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旧駅周辺は慰霊と伝承の場

歩行・自転車道来年完成

 東松島市の野蒜地区も東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた地域の一つ。地震の直前、JR仙石線野蒜駅から上下線がそれぞれ出発した。巨大地震に伴い、いずれも駅から600―700mの範囲で緊急停車。下り線は停車位置が高台だったため難を逃れたものの、上り線の車両が津波によって流された。【横井康彦】

 乗客は近隣の野蒜小学校へと避難。駅舎は高さ4㍍近い津波で損壊し、東名運河にもがれきが堆積した。このため、震災直後には、野蒜・東名駅周辺で、アメリカ軍によるがれき撤去作業「ソウルトレイン作戦」が実行された。

①震災前 野蒜

津波に押し流された仙石線(平成23年3月20日)

 野蒜駅はその後、海抜22mの高台である野蒜ケ丘一丁目に移転され、平成27年に新ルートでの運転を再開している。旧駅のプラットホームは、震災遺構としてその姿を残し、駅舎は震災の教訓を伝える伝承館として活用。修学旅行生などが訪れている。

 旧駅の北側は、震災犠牲者を偲ぶ復興祈念公園や奥松島運動公園機能の一つである「子ども広場」「マレットゴルフ場」「ふわふわドーム」を整備中だ。仙石線旧線路の位置には、歩行者と自転車利用者専用道「コミュニティロード」の整備が進められている。

②震災後野蒜)

コミュニティロードの整備が進む(令和2年10月6日)

 同ロードは、東名地区の奥松島レーンホテル周辺を起点に、野蒜地区の東側までを通る延長4.3km。2月から工事が始まり、来年1―2月ごろにも完成する見通し。震災の教訓を残しながらも、次世代の交流の道という新たな姿を見せている。


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