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東松島市・渥美巖市長 情報発信とスピード意識 復興と持続可能なまちへ

 平成29年4月に東松島市の阿部秀保前市長からバトンを引き継いだ渥美巖市長(72)。県議6期22年の経験と人脈に加え、持ち前の発信力を生かしながら古里の創造的復興、地方創生に力を注ぐ。本年度で復興事業のハード整備がおおむね完了を迎え、持続可能な地域につながる各種事業も本格化する。「協力を得られているからこそ走り続けられる。この流れと一体感を大事にしたい」と話す。【横井康彦】

 ―就任3年が過ぎた。

市長 市長選の出馬表明が遅くなり、有権者に迷惑をかけた。その中で期待をもらい今がある。「渥美巖で良かった」と胸を張ってもらえるような市政運営に努めてきた。航空自衛隊松島基地との関係性も大事にしてきた。情報発信とスピードも意識して取り組んできたと自負する。唯一の反省は一度、脱水でダウンし、家族や周囲に迷惑をかけた。

 ―復興事業と地方創生の取り組みの評価は。

市長 国、県とのパイプを生かし、職員が一体感ある「チーム東松島」のように連携しながら創造的復興を進めてきた。復興事業は95%の進行率。心のケアなどソフト面や最大の課題である人口減少対策は今後も続く。SDGs未来都市の選定を受けており、「住み続けられる東松島市」の実現を目指す。

渥美巖市長 (3) - コピー

 就任からの歩みを振り返る渥美市長

 ―人口減少対策は。

市長 教育分野や子育て環境の充実に力を入れてきた。学習時間確保で夏休みを4―5日短縮し、環境整備は各小中学校にエアコンを取り付けた。文部科学省の「GIGAスクール構想」に対応し、年度内には児童生徒に端末機器の配布を進める。
 民間保育園を2カ所誘致し、待機児童を大幅に減らした。両保育園は夜8時までの預かり保育が特長。放課後児童クラブも民間委託で預かり時間を延長し、共働き世帯に配慮した。今後は災害公営住宅管理も民間委託して市内や圏域で経済を循環させていく。

 ―交流人口拡大への取り組みは。

市長 平成30年に宮城オルレ奥松島コースが開設され、昨年には被災した矢本海浜緑地の再建に合わせ、県との連携で計54ホールのパークゴルフ場を設けるなど交流人口の増加を意識した。私立高校の誘致から開校までも短期間で完結でき、学校を応援する後援会組織も立ち上がった。生徒募集の課題はあるが、行政のリーダーとして号令をかけていく。

 ―新型コロナの影響と対応の評価は。

市長 今年の3月11日は県内で唯一追悼式を実施した。全国的に感染者が増加していた中で難しい決断だったが、被災者に寄り添うことはもちろん、風化が進む中で「東日本大震災はまだ終わっていない」「震災を国民みんなで語り継ぐことが大切」とのメッセージを発信する意味も込めて開いた。
 東京五輪聖火到着式は、地元の子どもたちを式典に参加させることはかなわず、残念だったが、スポーツ健康都市宣言を行うことができた。国の一律10万円給付は、職員連携でスピードと正確性を持って他自治体に先駆けて対応できた。

 ―任期も残り約10カ月となる。

市長 本年度は市政施行15周年と震災から10年目。現在、三陸自動車道矢本パーキングエリアに「道の駅」を整備するプロジェクトのほか、野蒜地区の被災元地を使った「令和の果樹の花里づくり」を進めており、来年度はコミュニティセンターの大規模改修も控える。

 残された期間で次のステップに進めるよう職責を果たす。復興のモデル自治体、そして地域の力を最大限生かせる自治体を目指し、これまでの流れを大事にしながら、リーダーとしての自覚と責任を持って任期を全うしたい。



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