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石巻市・亀山紘市長(後編) 震災復興一定の手応え 分野別に取り組み採点

 石巻市の亀山紘市長は、3期目の任期も残すところ約10カ月となった。在任期間中に街の姿や市民生活も大きく変化。東日本大震災や昨今の新型コロナウイルスの感染拡大もあり、政治で市を変えるというよりも外的な要因で変わらざるを得なかった。亀山市長の「舵取り役の自己評価」後編は、分野別の取り組みがどれぐらい進んだかの印象を10点満点で自己採点してもらい、格付けした。同様に弊社報道部の記者6人も採点し、客観的に見ていく。【熊谷利勝】

復興工事……A 被災者支援…A(亀山市長の自己評価)

 被害の大きさを考えれば、客観的にも復興が進んだと評価できる。ただ、道路、橋などは時間を要しており、復興完遂を命題にした亀山市長は「年度内の全ての完成は非常に厳しい」と明かす。孤立防止など継続が求められる被災者支援に対しては「担当部がかなり頑張っている」と話す。

自治システム…B 産業振興…B(亀山市長の自己評価)

 地域自治システムは、市長肝いりの行政と地域の協働の仕組み。震災もあり、主体となる組織の設立が見込みを含めて15地区のうち5つにとどまる。浸透していないのは市長も認めるところだが、組織ができてどう変わったかも伝わっていない。産業振興課は「農業では法人化や次世代型施設園芸の整備があった水産も復興が進んでいるが販路回復はまだ」と見る。

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中心市街地…A 子育て支援…A(亀山市長の自己評価)

 旧北上川では堤防整備に合わせ、いしのまき元気いちばなど観光集客施設が完成。こうした「かわまちづくり」は「交流人口拡大にかなり貢献している」と手応えを述べる。ただ、「そこの限定で、街全体に効果が見られていない」として回遊の取り組みを重視。地権者が住居や店舗などの複合施設を共同で建設する優良建築物等整備事業は、活性化への期待感を込めつつ新型コロナの影響を懸念材料に挙げている。

 子育て支援は「NPOなどの民間に頑張っていただいており、石巻はかなり進んでいる」という。報道部では子育てしていない記者から一定の評価があるが、子育て世代は満足していない傾向が見られた。

医療福祉政策…A 行財政改革…B(亀山市長の自己評価)

 医療福祉分野は「充実してきた」と市長。市立病院隣にささえあいセンターが開所し、地域包括ケアの拠点としてどう事業を展開していくのか注目される。行財政改革は多大なマンパワーや財源が投じられた震災もあって進展せず、復興期間終了後を見据えた職員数削減の計画も示されていない。大川小訴訟賠償金を立て替えた県への償還のほか、復興した施設の維持管理費が増す予想であり、亀山市長は「本気で改革しないといけない」と危機感を強める。

防災推進…B リーダーシップ…B(亀山市長の自己評価)

 防災センターができ、防災士の育成など自助・共助を推進。地震津波への対策は強化されてきたが、昨秋の台風19号の冠水による市民の心象は良くない。亀山市長は「雨にも安全なまちづくりを積極的にしたい」とする。

 リーダーシップはどういった市長像を求めるかで評価が分かれるだろう。亀山市長は「職員の能力を最大限に発揮して市政運営する姿勢。首長だけでなく、職員との連携、職員自ら発信することが必要」と考えている。年齢的にも今期限りの公算が大きく「整備したインフラは後から効いてくる。今後の若い人がリーダーシップを発揮し、新しい石巻の未来に向けて取り組んでいただくことが必要」とも語っている。



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