未来の可能性を手放さないために
金沢での生活はあっという間に残り1ヶ月程になった。気に入った家の退去までは2週間も無い。長いようで本当に短い半年。今は想像もできなかった世界の状況や自分が置かれている立場に不安を感じる日々が続いている。
もし、コロナが流行っていなかったら…という体で今後のことを考えてみると「実家に戻って就活を始める」というのがある程度決められた流れになるのだろう。実際そう決めて退去をすることを決めたのだから…。
人生で初めての就活を始めるタイミングがコロナの影響で「就活氷河期」と呼ばれるタイミングと被ってしまったことで、大きな不安を感じてはいるものの、心のどこかで「みんな同じ状況で不安だから大丈夫」という前向きな気持ちもが少しだけ湧き出てきた。もしかすると、普通の状況で就活をしていたほうが辛かったのかもしれない。私は何事にも「言い訳」を考えてしまいがちなので、「みんなが苦しい状況だから」という前置きは願ってもいなかった精神安定剤のようなものにも思えてくる。
そんな日々送る中で阿部広太郎さんの「好きに進もう羅針盤ラジオ」が始まり、就活を始める私にとってはこれまた願ってもいないタイミングでのスタートになった。
ラジオを聴いていると「本気で就活に取り組もう」という気持ちが湧いてくるのだが、それと同時に自分が就活をするタイミングについて悩むようになった。「本当に”今すぐ”で良いのか…」と考えるようになり、どのタイミングで進めば正解なんだろう…と色々な人の意見を知るためにSNSをチェックするようになった。
SNSも精神安定剤のひとつだ。同じように就活をしている人の考えや動きに触れることができ、それが自分の背中を押してくれることがある。ただ、時に「もっと早く動かなきゃいけない」という不安材料にもなり、メリットもデメリットもしっかり受け取りながら、今日もスマホの画面をスクロールしている。
不安な日々は快眠とはいかない夜を過ごすことが多くなる。22時ぐらいに布団に入って最近ハマっているゴスペラーズの青い鳥で心を落ち着けてから眠りについたものの、深夜3時ぐらいに目が覚めて、寝ぼけ眼で転職サイトをひたすらスクロールする時間がある。
なんとなく目が留まった企業に「気になる」を押すあの時間から生み出されるものなんてあるのだろうか。こんな日々の繰り返しをしている私が本当に就職活動をしたいのかどうか改めて向き合ってみると「今すぐする必要はあるのか?」「逆に今しかできないことがあるんじゃないか」と感じるようになった。
就職をすれば個人的な理由で長い期間の休みを取ることが難しくなってしまう。そうなると自分が決めた人生のテーマでもある「住みたい街を探す」という目標はあっという間に遠ざかってしまうだろう。
ふと、金沢に来る数年前に夜勤のアルバイトを何十連勤もしていたころの自分を思いだした。金沢に行こうと決めた目標はいつしか「ただ描いているだけの夢」となり、叶うなんて夢のまた夢だと思っていた。そんな夢を自ら掴みに行こうと行動できたのは「ただ待っていても人生が良い方向に進むことはない」と病気になったことで痛感したからだ。
戻ってすぐに就活を始めたら今後の目標のためにに使えるはずの時間を自ら手放してしまうんじゃないか…。そうやって「可能性を自ら手放すのはもう嫌だ」そうやってこの3年間は頑張って生きてきたはずなのに、周囲の雰囲気に飲み込まれて、また「同じ道を歩むことが大事」と無理に足並みを揃えようとする自分がいた。
短い期間ながらも金沢に住んで「もっと暮らしの視野を広げたい」と思うようになったからこそ感じた「他の地域に触れて暮らしたい場所を探すこと」はもしかすると今がチャンスなのかもしれない…。そう感じたので久しぶりにSMOUTのページを開いてみると、長い間更新をされていない自分のプロフィールが出てきた。
プロフィールの居住地はまだ実家のままで、興味がある地域が「石川県金沢市」のプロフィールを読んでいると、心がえぐられるような感覚を覚えた。このプロフィールを書いていた時は「掴めるかもしれない憧れた金沢での暮らし」を楽しみにしていた。まさかその後に仕事を失うことになるなんて考えてもいなかっただろう。プロフィール文を読んでいると自分が歩んできた1年間を振り返りたくもなった。でもそれは今することじゃない。きっと今振り返ってしまうと恐怖が芽生えてきて、また一歩踏み出せなくなってしまいそうだと感じたから。
振り返り懐かしむような日々なら捨ててやる
(夜汽車でやってきたアイツ/サンボマスター)
おまじないのように大切にしている曲の歌詞を頭の中で唱えた後、思い切ってプロフィール文を全部消して、今感じているやりたいことへの想いを綴りなおしたら「やっぱり今しかできないことがある」と感じた。
今この瞬間も本気で就活をしている人からすれば今の私はただ就活から逃げているだけのようにも見えるかもしれない。それでも、逃げと思われても良いから叶えたい目標を成し遂げるために種まきをしたいと思うのは「遠回りでも後悔しない道」を歩むことが、どれほど自分の人生において大切なのかがこれまでの人生で見えてきたからだろう。だから少し就活を遅らせることに不安は無い。むしろ遅らせることが今の自分には必要になると感じている。
ただこんな世の中なので7~9月ぐらいの体験移住が難しい可能性があることも分かっている。どうなるかは正直なところ全く分からないけど、この期間は真剣に自分のやりたいことと向き合う期間にしたいので色々な地域の人と連絡を取ってみたい。
同時に色々な不安や人生への希望を失っている人がいる現状の中で、私は恵まれている立場にいることを改めて自覚しなければならない。「就活をしなさい!」と両親に怒鳴られることもなければ、友人たちから「もっとちゃんとしろ」と否定をされることもない。呆れられている可能性はあるけど「そっちのほうがあなたらしくて良い」と言ってくれる人もいれば、応援をしてくれる人もいる。
あっという間に25歳が近づいてきて、安定をした職に就いている友人もいれば、結婚や出産など新しい人生を歩もうとしている友人もいる。その中で「住みたい街を探して生きよう」と考えている自分に「正気か?」と問いかけたくなる瞬間もあるけれど、長年の経験からやりたい道に向かって歩んだ方が息苦しくないことも、仕事の効率も良くなることが分かっているので、やっぱり私は私なりの道を自分のタイミングと行動で開拓していきたい。
こんな状況なので「確定」という言葉を使ってスケジュールを立てることは難しいとは思いますが、体験移住などをしている地域を行っている地域、また担当の方がおられましたら是非お声がけいただけると幸いです。
大切な時間をいただきありがとうございます◎ いただいたサポートで、サスケにチュールを買います。