如月二十一

如月二十一

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バレンタインにチョコをくれる白髪赤眼幼馴染という概念

 今日2月14日。バレンタインデーとも呼ばれる日である。    カップルが互いの愛を確かめ祝う日、日本においては女性が男性へとチョコレートをプレゼントする日とされている。    最も俺とは縁が遠い別世界の話なのだが。    あなたは寝ぼけ頭でそんなことをうつらうつらと考えながらベットから出て一階へと降りる。香ばしい香りに誘われて訪れたリビングにはトーストしたての食パンの上に焼きたての目玉焼きにマヨネーズがかけられたいつもの朝食がテーブルに並べられており、今日は休み

    • 公園でいつも会う美少女に告白して恋人になる話

      「やぁ。こんな日も出てない時間から活発的だね」   「ん? 私かい? 私は……まぁ、色々あるけどまぁ一つ言うなら、君に会うためかな」   「おや、照れているようだね。ふふっ、結構純情だったね、君は」   「ほら、冷えるだろう? これをあげよう。ほっかほかのコーヒーだよ」   「……苦いのは苦手? 文句は言うものではないよ? 特に美人からの持て成しなら尚更だ」   「自分で美人って名乗るのかって? 勿論、私は自身の容姿が優れているものだと自覚しているからね。この艷やかな銀髪と出

      • 才能なんてない。

         カタカタとキーボードを打つ音が響く。ふと右下の時計を見ると、時刻は既に2時を回っていた。不思議な事に眠気はなく頭ははっきりと冴えきっていて、   「まだ書ける」    と思い止めていた指を再び動かす。数時間前は真っ白だった画面は大半が文字で埋まり、ワードソフトの表示する枚数は10枚を超えていた。少し前までならばこれだけ書けば十分だろうと満足して投稿していただろう。でも足りない。まだ書ける、まだすべての展開を書ききっていないと指を動かす。        書かないと。    

        • 白髪チンピラ系イケメンと黒髪清楚系少女

           雪が振り始める、冬の夜の繁華街。大勢の人が行き来し、活発な姿を見せる繁華街の、日の当たりにくい路地裏に一人の少女がいた。黒のカバーに星やハートなどの女の子らしいシールが貼られデコレーションされたスマホを弄りながら、時折空いた手で長く伸ばされた艷やかな黒髪を撫でる。着ているブレザーは通っている高校のものだろうか。夜の繁華街の、怪しい路地裏にいるには少々不自然まであるその少女を、夜の街を根城にする男達は見逃さなかった。   「ねぇ、きみぃ、こんな夜に1人でこんなところにいるんだ

        バレンタインにチョコをくれる白髪赤眼幼馴染という概念

          金欠商人

          「金が……ねぇ……」    俺の名前は星井屋金賀|(ホシイヤカネガ)。しがない経営者だった俺は趣味の酒を買った帰り道で突如飛び込んできたトラックにはねられ死んだ。    死んだ俺の目の前には商売の神を名乗るロリっ子が現れ、生前お金稼ぎに精を出していた俺をえらく気に入ったとかなんとかで、特典付きで異世界に転生させてやろうとか言いやがる。    当然死ぬ前の幻覚か何かかと思いつつも、後輩が興奮気味に語っていた異世界転生物なる展開に若干の好奇心を覚えた俺は目の前の幻覚の口車に乗るこ

          一般女子高生、配信者になる

          烏が鳴き、運動部らしき掛け声に、吹奏楽部の演奏音。中庭では演劇部が大会に向けて練習をしている。 休んだ時の課題をやり終えて職員室に赴き、不在の先生の机に置いて昇降口に向かう。周りの子達は鞄に色んなストラップとかを付けているけど、私はひとつも付けていないためクラス内では酷く浮いて見えているだろう。 高校二年生の終わりだと言うのに進路も決まっていないのは私だけかもしれない。 いつも一緒に帰っているみーちゃんは、部活で遅くなるらしいので今日は久しぶりに一人だ。 校内やグラウンドから

          一般女子高生、配信者になる