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重厚な質感 鉄の新作 彫刻家佐々木巌さん 水明北の私設展示室開放

 石巻市美術展などに何度も出品、入賞している彫刻家の佐々木巖さん(77)が新作を完成させた。コロナの影響で昨年中止になった石巻美術展は2年ぶりの開催が決定(10月23-30日、マルホンまきあーとテラス)。石巻市水明北の自宅の別棟を私設展示館としている佐々木さんは「興味のある人はぜひ見てほしい」と出品前の三作品鑑賞を呼び掛けている。

 完成したのは「無限龍」「夫婦鯉(メオトコイ)」「ひまわり」の3作品。龍は高さ約1メートルで今にも動き出しそうな胴が8の字になっており、無限大のマークに似ている。2匹のコイは丸々として今にも飛び跳ねそう。龍や鯉のウロコ、ひまわりの花びら一枚一枚は丁寧に溶接されており、鉄とは思えないほど。

彫刻家佐々木巖さん (12)

作品が並ぶ私設展示館に立つ佐々木さん

 「近所の人には見てもらったのですが。好きな人がいれば、いつでも見に来てほしい」と佐々木さん。自信作だけに思いもひとしおだ。美術展開催が決まってホッと一安心だ。

 長年、鉄骨建築の会社を営んできた佐々木さんは、仙台駅前の高層ビル「アエル」の施工、石巻地方では東松島市の赤井小学校体育館などを手掛けた。

 転機は40代半ば。信頼する僧侶から「心安らかにあるためには彫刻をやりなさい」と勧められたという。同じころ、たまたま彫刻の教室を見学して「これなら自分にもできるかも」と思い、木彫を始めた。

 以来、主に龍をモチーフに作品を生み出しており、近所の寺社に奉納してきた。しかし木板は高額なこともあり、仕事で使い慣れていた鉄板加工に切り替えた。

彫刻家佐々木巖さん (16)

新作の「夫婦鯉」と「ひまわり」

 かつて石巻製作所で捕鯨船のモリを作っていた父親が腕のいい鉄職人だったという。その血を継ぐ佐々木さんは、独学で鉄をまるでアメ細工のように自由自在に加工する腕前になった。

 たまった作品は、14点。5年ほど前から自宅横の棟を「彫刻絵画館ガンタ館」と名付けて私設展示館としている。親類が描いた絵画も30点近くある。

 60歳で仕事を引退した佐々木さん。今は彫刻に熱中する毎日。「いつか、木版で定義如来(じょうぎにょらい)を制作するのが夢」という。

 なお、ガンタ館見学希望者は佐々木さん(0225-23-0034)まで事前連絡を。【本庄雅之】


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