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「夏は夜」♯シロクマ文芸部

「夏は夜」

あんなに眩しかった真昼のすべてが
見渡す限りの夜に包まれています

部屋の窓をひらいた時に
海からのむかい風が
通りすがりのお店で今日
ついつい買ってしまった風鈴を
ゆうるりと鳴らしてくれたのです

生まれたての夜の音
薄明りの宵の光に揺れながら
静かに光ってくれたのです

昨日の雨で今夜は
ほんのすこし過ごしやすい夏の夜です

眩しすぎるものが多すぎて
手に負えず
どことなく疲れていた私のぜんぶが
夏の夜になって響いています
どこかに消えてゆきます

夏は夜
本当のことを言うと
静かな夏の夜が好きでした

そんなつもりではなかったことも
そういうつもりであったこともぜんぶ
夏の夜は遠いどこかにしまってくれます

素直になりたくてなりたかった
なりたくて
今度は自分のゆびさきでそぉっと
宵の風鈴に触れてみました



※お遊び企画「夏は夜」に、詩で参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。






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