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船越小元児童 拝啓 10年後の自分へ タイムカプセル開封

手紙に「復興の役に立つ」

 石巻市雄勝町大浜の葉山神社内で13日、10年前に地元の船越小学校(平成24年度末閉校)の全校児童15人が埋めたタイムカプセルが掘り起こされた。元児童だった若者9人と保護者、当時の教諭が参加。カプセルには学校生活の中で撮られた写真や10年後の自分に宛てた手紙などが入っており、若者たちは懐かしさに浸りながら思い出を語り合った。

 船越小は東日本大震災で校舎3階まで津波が襲い全壊。児童は裏山に逃げ全員無事だったが自宅が流失した子が多く、転校などで児童数は大幅に減少。24年度末で閉校し、雄勝小と統合した。

 閉校の1年前、震災直後から被災者の願いをかなえる支援活動を行っていた大阪市の吉村大作さん(当時31歳)が「船越の児童に未来への希望を持ってほしい」とタイムカプセルを提案。児童らは高さ約40センチ、直径約20センチのステンレス製カプセルに思い出の品を入れ密封。24年3月、吉村さんとともに学校近隣にある葉山神社内の雑木林に埋めた。

約40分かけて掘り起こしたタイムカプセル

 そして掘り起こし日を決めていた10年後の13日。たくましく成長した若者9人が地域内外から集まった。「何を埋めたか覚えていない」とそわそわした様子で雑木林に入り、目印の柱の根元を農具で掘り進めた。

 1メートルほどの深さにカプセルを包んだビニール袋が見えた。「あった」。はやる気持ちを抑えつつ若者たちはカプセルのネジを外し、ふたを開けると、中には食品保存用袋で密閉された写真や手紙の束が姿を見せた。

 写真は授業や運動会など学校生活を切り撮ったものが多く、教室に掲示してあった掃除当番表や学級だよりなども続々。「こんなことあったね」と懐かしさに浸っていた。

10年前に自分が書いた「自分宛」の手紙を読んだ

 中でも目を引いたのは10年後の自分に宛てた手紙。土木建築業の松田紘佳さん(19)は当時3年。震災後、父が重機でがれきをよけていたことが記されており、「ぼくも10年後がれきを上げる(除ける)仕事をする。ご飯を食べて強くなる」とつづられていた。松田さんは「古里に貢献したいという気持ちで書いたんでしょうね」と振り返っていた。

 同じく土木建築業の大槻龍央さん(19)の手紙には「10年後は優しく、頭の良い人になる」と書かれていた。大槻さんは「あいにく頭は良くないけれど、優しさはあると思う」と冗談を交えて笑った。

 「大工になり復興の役に立つ」と書いた当時6年の伊勢晃斗さん(22)は、言葉通り仙台市で大工の仕事をしているという。「被災した古里を元に戻したいと思っていた。石巻の住宅も手掛けたことがあるので、多少復興の役に立てたのかな。いずれにしても好きなことを仕事にできているので、いまは幸せ」と話した。【山口紘史】


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