見出し画像

トンネル貫通 復興へ視界 来春開通の渡波稲井線 避難と物流円滑化に期待

 石巻市内東部の沿岸部と内陸部を南北につなぐ都市計画「渡波稲井線」の整備で、牧山の東側に掘り進めたトンネルの貫通式が13日に行われた。平時の物流強化だけでなく、津波発生時の避難や緊急輸送路として期待される幹線道路で、来年3月末の全線開通と東日本大震災からの復興へ視界が開けた。【熊谷利勝】

渡波稲井トンネル貫通式 (65)

貫通式で記念撮影に臨んだ出席者

 (仮称)渡波稲井トンネルの貫通式は稲井側の出口付近で行われ、行政や工事の関係者ら約70人が出席。模擬的な発破音が鳴らされると順番に渡り初めした。亀山紘市長は発注者あいさつで「災害に強い道路ネットワークを目指す路線。復興完遂の励みになる」と述べ、続く工事の安全と1日も早い完成を願った。

 トンネルは延長698メートル。幅は10.75メートルで完成後には上下各1車線の車道と片側の歩道が整備される。掘削は昨年7月に渡波側から始まり、8カ月かけて貫通した。施工者で共同企業体のうち㈱鴻池組東北支店の加藤康常務執行役員支店長は「無事故で貫通を迎えられた。工期内の完成に尽くす」と語った。

 避難道の役割を持つ渡波稲井線は、元の渡波中学校前の国道398号から、稲井中学校近くの県道稲井沢田線までの全長約3500メートル。県道は西側で石巻バイパスにつながり、さらに三陸道石巻女川インターに至る。開通すれば災害時の円滑な避難のほか、漁港や水産加工場が集まる渡波地区、魚町から三陸道までより短時間で結ばれ、物流強化が図られる。

 工事は平成26年度に着手。すでに渡波側の865メートルが完成し、現在は残り約2700メートルの工事が行われている。トンネルは山の中腹に掘られ、前後は地上からの橋でつなぐ。この2つの橋のうち、線路をまたぐ北の稲井側はJRに工事委託して建設が進められている。

 今年3月末現在、残りの区画の約85%の工事が完了。総事業費は用地費などを含め約94億円で、全額が国の復興交付金となっている。


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。