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短歌に出逢って1年が経つ*ひびのはなばな便り

 こちらをお読みくださる皆様へ

 こんにちは。梅雨入りしたようなお天気の毎日でおひさまの光が貴重に思う日々です。皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか?今日は昨年からマイペースに作っている短歌のことを綴ろうと思います。

短歌との出逢い

ちょうど去年の今頃(2020年5月)、2回目の抗がん剤治療が始まりしんどいなぁって日々が始まった頃だと思います。〝あの風〟というプロジェクトの参加者募集をSNSで出逢いました。

このプロジェクトは、コロナにより普段に増して様々な不安を感じるがんサバイバー(がん経験者)に、何か心のサポートになる活動ができないだろうか?と考えていくなかで生まれたプロジェクトです。”あの日の風”=サバイバーならではの想いや出来事を”短歌”に表現し、参加者のみんなで一冊の本を完成させる。それが、「あの日の風を記憶する わたしの31字」プロジェクト(〝あの風〟公式noteより引用。)

 まさに自分がコロナ渦で治療している身でしたが社会の役に立てた人間でもなかったので死ぬまでにそういうことに貢献しないと使命感的なものが走って応募しました。このようなプロジェクトは色々あるのですが、たぶん、短歌という言葉の表現なので参加できたのではないかと思います。小さい頃から本が好きだったこと、演技のお仕事で脚本を読んでいたこと、本を朗読していたこと、料理のお仕事でずっとレシピ考案の原稿を書いていたこと、生まれた時には他界していたひいお爺さんが俳句と短歌をしており新聞に掲載されたり教えていたこと、多分、生きていて点でばらばらなことが繋がって、〝あの風〟プロジェクトに辿り着いた気がしました。

短歌のレッスンをうける

 〝あの風〟プロジェクトが始動し、レッスンを受ける前に短歌になれるため〝あの風〟チャレンジというお題をもとにとりあえず31字にした短歌を提出を何度かしました。(今作ったものをみると穴に埋めたい、笑)そして、岡野大嗣先生のレッスンが始まりました。先生の歌集「たやすみなさ」」を購入し百人一首や国語の教科書でみた短歌しかしらないので衝撃的でした。人気の歌人の方なので、そのような方にレッスンしてもらえるなんてただの運のいい人だと思うと同時に本に載せられるような短歌まで辿り着くのか?という不安を抱えレッスン日がやってきました。

 初心者にも分かりやすいレッスンでレッスン後の交流会的なものが楽しかったです。場の空気が優しかったことを今も思い出します。当時を振り返ると抗がん剤治療の退院日にレッスン受けたり副作用に悶えながら受けたりしていたのですが、あの気力ってなんだったんだろう?と思いつつコロナ渦の治療で閉塞的な毎日だったので、参加者の方と話したり共有することを毎回楽しみにしていたのでしょう。多分、ライブ配信をリアルタイムでみるのと配信期日までにみることって熱みたいなものがまた別のものになっていて、レッスンもそういう感覚で欠席もせず終わりました。今ここで生きるライブ感は自分にとっては人生には大切です。

〝あの風〟歌集が発売される『「黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える」(左右社)』

2020年11月3日から始まった「あの風クラウドファンディング」は3日と約12時間でネクストゴール120万円を無事達成。その異例なるスピードに驚き歴史の証人になったような気持ちでいました。クラウドファンディングに参加してくださった皆様には今も感謝の気持ちしかないです。2021年2月4日「ワールドキャンサーデー」の日に「あの風」短歌集の発売についての情報が解禁となりクラッカーを鳴らす勢いの喜びに包まれました。そして2021年3月4日にリリースされました。この本を手にとると色々な方々の努力と感謝の結晶であることに気づかされました。

発売後は新聞掲載や著名な歌人の方々の感想を読み、展示やイベントの情報が流れるたびに本当に旅立ってしまったんだなと私のなかでこの歌集自体が〝あの風〟になりました。全てオンラインだったことがより一層〝あの風〟感を増した気がします。何もかもが夢の出来事だったみたいに過ぎ去り、そして今自分も生きていて時計の針が進んでいます。沢山の方々への感謝だけは忘れないように、時々この歌集を読んでいきます。手にとってくださった方の御守りになれば幸いです。私は短歌の提出しかしていないので、プロジェクトの発案者の尾崎ゆう子さんや運営の方の行動力は計り知れないものだと今もなおその熱意に圧倒されることがあります。

その後も短歌を続けている

せっかくの機会をいただいたので短歌を続けてみようと〝あの風〟後もマイペースに作っています。今年2月参加したオンライン短歌市で手作りZINEを販売したり、色々な短歌に触れたり、Twitterをフォローしてくれる人がいらっしゃったりで楽しかったです。ただ、短歌を感覚と勢いで作っているのでもっとじっくり丁寧に向き合わないとと思いSNSでは短歌をアップしなくなりました。スマホで作ってエクセルに打ち込んで自分の能力では推敲できなくなるところまで一首に時間をかけているので増えていかないのですが、何かで発表できたらと思います。お味噌のようにねかせて発酵させます。あとは、〝あの風〟プロジェクトで掲載していただいたのですけれども、『病院のベットでの不安な心に寄り添う』短歌は作れなかったのではないかと思います。他の方の短歌を拝見し寄り添うとは、こういうことではないか?と思ったり、自分の意思とは別で読み手が受け取るものと思いながらも自分の短歌をみると唸ってしまいます。治療で体力と思考が衰えて自分の日記にあったことを再現して短歌にしただけで不安な心に寄り添うまでは辿り着けなかったと、自分のなかで不完全燃焼なるものを残してしまいました。それをいかなる形で表現していくのかは自分の課題です。そう思えるくらいに治療から1年経っていないのですが元気に人間らしくなっているのだと受け止めています。それでも、この本はみんなで作った宝物で人生で大切な本です。

少し嬉しいことといえば今月号の短歌研究詠草の佳作で1首掲載されていたことでした。個人的にリニューアルされた最初の号のタイミングだったので嬉しかったです。

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          《短歌研究2021.06短歌研究詠草 米川千嘉子選 佳作》

自分の筆名をみつけた時、とても嬉しかったです。でも、1時間くらい経つとまだ自分はここなんだなぁと富士山を眺める気持ちで特選の方の短歌を詠ませていただきました。私は好きな世界はとことんどこまでも浸ってそこから抜けられなくなる狭い世界で生きてきた人なので、短歌研究は沢山の歌人の方の短歌が掲載されていて好みでなく読める月刊誌は有難いです。あと、表紙のデザインが素敵なところが好きです。短歌はコツコツとめげずに続けていきたいです。

今は戯曲にも興味があって、短歌の連作が戯曲のメモの役割にもなってくれたらと。もう少し自分の体力に自信がつき、東京のコロナを恐れなくなったら戯曲教室に通うのが今の自分の夢です。文字から世界をつくることがライフワークにしていければとわたしの心にひとつお花が咲きました。

 命って有限だからやりたいことをやりのこして来世にはいきたくないなと思う日々です。みなさんは何かやりたいことはありますか?そのやりたいことをやれることができますように。

 今日も沢山の感謝と祈りをこめて。

 それでは。また。

                                           2021.05.22

                                                                  ひびのはなばな ひびの祈り 










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