」と提案。これを受け福田さんは昨夏、障害者のアート作品を世に発信するヘラルボニー=岩手県花巻市=主催のハンカチデザインコンペに新作の「パズール」を初応募した。
最終的にハンカチのデザインには採用されなかったが、後日、ヘラルボニーと関連のあるメゾンスペシャルから「パズールをぜひパーカーのデザインに活用させてほしい」と打診があった。福田さんは驚きつつもこれを快諾。背中部分にパズールがプリントされたパーカーが出来上がり、早速ネット販売を開始。独創的なデザイン性が好評を博し、早くも売切れ間近の状態という。
福田さんは「まさか採用されるとは思ってもみなかったので信じられないという気持ち。すごく驚いたが、自分の作品がこうした形で人の目に触れるのはうれしい」と話していた。
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