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商業捕鯨後の地域振興問う 石巻で全国鯨フォーラム ゆかりの5人パネル討論

 捕鯨の歴史、文化を伝えて地域振興を考えていく「全国鯨フォーラム」が17日、石巻市のマルホンまきあーとテラスで開かれた。同市が会場となるのは平成19年の初回以来、14年ぶり。地域にゆかりのある代表5人によるパネル討論、商業捕鯨の展望を問う基調講演などが行われ、鯨食文化の継承を全国に発信した。

 フォーラムは、捕鯨に縁のある33自治体で作る「捕鯨を守る全国自治体連絡協議会」が主催し、持ち回り開催している。あいさつで齋藤正美市長は「捕鯨基地がある鮎川浜は震災で甚大な被害を受けたが、全国からの支援で復興することができた」と感謝した。

 パネル討論のテーマは「くじらを活かした地域振興」。中国料理店の揚子江=同市不動町=を営む今野美穂社長は「生食でおいしいクジラ料理が提供できるのが石巻の強み。栄養豊富であり、その魅力を広げたい」、木の屋石巻水産の木村優哉社長も「クジラは低カロリーで高たんぱく。一時のサバ缶ブームのように健康に良い食材として発信したい」と食の視点から語った。

全国鯨フォーラム (114)

鯨食文化の将来について考えた

 市の観光大使を務めるフリーパーソナリティの本間秋彦さんは鮎川浜出身。「当時は鯨肉が身近で町に活気があった。震災で実家もなくなり、思い出の中の風景だが、商業捕鯨再開を契機に私たちの世代が盛り上げていかなければ」と郷土愛をにじませた。

 また、石巻専修大学経営学部の庄子真岐教授は「商品には社会的価値があり、鯨肉が健康にいいということは非常に強い武器」と強調。自治体連絡協議会長で和歌山県太地町の三軒一高町長は「自治体として強い思いを持ち、鯨食文化を継続していきたい」と話していた。

 基調講演では、水産庁資源管理部の諸貫秀樹参事官が「我が国の商業捕鯨の今後の展望」を演題とした。日本は令和元年に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、31年ぶりに商業捕鯨を再開。捕鯨基地を有す鮎川浜でも沿岸域で商業捕鯨が行われている。

 IWC脱退で諸貫さんは「クジラ資源の適正管理から保護の方向に変質したことで反捕鯨に傾いていった」と話し、議論が平行線をたどったことで日本は脱退を決めたことを訴えた。【渡邊裕紀】


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