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旧大川小の遺構整備着手 本年度末完成 校舎手加えず整地や緑化

 東日本大震災の津波で児童、教職員84人が犠牲となった旧石巻市立大川小学校を遺構として整備するための工事の安全祈願祭が16日、現地であった。始まるのは整地や緑化など外構工事で、校舎周辺は基本的に手を加えずありのまま残す。来年3月末の整備完了を予定し、犠牲者の慰霊や避難の重要性といった教訓を伝える場とする。【熊谷利勝】


大川小遺構整備安全祈願祭 (34)

施工業者による安全祈願祭が行われた

 工事を請け負う南光運輸(株)=石巻市=が開いた安全祈願祭には社員ら約10人が出席。黄金週間明けから作業に入る予定で、同社の三浦正巳緑化土木営業所長は「安全最優先で工期内の完成を目指したい。きちんとした慰霊の場になるよう整備する」と話した。

 整備面積は約3.3ヘクタール。基本設計によると校舎や体育館跡などを震災遺構として現状のまま残し、西側に「追悼の広場」「鎮魂の森」を設ける。校舎は安全な距離を保った上で外からの見学になるが、敷地内を順番に巡ることで事実に向き合い、各々が考える空間とすることにしている。県道沿いは桜並木に加えて一部にフェンスを張り、外からは見えにくくする。

 展示室や多目的スペースを置く管理棟も設置する計画で、市は6月ごろに建設工事を発注する予定。外構工事も含む総事業費は約4億8千万円。市は工事中も安全に配慮しながら見学や語り部活動ができるようにし、全面的な立ち入り禁止にしない考え。工事の状況に応じて校舎に近づける範囲を検討していく。

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