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一人でやってるけど一人じゃない喫茶店

喫茶店は、一人ではできません。

開業当初は、一人でこれくらいの席数、なんとかやっていける、
そう、思っていました。

5年たった今では、

一人じゃ無理やわ。
断言できます。

みんな助けて~、そんでもって、ありがとう!
そう、素直に言ったほうが楽です。

(4年目くらいで気付きましたけれど)

一時期アルバイトちゃんを雇っていたことがありましたが、

今現在は雇っていませんし、もちろん従業員はいません。


「一人でよく仕込みができるわ!」

「偉いねぇ、一人で大変でしょ」

お世辞半分でも、そうやって励ましてくださるお客様が
いらっしゃいます。

でも、

一人でなんて、無理ですよ~。

個人事業主ですが、

個人、という単体で店をやっていると
思ったこともありません。

ひばり珈琲は、

地域の方、
お客様、
隣近所の店の方、
家族、
みんなに支えられて

みんなで一緒に、営んでいます。


店だけじゃなく、生活すべてに通じますが、

困ったとき、だれかに頼む、

そういう生き方を知ってから、
とても楽になりました。


たとえば、
こんなこと。

助けてもらうことリスト

①買い物

これね、本当に毎日のように、困ります。
あ、ラップがない、
ミックスジュース切れたから、仕込みたい、
なのに、バナナがない!
申請に使う書類のコピー、今日中にいる、どうしよ。

昨日は日曜日なのに牛乳がなくなって。
(お隣の美容室が運営しているバナナジュース屋さんに
 駆け込んで牛乳一本拝借しました。)

一応想定内で、いろいろ買い込んでいても、
人間ですもの。うっかり忘れたり、思った以上に必要になったり。

買い物は、間違いなく、頼みます。
その時店にいるお客様(もちろんある程度知っている方)に目星を
つけて、

お願い!

牛乳、小麦粉、
この辺りは近くのスーパーで買えます。


小豆、グラハム粉、
これは少し難易度が高いのですが、向かいの百貨店の製菓コーナー。

りんごジュースに、チェダーチーズ、
これは車を持ってる方に少し遠い業務スーパーに。

あまりに人遣いが荒いので、怒られそうなものですが、
本当に困っているので、みんな優しく助けてくれます。

ワンおつかい、ワンドリンクサービス、

という制度を設けて、バイト代がわりにしてもらってます。

最近は、向こうから声をかけてくださって、

「今からイズミヤ行くけどなんかいる?」
「足りないものない?夕方まで時間あるけど」

有りがたいやら、恐縮するやら・・・

二日に一回お買い物を頼むレオ―二(お客様)は
牛乳の銘柄、チーズの種類、リンゴジュースの銘柄、
何をどこに買いに行くか、全て網羅してしまいました。

彼がいなくなったらひばり珈琲が運営できるか
心配なほど、頼りまくってます。


②こまごました内職作業

ひばり珈琲は「ネルドリップ」で珈琲を抽出しています。
ネルも生地から手作りなのでちょいちょい縫ったりする
作業が。

でも細かい作業が大嫌い。

ここで活躍するのが、
東京に行った大学生のM君。

当店で珈琲の抽出に使用しているネルは、
片面起毛、厚地。
意外と売っていないのですが、
M君は上手に探し出してきます。


希望する形になるように、パターンを引き、
2メートル分、全て裁断して、送ってくれます。

彼にはバイト代代わりに珈琲豆を送っています。

原価ですむので、格安の内職さんです。

そして、次は裁断した生地を縫う仕事。

これは、福井の実家の母に。

手縫いのため、時間がかかりますが、
いつも丁寧にしっかり縫ってくれます。

身内のため、甘えて、タダで引き受けてもらってます。


そして、最後に、
枠に、生地を縫い付ける作業。

これは、なっちゃんという常連さんの女の子にお願いします。

たまに、私もやりますが、まぁ、遅いし、荒い。

得意な人にやってもらったほうがきれいに仕上がるし、早い。

彼女も現品支給(チーズトーストセット)でお願いしています。


③忙しいときの皿洗い

土日、急にお客様がいらっしゃると、
小さい店のシンクがすぐパンク状態に。

お水を出そうにもお冷コップがシンクに使ったまま、
食洗機を諦め手洗いで、と思うけれど

スポンジが大きな鍋の下敷きになってとれない、
泣きたい気持ちになっちゃいます。

そんなときは、カウンターに座る重鎮がさっと動いてくださります。

運動になるから、とテーブルからお皿を引き上げてくださったり、
時にはキッチンに入って洗い物を片付けてくださったり。

中には、業務用食洗機を軽々と使いこなし
てきぱき働いてくださるつわものも。

隣のバナナジュース屋さんのゆうちゃんは、
風のようにやってきて、さ~っと片づけて、
いつの間にかいなくなっています。

神様。

いやぁ、人ってあたたかい。

なにより、いいよ、時間かかっても、ゆっくりやりな、
と根気よく待っていてくださるお客様、ありがとうございます。

④家のおつかい

店とは関係ない仕事もあります。

洗濯がたまって、でも今日中になんとかしなきゃっ、てとき。

朝、貯まりにたまった洗濯物を
コインランドリーに放り込んで、とりあえず店へ。

折よく、フットワークの軽そうな女の子が来てくれると、

大きな袋を渡して回収して来てもらいます。
しかもきちんとたたんでくれているので大助かり。

さすがに、パンツとか下着があっては大変なので女性にたのみます。

日曜日に子供を見る人がいないときは、
2~3時間遊ばせてもらったり、
学童からの帰り道が不安な時は、
下校時間に合わせて迎えに行ってもらったり。

もちろん、買い物も。

子供のキシリトールラムネが薬屋さんでしか売ってない、
今日の晩御飯、どうしても、とんかつが食べたい、
なんでもかんでも、
おつかい隊にお願いします。


母子家庭で自営業、なんていうと
妹いわく、最下層!
なんだとか。


とても悲惨な響きですが、

大変なことやしんどいことは助けてもらう、

お客さん、親族、別れた元旦那やそのご両親、隣近所に
地域の方、
みんなに愛されて、

だれよりもにぎやかで、孤独を感じることなく、
楽しく暮らせています。


私がしてもらっているように、
みんなが助けて助け合えれば、
とてもうまく社会が回るのに。

実際はそうじゃない、
難しいですね。

私も、だれかを支援する立場に回れるようになるには、

まだまだ時間がかかりますが、

誰かが困っているときは、助けたい!

そう思って、店を開いています。


店を運営するうえで、
やわらかな、〇をイメージして、
その丸がどんどん大きくなって、

優しい輪がどんどん広がれば

孤独な人が少しでも減るのじゃないか、そう思います。


社会的にはかなり不安定な私ですが、
こんなに楽しく暮らしていられるのは、

その輪の中にいるからです。


一人でできる、なんて思わない。
みんなで、生きている、
支えてもらって生きている。

ひばり珈琲が、コロナ化の今も
営業できているのは、
そのおかげです。

ありがとうございます。

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