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ワンランク上の感染対策 松島基地航空祭 基地内外へ配慮巡らす 

 3年ぶりとなった航空自衛隊松島基地の航空祭は、コロナ禍における感染対策を徹底した。まず基地内への入場者数を制限するため、初の事前応募抽選制を採用。ウェブサイトから申し込み、委託業者が抽選。メールで当選通知を流し、開催数日前に入場券となるはがきを送付した。来場者の大半は東北地方在住者。コロナ禍であり、抽選基準は「なるべく地元近辺」という配慮があったのではと推察できる。【横井康彦】

飛行情報管理で密集回避

 28日の行事当日はあいにくの天候に見舞われた。それでも午前9時の開門時刻の数時間前から入場ゲート前に来場者が続々と集結。基地周辺の渋滞や近隣住民への迷惑を回避するため、同基地では警察など関係機関と協議し、予定より1時間強早い7時50分ごろに開門した。ゲートでは、当選はがきを確認し、その場で手指消毒も実施。基地内での食事類の販売も行わず、食べ歩きが生じない環境を構築した。

 初めて設置した「有料観覧席」も防衛省の参加者アンケートで好評だった。基地施設屋上に設けられた区画から飛行するブルーを間近に感じることができ、航空写真撮影にも絶好な場所だった。

早期の開門で基地外での混乱や渋滞を回避した

 この有料観覧席では、飛行する機体を撮影するための一部望遠レンズの使用が認められた。過去に一般の観覧場所で子どもが望遠レンズと接触してけがをした事例があったため、安全対策の意味も含めて使用区画を分けたことでトラブルを未然に防いだ。

 主催者発表で、最終的な基地来場者は2万5千人だったが、基地外にも当選できなかった航空ファンが数多く詰めかけていた。

 この状況もあらかじめ想定していた基地では、当日のイベントプログラムについて関係者以外の内容開示を控えていた。ファンのお目当てが、ブルーインパルスやF―2戦闘機の展示飛行である以上、飛行時間が知れ渡っていては、基地外の人気撮影スポットに人が密集してしまい、地域や住民に迷惑が生じる可能性に配慮した。

 基地広報班は「事前に情報がわかってしまうと、その時間に混雑や渋滞、密集などが生じる。このためプログラムは(基地関係者やメディアなど)必要な人にしか周知しなかった」という。このため来場者には、基地内のアナウンスで周知を図っていた。

 こうした細かな配慮でトラブルなく閉幕した航空祭。雨天により飛行行事はフィナーレのブルーインパルスの編隊飛行のみとなったが、雨にも負けず待ち続けたファンにとっては待望の雄姿だったはず。同基地では「人数を制限せず、多くの方々に基地の中を見てほしかったが、コロナ禍で入場制限を設けざるを得なかった。雨天も残念であり、来年こそは本来の形で迎えることができれば」と話していた。





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