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販路開拓で配送サービス ネット介し海産物販売 知恵絞り需要減対策

 新型コロナウイルス感染拡大防止で、石巻市でも飲食店の営業規模縮小や観光客の減少が著しい中、インターネットを介して在庫過剰となった同市内の水産加工品を消費者に配送するサービスが注目を集めている。水産加工会社、漁業者双方にとっても新しい販路が開拓でき、需要減の痛手を補う手法として期待が高まっている。 【渡邊裕紀】

高品質を安く提供

 東北の若手漁業団体の一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ)では、市内の水産加工会社でインターンシップを経験した大学生8人が中心となり、新型コロナ禍で販路が行き詰っている水産加工品を消費者に届ける「おさかなアウトレット便」を始めた。通常は入手が難しい飲食店に卸す高品質な加工品が家庭で楽しめるとあり、注目されている。

 取り扱っている商品は大興水産(株)=同市魚町=の「金華さばフィレ」が5枚入り2980円(税込み)、(株)ヤマナカ=同市幸町=の「殻付きホタテ&カキセット」は2590円(同)など。現在は6品だが、今後は協力会社を増やしながら商品を拡充していくという。

コロナの需要減受けて水産物のデリバリー始まる (2)

学生中心のアウトレット便は今後、多彩な商品を扱っていく

 この活動でリーダーを務める東京大学の香川幹さん(22)=神奈川県=は「インターンで船に乗り、楽しく深く水産業を学べた。業界全体を支えるために少しでも力になれれば」と語る。東松島市出身で同志社大学の坂本樹さん(同)も「地元の現状を知りたくて参加した。経験を活かし、育ててくれた地域に恩返しできれば」と話していた。

仙台圏限定の直送便

 一方、石巻市雄勝町水浜の漁業者が立ち上げた(株)海遊(伊藤浩光社長)は新型コロナ禍前から鮮度や品質にこだわったホヤ、カキなど配送サービスを展開しており、今回、主な出荷先である仙台圏に限定した直送便「うみでり」も開始。水揚げしたばかりのホヤ、カキを高鮮度のまま自社から送っている。

コロナの需要減受けて水産物のデリバリー始まる (16)

自社直送便の「うみでり」は高品質と鮮度が評判

 同市の地域おこし協力隊として海遊で働く草野源太さん(41)=仙台市出身=は「仙台と雄勝の生産者を直接結び付けることで、新たな販路を開拓したい」と話す。伊藤社長によると、同社は飲食店の休業に伴う需要減で、4月の売り上げは昨年の2割以下まで落ち込んだという。

 新型コロナの収束が見えない中で、伊藤社長は「直送便は好調な滑り出しだが、減少した売り上げの回復にはまだ遠い。今は耐え抜くしかない」と語っていた。


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