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適正利用へ行政、学校、家庭連携 「スマホとの共生」 ③対応

 個人でデジタル端末を持つ中高生と、家庭の端末を使う小学生では、それぞれ指導内容が異なる。個人保有ほど使用頻度が高く、ネットの脅威にさらされる確率が高まる。そのため、石巻署生活安全課などでは、中高生向け出前講座を展開。SNS上での誹謗(ひぼう)中傷やなりすまし、性犯罪被害など実例を交え、「ネットの何が危険なのか」を指導している。一方、小中学校では適正利用の軸となるルールを定め、依存防止の基礎を固めているところだ。

 女川小学校では、平成30年度から5―6年生の計画委員会が編み出したスマートフォン、タブレット端末使用のお約束「うみねこルール」を全校児童で実践している。国の学力・学習状況調査の結果で、同校児童におけるネットやメール、スマホゲームにかける時間が全国平均を超えていることが判明し、その後のアンケートで家庭でのルール設定も乏しかったことがきっかけだ。

 児童203人のうち、携帯電話・スマホの保有者は27%の55人で、家庭でインターネットを使用できる環境がある児童は191人と98%に及んでいることから、児童主体で改善策を検討した。

女川小うみねこ集会 (6)

全校集会で学年ごとの成果を共有

 ①金曜日はノーゲーム・ノースマホ②夜9時以降は使用しない③家の人と決められた時間に就寝する④ゲームやスマホ利用は宿題の後⑤学年に応じた家庭学習の実践―の5項目を定めた。当初の実践率は7割程度だったが、現状はほとんどの児童に定着している。

 この取り組みは、全校生徒の8割が携帯・スマホを保有する女川中学校にも刺激を与えた。生徒会を中心に、使用時間を1日2時間、午後10時までとする「1210運動」をスタート。小学校ほどルールが浸透しているわけではないが、一定数への定着を見せている。受験が迫る3年生ではなく、中堅の2年生が模範になれば、上・下級生を触発することにもつながるだろう。

 同様のルールづくりは全国的にも広がりを見せ、香川県では今月18日に18歳未満のインターネットやゲームへの依存を防ぐ全国初の「ネット・ゲーム依存症対策条例」を可決した。内容はうみねこルールと同様で、使用時間を定め、夜間の使用頻度を減らすもの。こうした基準を行政、学校、家庭の3方向から指導していけば、適正利用の定着が一層進むことだろう。


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