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市政の行方 のしかかる施設維持費 点在被災元地 用途決まらず

 東松島市の震災復興事業はほぼ完了の段階まで進み、ポスト復興である「地方創生」分野も並行しつつ、人口減少対策や観光発信力強化などに取り組んでいる。生活、教育環境の充実は他自治体の追随を許さぬ先進的なものが多い一方、国の補助を前提とした数多くの施設整備は、維持管理費や将来的な改修費として市財政に影響を及ぼす。震災の爪痕とも言える被災元地も虫食い状態で点在し、土地利用も課題としてのしかかる。【横井康彦】

 地方都市ではどこも同じだが、東松島市も人口減少対策に余念がない。人口は今年4月1日時点で3万9401人(男1万9319人、女2万82人)。JR仙石線、三陸道など交通インフラが整い、仙台、石巻圏のベッドタウンとして支持を受ける。人口増減は近年横ばいと石巻圏域では優秀な部類だが、国立社会保障・人口問題研究所の調査では、2045年には人口が3万人台を割ると予想されている。

 市は人口減少対策で雇用創出、子育て環境の充実を重視する。雇用創出は現職の渥美巖氏(73)が市長に就任した平成29年度から2年度までの新規立地企業数が増設を含めて30社となり、増加雇用者数は506人。誘致企業の施設増設に配慮し、土取り場マップを作成して、利用可能な土地の見える化を図っており、こうしたきめ細やかなサポートは、市のセールアップ手法として高い評価を受ける。

 子育て環境も待機児童解消だけでなく、午後8時までの延長保育が可能な民間保育所を誘致して対応。放課後児童クラブも学校敷地内に設けることで安心を提供している。

市政の行方⑤

被災元地を活用したスポーツ施設

 住みよさに重点が置かれる中、解消できていない課題もある。その代表格が防災集団移転元地だ。市が移転事業の際に買い取った土地のうち、未利用地は42ヘクタールに及ぶ。特に野蒜地区は年月の経過で雑草が茂り、不法投棄も危惧される。野蒜地区は「特別名勝松島」の一部であり、景観を損ねることは観光分野にも影響を及ぼす。

 市は旧運動施設の移転先として被災元地を選び、多目的グラウンドや野球場、マレッドゴルフ場などを備えた奥松島運動公園を整備した。民間の複合観光施設「奥松島クラブハウス」なども設け、交流人口拡大の拠点づくりを進めている。

 今後は野蒜地区の25ヘクタールを使い、観光果樹園的要素を持つ「令和の果樹の花里づくり」を展開する。梅を中心とした果樹栽培を通じて生産物の販売、加工といった6次産業化を図り、新規の雇用創出にもつなげていく。

 まとまった被災元地は一定の活用方法を見出せているが、虫食い状態で点在する住宅跡地の活用は今も大きな課題。災害危険区域のため制約もあり、対応には知恵が必要だ。

 被災または老朽化などで新築、改修された施設、いわゆる「ハコモノ」の維持管理費も軽視できない。建設自体には、防衛省の補助を活用し、市財政への負担軽減を図っているものの、充実した機能を備えた各種施設の維持管理費は、年数経過とともに市財政の圧迫につながりかねない。現在の快適性と将来的な負担。その双方を見定めた行政運営が今後求められる。


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