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人生の醍醐味は、馬鹿馬鹿しい思い出をいろんな場所に置いていくこと

2022年12月16日、Sexy Zoneの東京ドーム初単独公演を観てきた。私にとって、初めてのジャニーズのコンサートだ。

もちろんSexy Zoneの5人の存在や輝きはデビュー当時から把握していたが、明確に「気になる存在」になったきっかけは、2017年の歌番組でモーニング娘。と共演した瞬間である。「LOVEマシーン」のコラボレーションだった。

特番の中の一曲である。きっとリハーサルや練習時間も最低限だったに違いない。なのに、彼らのダンスのキレが素晴らしかった。さらに、Sexy Zoneの方が、モーニング娘。の原曲キーに合わせて歌っていたのである。

彼らはアイドルとして、お互いのステージを作り上げていた。私はハロヲタだが、「もっとモーニング娘。をうつしてよ!」なんて思う瞬間なんて一秒もなかった。「Sexy Zone、セクシーサンキュー!」の気持ちでいっぱいになったのである。

東京ドームは、Sexy Zoneにとってデビュー12年目でやっとたどり着いた夢のステージだ。もちろん、カウントダウンコンサートでは何度もドームに立っているが、単独公演は初なのである。ジャニーズのグループといえば無条件、なんならデビューと同時にドーム公演なんてイメージがぼんやりあったので意外である。

ジャニーズ史上最年少でデビューし、紅白歌合戦にもバンバン出演していたので、やろうと思えば決行できたのでは?と思ってしまうけれど、そういうものでもないようだ。チケットの売れ行きが不安でも大箱公演を実施するアーティストもいるが、堅実である。

メンバーのひとり、マリウス葉さんが休業中だったため、4人でステージに立つことになったけれど、心は5人。とにかく重大な公演なので、一挙一動を目に焼き付けておきたい。

そこで気になるのが、トイレ問題である。以前、40代女性Aさんに「約10年振りにコンサートに行きます。トイレはどうしたらいいんでしょうか。持ち物はありますか?」と質問をされたことがあった。

その時は「膀胱には人それぞれのキャパがある。トイレは気にせず行ってください」と答えたが、いざ自分が当事者になってみると、この判断が非常に難しい。おそらく、MCも最初はさらっといくだろう。見逃してはいけないのは、ラストのMCだ。ここは押さえておきたい。

だが、中盤はどうか。なんせメモリアルな公演なのだ。通常のアリーナ公演とは違う演出をすることも容易に想像できる。「マリウス葉の出演はありません」と公式案内されていたにしても、サプライズでVTRコメント出演する可能性もある。まだ歴が浅い自分が、タイミングを見極められるだろうか。チケットが手に入った瞬間から、膀胱への不安があった。

そんなとき、Twitterで見た「映画などを観る前に大福を食べると大丈夫」という説を思い出した。どうやら、大福の餅の部分が体内の水を吸収して膨れることでトイレ間隔があく、という理論らしい。

「これだ!」と思ったが、当日ぶっつけ本番を迎えるのには不安がある。まずは効果検証をしよう。その日から、週2ペースで大福を食べ続け、水分摂取量とトイレ間隔をメモすることにした。

私の中で、大福といえば神宮前にある「瑞穂」の豆大福だ。有名だし、これがベストだから他を掘ろうとも思わなかった。引っ越して遠くなってしまったし、これを機会に他の大福にも目を向けてみよう。そう思って、スーパーのレジ横にあるものから流行りのフルーツ大福、「まほろ堂 蒼月」などの大福を食べ続けた。

おいしい。仕事の合間につまむと、子どものお迎えから夕食までお腹を空かせることもないので、ワーキングマザーにもぴったりだ。なにより、トイレ間隔に余裕が出た。

せっかくだから、当日同行する友人にも買っていきたい。彼女は仕事を早退して東京ドーム入りするのだ。きっと、小腹だって空いているはず。当日、周辺の飲食店は混み合うだろうから、終演後も晩御飯はお預けだろう。

どうせならSexy Zoneの松島聡さんにちなんで、「松島屋」の草大福でも用意しておこうか。松島さんのメンバーカラーも緑だから、ちょうどいい。いや、乾燥してしまうだろうか。うーん。

あれこれ考えた結果、結局その場でサッと買えるうえに個包装されているセブンイレブンの豆大福をバッグに2個忍ばせて会場に向かう。

MY大福と記念撮影

開演前、私たちは長蛇の列だったトイレに2回も行き、しっかりと大福を噛み締めた。

結局、大福は力不足だったようで、友人も私も途中でトイレに駆け込むことになった。あんなに準備したのはなんだったんだろう。馬鹿馬鹿しいけど笑えるし、これもまた良い思い出になった。

白くて丸い大福は、東京ドームに見えなくもない。今後の人生で大福に遭遇するたび、今日のこと、友人のこと、そしてSexy Zoneのことを思い浮かべるだろう。

生きる醍醐味とは、馬鹿馬鹿しい思い出を、いろんな場所に置いていくことなのではないか。私はなんでもすぐに忘れてしまう。覚えておかなくても、ふと「そういえばあの時にあんなことがあった」と振り返る瞬間を、いろんなところに作っていきたい。

カウントダウンコンサートにてマリウス葉さんは芸能界を引退し、新たな一歩を踏み出していった。楽しい思い出を、ありがとうございます。

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