第1回 口臭に対する一般的な意識

　新型コロナウイルスの対策でマスクの着用は個人の判断に委ねられています。思い起こせば、感染拡大でマスク着用が原則義務化されて以降、自身の口臭を気になされる方が増えました。また、現在は口臭を気にしてマスクを外せないという方もいます。この連載企画では口臭について解説していきます。

　日本歯科医師会が全国の10～70代1万人を対象に行った口臭の調査があります。その結果を紹介させていただきます。

　日本人の約80％が自分の口臭が気になった経験があり、男性より女性の方が気にしています。また加齢に伴い女性は口臭を気にしますが男性は気にしなくなる傾向があります。自分以外の人の口臭については男性に比べ女性の方が口臭を気にする人が多く、そして女性が最も気になるのは「配偶者」の口臭だそうです。

　夫は加齢とともに妻の口臭を気にしなくなりますが、妻はいくつになっても夫の口臭がずっと気になっているようです。また「配偶者」に次いで気になる相手は「会社の上司や同僚」「男友達」だそうです。口臭を他人から指摘された経験があるのは約40％で女性より男性の方がやや多いそうです。

　また「距離をあけられる」「顔を背けられる」「会話中に嫌な顔をされる」など口臭を態度やジェスチャーで他人から示された経験があるのは約4人に1人だそうです。

　なかなか対面している相手に口臭を指摘するのもはばかれます。しかし無垢な子どもは「おじぃちゃんお口くさーい」と正直に言ってしまうこともありますね。

　この結果を皆さんはどう思いますでしょうか？次回は口臭そのものについてお話します。

---

■筆者：山本寿則（やまもと・としのり）
歯科医師・歯学博士・東北大学大学院歯学研究科非常勤講師・日本口臭学会認定医。最近の趣味はスーパー銭湯と動物園・水族館・博物館巡り。