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宮城県地価公示 上昇幅小、下落幅大 コロナの影響色濃く

 国土交通省は23日、土地取引の基準となる令和3年公示地価(1月1日現在)を発表した。県全体の平均変動率は1.1%と9年連続で上昇し、1平方メートルの平均価格は14万2300円(3700円増)。地域別では、仙台市の平均変動率が2.3%で9年連続、同市周辺市町村が1.3%と8年連続で上昇した一方、新型コロナ禍に伴う影響から上昇幅は縮小傾向に。また、他市町も1.3%減と6年連続で下落し、下落率も前年より拡大した。【横井康彦】

仙台市国分町5.1%減 石巻地方は下落続く

 県内の調査地点は住宅地411カ所、商業地148カ所、工業地13カ所、宅地見込地3カ所の計33市町村575カ所。仙台市を除く住宅地の市町村別平均変動率では、大和町が3.9%で最も上昇し、南三陸町が4.2%減で最も下落した。大和町周辺は、北部工業団地整備に関連し、働き手の土地需要が高まったという。

 石巻圏域でみると、石巻市は全用途の平均変動率が1.3%減で、前年(0.7%減)と比べて下落幅が拡大。全地点で下落をみせた。東松島市も1.2%減(前年1.1%減)。矢本駅徒歩圏内は一定の需要があるという。地価水準は震災前と同等かそれ以上だが、民間取引件数が減少しており、不動産市場が低迷しているという。

 震災の被災市町では、災害公営住宅の供給など移転需要が完了し、地価上昇の程度は、鈍化し下落へ転じている。人口流失と地域経済の衰退で、不動産市場も低迷しており、地価は弱含み。新築物件の供給も減少しており、取引は少ない。コロナ禍の影響に伴い、雇用不安など子育て世帯を中心に戸建て住宅需要に慎重姿勢が今後やや強くなるという。

 商業地では、仙台市の上杉2丁目で7.8%の上昇率を見せた一方、国分町2丁目が5.1%減と、県内で最も下落した地点となった。仙台市の商業地で大幅下落が見られたのは、平成23年以来。

 不動産鑑定士の千葉和俊代表幹事は「上昇地点の上昇率が弱まり、下落地点の下落が大幅に強まった。住宅地は一昨年末から需要が弱まっていたところにコロナ禍がきた印象。ただリーマンショックと異なり金融システムがダメージを受けたわけでなく、心理的な影響が大きい。投げ売りとかはなく、市場に混乱はない」とした。

 一方商業地については、「国分町が下落率1位になった。昨年末から閉店や撤退する店が増え、厳しさはある。新築のオフィスも増えているが、空室率は大きい。コロナ禍でオフィスの縮小・撤退があり、注視が必要。また、ホテル需要が全くなくなり、全国的に倒産や撤退している所もある。仙台の街中で建設中のホテルもあるが、アフターコロナを見据えた動きもあり、楽観論と悲観論が共存している」と語っていた。


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