見出し画像

「やってみないと分からない」 宣言前夜も 客足まばら 酒なし営業か、休業か店主ため息

 新型コロナウイルスの感染拡大で宮城県も緊急事態宣言の対象地域に追加され、27日から石巻市内の飲食店などで酒の提供が全面停止された。宣言前夜の26日は駆け込み需要も見込まれたが、客足はまばら。酒抜きで営業を続ける店、当面休業する店など対応はまちまちだ。

 同市立町の焼鳥居酒屋「備長扇屋」では、午後6時すぎ、座敷に2組とカウンター席には男性が1人。テーブル席はガラガラで、人気店のにぎわいは見られなかった。

 店長の佐藤悠樹さんによると、焼き鳥のテークアウトは需要があるため、ソフトドリンクと食事メニューの提供で27日以降も営業を続けるという。「どれだけお客さんが来てくれるか、やってみないと分からない」と不安を口にした。

緊急事態宣言の繁華街1

宣言前夜に店で酒をたしなんだ(扇屋)

 食品ロスを少なくするため、提供メニューを絞るほか、正社員だけで勤務シフトを組むなどの対応をとる。

 近くの居酒屋「どんぐり」では、もともと接待の時しか店で飲まないという男性が「個人的には影響はないけれど、水産業があって居酒屋がはやってないと経済が回らない」と渋い表情を見せた。

 店主の津田佳世子さんは「ランチ営業も考えたけれども、人のやりくりがつかない」と言い、27日から宣言期間の9月12日まで休業を決めた。

 「私たちが店を休んでも、コンビニで24時間酒が買えるから、外飲みする人がいるかも」とこぼした。店の近くに酒類の空き缶がよく落ちていて掃除も大変だという。

緊急事態宣言の繁華街2

酒の棚を整理する四釜社長

 穀町の老舗酒店「四釜商店」は、契約店からの電話対応に追われた。四釜壮俊社長は「夏なので多めに仕入れたばかり。昨年の緊急事態宣言の時はメーカーが返品を受け付けてくれたが、今回は分からない。補償があるかも分からない」とし、「店での需要を伸ばしたいが、宣言が急に出されて準備する時間がなさすぎる」とぼやいていた。

 今月20日にまん延防止等重点措置が適用されて以来、休業を決めた飲食店は多く、緊急事態宣言で酒類提供が禁止されたことで繁華街は一層冷え込みそうだ。【本庄雅之】


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。