見出し画像

2022.7.8 閃きは枯渇から

あるレシピ提案のお仕事のため、試作の日々。
私は生粋の食いしん坊で、尚且つ雑食だ。
甘いものとイチゴは得意じゃないけれど、ホルモンもパクチーもジビエも珍味も何でも食べる。
新しいものも流行り物も好きで、特に食に関しては保守的の真逆にいるから、初めてみた食材や料理はひとまず食べてみる。


そんな雑食の私だけれど、今回のようなレシピ提案や料理教室やケータリングなどでは、ヴィーガン料理を専門としてる。
私にとってヴィーガンは一番気軽に楽しくつくれる得意分野。
野菜や乾物が好きだから、普段からついついそれを使って料理したくなっちゃうだけ。

イタリアンや中華と並列して、ヴィーガンがある。
あくまでも食の選択肢のひとつでしかない。


もちろん環境や健康に与えるインパクトや倫理的な思想も、ないわけじゃない。
でも私がヴィーガン料理を選択する理由として、それは一番じゃない。

作っていて一番楽しいから。


定期的にやっているレシピ提案のお仕事。
テーマは「軽食過ぎないサブプレート」。
コース料理だけじゃ物足りない方へのプラス一皿であり。
ガッツリは食べたくないけれどサラダやおやつじゃ軽すぎる方への一皿であり。

言葉を選ばずに言えば、罪悪感を感じずにお腹が満たされる一皿。


実はこの仕事のお話を頂いた1週間ほど前は、近年稀にみる「ちっとも料理やる気なし期」で、ほぼ毎日冷奴+αな生活をしてたところ。
平時は電気代気にしなさい!と自分に突っ込みながらも、冷蔵庫をあけては在庫チェックして、何つくろうかなー?なんて日々を送っているというのに。

「お声がけありがとうございます!」って元気に挨拶したけれど、全くイメージも浮かばないまま夜が明けて…。

そういえば、野菜のグリルとかどう?って言われてたなー。
なら、ソースをつくろうかな。
いや、ふりかけ的な何かがいいかな。

台所の調味料を手にとりながら、汗だくでぼんやりしていたら、


あ、スパイス!スパイスが欲しい!
デュカつくろ!

って閃いてからは、ノリノリ。

アーモンド、カシュー、ピーカンナッツにスパイス各種と胡麻をたっぷり。
ガーッとブレンダーにかけたら、食欲をくすぐるいい香りが部屋中に広がって、もうそれだけで幸せいっぱい。

そっか。
暑さと湿気が身体中にたまって、体型も味覚も思考もぼんやーり浮腫んでいたんだな。
余計な水分や毒素やモヤモヤを、外に出してくれるスターターが足りなかっだんだ。

「スパイスが必要だよ!」


って閃きは、私の中に枯渇していたものを気づかせてくれるものだったんだ。


出来立てのデュカをそのままポリポリと食べているうちに、真っ白なA4用紙にはつくりたいものメモがぎっしり書き込まれてた。

枯渇はスペース、空間でもある。
パンパンのところには何も入らない。
アイデアも妄想もはいらない。

閃きには枯渇が必要だったんだね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?