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お気に入りの歌集九螺ささら『ゆめのほとり鳥』

 こんにちは。こちらをお読みくださりありがとうございます。いつも書いているお便りとは別に読んだ歌集の記録をのnoteに始めることにしました。昨年、短歌に出逢ってからゆっくりと歌集を読み始めました。(大人買いして読み漁るタイプの人間ではないため月1冊2冊購入して読む程度が……)短歌のマガジンを先日作成したので、そこに増えていくことを願いつつ残していきます。

 今年の春に購入して何度も繰り返して読むほどお気入りの歌集は九螺ささらさんの『ゆめのほとり鳥』です。書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)さんの新鋭短歌シリーズの1冊です。イラストもとても素敵で歌人の東直子さんが描かれています。

とり

見えないせかいや宇宙やおとぎ話が好きな人は心惹かれる短歌なのでは?と思う歌集です。目次にある「宇宙へのアクセスとしての眠り」なんて、もうこれだけで心が躍ります。本の帯に東直子さんが「どうしてこんなことを思いつけるのだろう」と書いていますが、もう通りでどこにアクセスして受信して短歌をつくられていらっしゃるんだろう?という感じです。かなり九螺ささらさんが気になりインタビューを読み漁っていたら。夢にあったことをメモしていると書いてり人がみえていないものがみえている方なんだろうと、さらに興味が湧いてしまいました。サイン会やトークショーがあれば是非行きたいと思うくらいファンになってしまいました。

九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』の好きな短歌です。

鳥避けのCD揺れる銀河色 四億年前の記憶のごとく/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
植物園を菜食主義者の人とゆく「これは食べられる」「あれは毒です」/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
前世では戦(いくさ)で死に別れたらしく目が合ったまま外せない二人/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
不要だと集められたる六千のピアノが奏でる〈乙女の祈り〉/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
チューニングするようにきみに凝視され二人の波動が一致してしまう/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
美しいものが正しいそう思うたとえばドクダミの白の十字/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
「ハープとはゆめのほとり鳥の化身です」余命二ヵ月の館長がいう/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
不眠症の人たちは眠りを貯蓄し宇宙の外と交信をする/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』
フェンネルの和名が茴香(ういきょう)であることそのことが静かな福音のよう/九螺ささらさん『ゆめのほとり鳥』

 九螺ささらさんがドゥマゴ文学賞を受賞された『神様の住所』も読みました。言葉ってこんなに遊べるんだなという自分の頭のかたさをマッサージしてくれたような本で、また別の機会に記録しようと思います。




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