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すべては、私の中にあるのかもしれない。

これは、阿部広太郎さん主宰の「企画で飯を食っていく2023」、企画メシ2023についてのnoteです。
ジャーナルライティングとして、講義で感じたこと、考えたことをここに書き留めます。

第4回の今回は、映像の企画。
今回の講師は高橋弘樹さん。日本の映像ディレクターで、あの「家、ついて行ってイイですか?」を生み出した人。そんな彼からの課題は、以下。

○いままでの人生で「もっとも自分の強い『心の傷』か『怒り』」と思うことを3つ挙げてください
○その中から1つ、「これはある程度マスでも共感、許容される」と思う『心の傷』か『怒り』を選んでください
○それを「マス」な、「エンタメ」に昇華させ、「商業的に成功する」と確信する企画として提案してください!

心の傷、怒り。そして、それをエンタメに昇華させるというものだった。仕事が過去一番の忙しさの中、心のピントがぼやけてしんどかった時期。そんな時期に聞いたからこそ感じたこと、思ったことをここに書き記しておきたい。

量をとにかくこなしてきた“泥のように”。

講義の前に書籍は読んでいたとはいえ、話を聞くとまさに“泥のように”高橋さんが若手の頃働いていたことを感じた。はやく一人前になりたかった、と語っていたが、それ以上でもそれ以下でもないような気がする言葉だった。

「お前さ、上に行きたいなら量をこなせ」
と、社会人2年目の年末、職場の先輩に朝方に入ったバーで言われたのを思い出した。

8-9割は、信頼と実績。

5-6年目で手応えを感じはじめたと語る高橋さん。
「8-9割は企画の内容じゃない。信用と実績。残りの1-2割は企画術」
企画メシで、この言葉、きっといろんな人が「この人やばいな」と思ったタイミングだと思う。けど、私はそんな中で、その言葉に救われたように感じていた。

私は、昔からその場ですぐに打ち解けられるようなタイプの人じゃなかった。だから、バイトでも部活でも今の職場でも、とにかく頑張る。数年は辛抱して、とにかく頑張る。そのうちに、「この子よく頑張ってくれてるよね」「こいついると、助かるんだよなぁ」と信頼を得ていく。私はそういう人。だから、どこかでそんな自分の在り方を肯定されたような気がした。

その一方で、彼がこう言い切れる背景には、前述した“泥のように”こなしてきた量や1.5倍頑張ることがあるのだと思った。強い言葉、芯のある話し方、やりきってきた人の言葉だった。

心の傷と怒り。

今回の課題は、企画生の中でも提出しない人がいる、そんな課題だった。

私も正直、「これってどうなんだろう」と考えたりした。心の傷や怒り、ことの大小はあれど、何年経っても思い出すようなそれは他人が面白おかしくしていいようなものではないと思う。そして、それに触れた人がまた傷つくものであってもならないと私は思う。

それでも、私は今回企画を提出した。

私のこのnoteのアカウントには、過去の私の恋愛や親とのことが多く綴られている。どれも楽しかった記憶などひとつもなく、今でも忘れられないこと、忘れたいこと、忘れたくないことなど、さまざまな影の落とし方をしているものばかり。

何か自分の中にあるものに向き合って形にするとき、自分ですら知らなかったような自分の一面をちゃんと見つめなくてはいけない。私は文章を書くとき、時に泣きながら、時に怒りながら言葉を選ぶ。きっと、私はそうすることによって初めてちゃんと文章を書きはじめた小学5年生から昇華されて救われてきたのだと思う。だからこそ、書こうと思った。形は違えど、私にも昇華された過去があったから。

けど、やはり、取り組んでいくなかで思ったのは、「企画」って難しい。エッセイとしてなら、心の傷や怒りへのある程度の共感は物事によっては可能だと思う。けど、それを企画として昇華して、人が楽しめたり心が動いたりするエンタメにする。マイナスの感情にあったものを、企画という矢印によってプラスに持っていく。
高橋さんの言葉にはヒントがたくさんあった。「入口」と「出口」による読後感を上げる意識、そして「フェイク」か「リアル」か、全体の解像度を上げていくこと。全てが一朝一夕に身につけられるなんて思わない。けど、少しでもはやく一人前になるために、常に考えながら臨んでいきたいと思った。

最後になるが、もしかしたら、人との出会いや関係性は大切だけれども、すべては自分の中にしかないのかもしれない。今回の講義はそんなことを感じる講義だった。
すべては、私の中にある。そして、そんな私は私にしかなれない。以前の講義でもあったが、こんなにも作品や企画が溢れている世の中でそれでも作り続けようとする人がいる理由は、ここにあるのかもしれないとそんなことを感じた。


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第4回目の企画メシ。
仕事が過去一番の忙しさで、心のピントがぼやけたなかでの課題、講義だった。仕事なんでやってんのかなとか、生きてるって…などと考えていたりもしたが、そんな私に高橋さんの確信めいた言葉の数々は紛れもない“勇気”になりました。
今回、取り上げた心の傷は『元恋人に言われた「桂子のこと可愛いって思ったことないんだよね」』でした。心の傷は数あれど、そこそこの共感とかと考えると難しかったです。本当は、十二年ぶりに再会した母親のことを“お母さん”と呼べなかったことを昇華したかった。けど、これはいつかの自分への課題として取っておくことにします。
高橋さんが仰っていた「自分の力は裏切らない」。一番勇気をもらった言葉です。自分の力くらい、自分で責任を取りたい。そして、そんな自分の力を私は信じたい。まだもう少し、仕事とか色々頑張れそうです。

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