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【6月 食品衛生法改正】手づくり漬物「許可制」に

石巻地方は影響少なく

 道の駅や直売所で売られている自家製の漬物は、6月以降、食品衛生法の改正に伴って漬物製造が保健所の許可制となる。加工施設を設けるなど投資も必要なことから、全国的に廃業する生産者も出ているが、現在、漬物を販売している石巻地方の生産者には影響が少ないようだ。石巻保健所は以前から加工施設の設置基準を厳しくしており、完全実施後も製造を続けられる生産者は多い。

 東松島市赤井の農産物直売所「菜々色畑」は、20年以上前から地場産野菜を販売。買い物客からの要望で、手づくりの漬物も販売している。直売所が開くのは2―12月の毎週火、土曜。午前10時の開店前から地域住民が列を作る盛況ぶりだ。

直売所で人気の手づくり漬物は、6月以降も販売が続く

 9人の生産者が野菜などを売っており、代表者の齋藤あや子さん(74)は「製造当初から、石巻地方は設備の基準が厳しかった。今回の改正で変更したのは蛇口の形状や温度計の設置のみで、これまでと変わらず漬物を作っている」と話す。

 道の駅上品の郷=石巻市小船越=の農産物直売所「ひたかみ」で漬物を販売する「白うり会」の三浦和江さん(72)も「すでに対応した設備になっており、6月からも生産は続けられる。石巻地方ではなく、大崎市で漬物製造を取りやめる生産者が多く出ていると聞いている」と語っていた。

すでに厳しい基準満たす

 石巻地方は複数人で加工施設を使うグループが多く、JAいしのまきの各直売所でも改正衛生法の基準を満たした設備を整えているケースがほとんど。石巻地方では漬物製造に支障が出る個人生産者はわずかという。

 手作りの漬物は県への届け出制だったが、平成24年に北海道で食品会社の作った白菜の浅漬けが原因の食中毒が起き、8人が死亡した。これを期に食品衛生法が改正され、許可制となって令和3年に施行された。

 改正では、生活スペースと食品加工場を明確に分け、水道やシンク、冷蔵庫などの設備は高度な衛生管理を行うHACCP(ハサップ)対応が義務となり、今月まで3年間の猶予期間が設けられた。【渡邊裕紀】

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