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雄勝石で作る大壁画 今春完成の 総合支所に展示 児童生徒 プレートに彩色

 東日本大震災の津波で全壊し、移転再建が進む石巻市雄勝総合支所の本庁舎が今春完成する。同支所内に地域特産の雄勝石のプレートを組み合わせた大壁画を飾る予定で、この制作授業が15日、雄勝小中学校(横江良伸校長)で開かれ、講師は雄勝石絵教室(菅井哲夫会長)が担った。児童生徒は大壁画の出来上がりを想像しながらプレートに彩色した。【山口紘史】

 雄勝石絵教室は仙台市出身で雄勝石絵作家の故齋藤玄昌實氏(享年79)が、菅井会長(80)らとともに平成21年に設立。巨大壁画制作や石絵展などを通して雄勝石の魅力を広める活動を続け、東日本大震災後は雄勝地区の子どもたちに石絵作りを教えるなど心の復興にも尽力してきた。

 大壁画制作は、地域の子どもたちが希望を持って未来に進んでいけるようにとの思いを込め、横江校長や齋藤氏、菅井会長らが共同で企画。着手を見ることなく齋藤氏は昨年4月に病死したが、菅井会長ら会員が思いを受け継いで、教室を展開した。

note用雄勝小中学校 硯アートワークショップ (8)

菅井会長から絵の指導を受ける生徒

 大壁画は長方形、正方形のプレート計約70枚を配列して作る。教室では、下絵と彩色の指示番号が記されたプレートが配られ、児童生徒たちは指定通りにポスターカラーで彩色を施した。

 大壁画は最終的に菅井会長ら会員が組み上げ、横2メートル、縦1.8メートルの大きさになる。デザインは雄勝の子どもたちが浜辺で元気に遊ぶ様子を表したものだが、具体的にどんな構図になるのかは子どもたちにも知らされておらず、お披露目は支所完成時となる。

雄勝小中学校 硯アートワークショップ (3)

雄勝石のプレートに彩色を施す生徒たち

 菅井会長は「教室は貴重な地域資源である雄勝石の魅力を知ってもらうことも狙い。齋藤さんもきっと完成を楽しみにしている」と述べた。雄勝小6年生の川田丈さんは「完成を見るのが楽しみ。頑張った成果が飾られるのもうれしい」と話していた。

 この日は齋藤氏の夫人、敦子さん(75)も子どもたちの活動を見守った。敦子さんは「夫は生前、雄勝石を『宝の石』と呼び、雄勝の子どもたちには古里に誇りを持って育ってほしいと願っていた。夫もきっとこの会場のどこかで笑顔で見ていると思う」と語っていた。


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