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慰霊碑「いのちの広場」に移設 女川・震災犠牲の行員遺族 11年3カ月の月命日に

 東日本大震災の津波で犠牲になった七十七銀行女川支店行員の遺族らが建てたモニュメントが、かつて設置されていた町有地から遺族が新たに購入した土地「いのちの広場」に移設された。11年3カ月の月命日となった11日、現地でお披露目のセレモニーと記念植樹があり、関係者約30人が出席。出来事と教訓を後世に伝え続けていく思いを新たにした。

 発災時、支店従業員は上司の指示で高さ約10メートルの屋上に避難したが、津波にのみ込まれて行員4人が死亡、8人はいまだ行方不明となっている。「走って1分ほどの場所に高台があるのになぜ逃げられなかったのか」。無念を抱いた遺族が2度と悲惨な事故が繰り返されぬようにと願い、追悼の思いも込めて平成27年に作ったのが、この石碑のモニュメント。

「語り継ぎ、未来の命を守る」とあいさつした遺族の田村さん

 石碑には男女の行員がほほ笑む姿が描かれ、台座には津波避難で高台へ逃げることの大切さを訴えた文章が刻まれている。町の復興工事に伴い土地返還の必要が出たため、支店があった場所から南に約160メートルの民有地に移設。「いのちの広場」と名付け、石碑は3月11日の朝日が昇る方角に向くように置いた。

 行員だった長男健太さん=当時(25)=を亡くした田村孝行さん(61)は「震災を忘れず、命について考える場。ここから新たな出会いが育まれることを願いながら、語り継ぎ、未来の命を守りたい」とあいさつ。地域の児童がシダレザクラなどの植樹に協力した。

 岡あさひさん(11)は、木や花の成長を願いながら「津波の恐れがある場合は、すぐ高台に逃げることを心掛けたい」と話していた。【山口紘史】




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