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初のコロナ対応避難所訓練 密回避で多数開設必須 欠かせない地域との協力

 石巻市は、新型コロナウイルス対応下での避難所の適切な運営に向け、地域や学校との協力体制の構築に動き出した。コロナ禍では1カ所あたりの密度を減らすため多くの避難所を設置することが求められ、市は昨年の台風19号規模を想定した場合に当時より17カ所多い45カ所の開設を見込んでいる。一方、多数の避難所の迅速な開設と適切な運営には従来の行政主導ではなく、地域や学校の理解と協力が欠かせない。市は万石浦地区を3者1体のモデルケースとすべく28日夜に初めての訓練を行った。【近江瞬】

 市は政府の通知を受け、コロナ対策を盛り込んだ避難所の運営方針を5月に策定。感染対策として開設前の担当者の検温や閉鎖後の消毒のほか、1人当たり2メートル四方の区画確保や、空き教室に感染が疑われる症状のある人の対応区画を設けることなどが盛り込まれた。平時の運営に加えて多くの作業が加わり、迅速な開設と適切な運営には学校、地域の協力が欠かせない。

 コロナ対応下の初の避難所開設訓練は28日に万石浦中学校で行われた。昨年の台風19号時に指定避難所である同校の開設が遅れたことなどを教訓とし、万石浦小学校区地域防災連絡会(阿部昭一本部長)の申し出で実現した。同連絡会25人、学校関係者6人、市防災士協議会3人、市からは健康推進課、危機対策課など4課16人が参加した。

コロナ禍の避難所開設に向け地域と連携して訓練 (40)

2メートル四方のブルーシート。家族でも1区画1人のみが利用することになる

 訓練では、コロナ対応で新たに避難所運営において必要になったフェイスシールドや手引きファイルなどを一つずつ手にして確認。受付時に必須の非接触型体温計を使った計測や簡易プライベートルームの組み立て、手指消毒の確認方法も実践で確かめた。

 2メートル四方のブルーシートを使った区画確保では、市職員が「家族でも1区画1人」と説明。住民は「この体育館に100人ほどしか入らない」「小さな子はどうするのか」との疑問を投げ掛けたが、市は「それがコロナ禍での避難所の在り方。課題はたくさんある」と答え、対応の難しさも浮き彫りとなった。

 収容人数や対応徹底などで課題が山積する中、阿部本部長は「コロナ対策の難しさを痛感。新しい避難所についての地域の理解も必要になる。迅速な設置に向け、市は住民がいち早く開設できる仕組み作りも考えてほしい」と求めた。

 危機対策課の小野秀章課長補佐は「避難所で必要な道具を学校に置くことも考えられる。住民による開設についても責任の所在など課題はあるが、可能な限り調整したい」と話していた。

 なお、今回と同様の訓練に対し、他地域からも要望があれば市は開催する考えだ。


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