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石巻日日新聞

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石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
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2022年2月の記事一覧

旧門脇小4月3日から公開 震災遺構整備が完了 教訓伝え防災学ぶ拠点

 石巻市は25日、東日本大震災の被害と教訓を伝え、防災を学ぶ震災遺構として整備した旧門脇小学校を、4月3日午前9時から一般公開すると発表した。  整備では津波火災の痕跡を残す3階建て本校舎の一部を保存。来館者は内部に入れないが、裏側に設置された観察棟から見ることができる。また、既存の特別教室、屋内運動場を展示館に改修。写真や映像、模型、被災の現物を用い、門脇小と周辺地域の被災前後、津波からの避難行動を伝えるほか、3千人以上が犠牲となった市内の被害と復旧復興などを紹介する。

門脇流留線全線開通へ 3月24日午後3時 東西沿岸部の交通円滑化

 県は25日、都市計画道路「門脇流留線」のうち、門脇工区3.4キロを3月24日午後3時に開通させると発表した。これにより石巻市の門脇から魚町まで、東日本大震災の復興交付金で整備を進めてきた7.9キロ全てが開通することになる。同線は東側で国道398号、西側は矢本門脇線経由で国道45号に接続し、東西沿岸部が大幅に行き来しやすくなる。 災害避難や救援路にも  事業は平成24年度に始まり、令和2年秋に日和大橋東側の魚町工区(2.6キロ)、昨年7月に石巻南浜津波復興祈念公園南側の南

11年ぶりイワガキ収穫 宮水3年 栽培漁業実習 初物「濃厚でおいしい」

 宮城水産高校(瀧田雅樹校長・生徒305人)の3年生3人が24日、石巻市前網浜の栽培漁業実習場で11年ぶりにイワガキを水揚げした。東日本大震災後、種ガキの入手が困難だったこともあり、何とか養殖にこぎつけた3年物を収穫。大きく育った身を口にし、「濃厚でおいしい」と満面の笑みを浮かべた。  収穫に参加したのは海洋総合科生物環境類型カキ班の阿部優斗さん、高橋銀さん、山下礼悠人さん。前網浜岸壁から2キロほど沖合の養殖場で、県漁協前網浜支部の漁師のサポートを受け、約300キロを水揚げ

手描き絵の魚図鑑出版 元宮水教諭の座間さん 興味広がる156種紹介

 元宮城水産高教諭の座間彰さん(71)=石巻市渡波=が、手描き絵を用いた魚類図鑑「お魚あれこれ」を自費出版した。クロマグロやカツオといった食卓に身近な魚をはじめ、鑑賞用に飼育される金魚や生きた化石といわれるシーラカンスなど156種類を掲載。テレビや店頭で魚を見かけて気になった時に引くことができ、手元に置きたい一冊だ。 本紙「目からウロコ」著者 地元で水揚げされる魚から川の淡水魚、海外の珍しい魚類まで、手描きの絵に形態、生態、分布、さらには利用まで踏み込んだ解説を添えて紹介。

心もホット「ストーブ列車」

仙台―女川間 特別車両 トロッコ風車内で観光 JR東日本のイベント列車「風っこストーブ女川号」が19、20日に仙台―女川駅間を運行した。車内には石炭ストーブが備え付けられ、窓も大きな特別列車。2日間で200人以上が乗車し、鉄道の旅と女川町での観光を楽しんだ。  列車は震災後に仙台―女川駅間で臨時列車として走り、その後定期運行されている。ストーブ付きでトロッコ風に改装した「びゅうコースター風っこ」(2両編成)であり、多くの親子連れや鉄道ファンを女川町への旅にいざなっている。車

石巻市 子育て支援 育児ヘルパー事業好評

ワンコインで気軽に依頼 産前産後の話し相手にも 石巻市が本年度から妊産婦を対象に始めた育児ヘルパー事業が利用者から好評だ。自宅へ派遣されたヘルパーが家事や育児を手伝うサービスで、1回当たり2時間まで500円で気軽に頼める。市外から転勤してきた家庭の利用が多く、自宅にこもりがちな新型コロナ禍では、ヘルパーは良き話し相手でもあるようだ。  結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のなく行う支援の一環。「家事・育児が大変で余裕が持てない」、「産後、手伝ってくれる人がいない」といった家

かわいい〝ケーキ缶〟登場 石巻駅前に自販機設置 飲食店経営の浅野さん 「見た目も味も楽しんで」

 鮮やかな断面が目を引く「ショートケーキ缶」の自動販売機が石巻市内に初登場し、22日からJR石巻駅前で稼働を開始する。コロナ禍で定着した非対面の販売であり、手掛けたのは飲食店経営の浅野基さん(31)。ケーキ缶は都内や北海道などで注目を集める販売形態で、透明なプラスチック容器に入り、ケーキの断面が美しく見えるのが特長。写真映えするため、若者を中心に人気を集めそうだ。  浅野さんは「ナイスピクニックデイ」=石巻市鋳銭場=、「釜めしかふぇ万石庵」=同市三和町=を営む。コロナ禍の現

「困窮者支援」 ⑤提言 気にかける意識醸成

 コロナ禍による地域経済の疲弊は、減収や失業という形で家庭にも影響を及ぼしている。自立支援機関などへの資金貸付や食糧支援要請が増えているが、現状がピークなのかも不透明だ。援護資金貸付は一時の難をしのぐための手立てであり、根本的な困窮脱出策ではない。1年間の償還免除期間を過ぎれば借金であり、厳しい社会情勢の中でも自立に向け歩み出さなければならない。平時と異なる環境での自立において、支援は一層重要な役割となる。  困窮者のケースは千差万別だが、金銭的困窮と社会的孤立がセットにな

12年ぶり海水浴場再開へ 東松島市・野蒜 ビーチスポーツ区画新設

 東日本大震災で被災した東松島市の野蒜海水浴場が今夏、およそ12年ぶりに再開される。本来は昨年を予定していたが、コロナ禍で先送りしていた。防潮堤は高盛土道路と一体的に整備され、海水浴場周辺には駐車場や休憩施設も完備。新たにビーチテニス・バレー兼用コートも整え、交流人口の拡大を図る。野蒜地区は昨年、国から過疎地域に指定されており、海岸線を生かしたにぎわい創出が定住拡大につながりそうだ。  野蒜海岸は、景勝地「奥松島」の一角であり、全長約3キロの砂浜が緩やかに弧を描く県内有数の

「困窮者支援」 ④展望 酒に頼らず、人に頼る

 石巻市大宮町の下宿「青森屋」で暮らす渡邊高司さん(49)は生活困窮を経験した一人。「数年前まであすを考えることさえできなかった。今苦しんでいる人が前を向くきっかけになれば」と自身の体験を赤裸々に語ってくれた。  女川町出身の渡邊さんも当初は順調な人生を歩んでいた。それが人間関係のもつれや障害から次第に酒に頼る生活になり、離婚も経験した。5年前に神奈川県から両親の住む石巻地方に戻ってきたが、両親も生活保護を受ける都合から、障害年金支給を受けていた渡邊さんは一緒に生活できず、

「困窮者支援」 ③対応 自発的な行動、相談促す

 東松島市からの委託で「市くらし安心サポートセンター」を運営する同市社会福祉協議会。困窮に伴う援護資金貸付や食料支援などの相談を契機に、各専門機関と連携しながら課題解決や自立への後押しを進めている。相談者の事情を聞き、困窮原因を調べ、金銭の使い道に課題があるなら出費など家計を見直す。生活保護要件に該当する場合は市役所へ。該当・希望しない「制度の狭間」の人も、自立支援法に基づきサポートしている。  元行員で平成27年度から社会福祉の世界に飛び込んだ同センターの及川貴之所長(4

石巻・鈴木さん体験談 「なぜ俺だけ 一体どこで?」 

 新型コロナの第6波は、誰がいつ感染してもおかしくない状況となった。「風邪とは全然違います。決して甘くみないで」。石巻市の宿泊療養施設で9日間過ごした同市折浜の鈴木省一さん(44)が体験談を語った。 コロナ感染で宿泊療養 ▽1月28日=職業は写真家。仙台で仕事を終えて帰る途中、突然悪寒が襲った。今度は体が熱くなるような感覚。経験則からインフルエンザに似た初期症状で、家で熱を測れば39度だった。3歳の長女も発熱して保育所から帰ってきていた。  コロナ感染を疑って妻が県のコー

「困窮者支援」②現状 食料対応から見える実態

 生活困窮者を把握するきっかけとなるのが食料支援と生活援護資金の貸し付けに関する相談だ。フードバンクや社会福祉協議会などに寄せられる声を足掛かりに関係を築き、対象者の状況調査や自立に向けた支援を進めている。特にフードバンクは一人親世帯への直接支援もしており、食料支援件数が地域の困窮世帯数把握の手掛かりとなっている。  県北部を管轄するフードバンクいしのまき(末永博代表)によると、令和元年度の食料支援要請数は約800件。それがコロナ禍に見舞われはじめた2年度には約1300件に

選択と集中の緊縮財政 求められる議会機能 石巻市議選まで3カ月

 任期満了に伴う石巻市議会議員選挙(5月22日投開票)は、15日で告示まで3カ月となった。震災復興事業は一定のめどがつき、目下の課題は少子高齢化と人口減少。これらは財政収支に大きく影響し、行政は何を取りやめ、限られたお金や人材を何に使うのかといった選択と集中を視野に入れる。一方で市民サービスが極端に低下しないよう、市議にはこれまで以上の監視機能と政策提案が求められる。  市内人口は昨年末で13万8686人。合併時(平成17年)に約17万人だったが、震災と少子高齢化などで約4