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福井初のミュージカルスクールからエンターテイメントの可能性を届けていく【後編】

中学時代にミュージカルと出合い、国内外で開催されるワークショップを通じてエンターテイメントをつくる楽しさに目覚めていった松井笑那さん。高校卒業後、世界中を訪れながら子どもたちとミュージカルをつくる活動を続けていましたが、新型コロナウイルスの拡大をきっかけに日本に帰国。ミュージカルを通じて出会った友人がきっかけで福井を訪れることになりました。ここから松井さんの人生がまた大きく動いていきます。

前編はこちら

恐竜がまだ生きているのかと思った

友人から「福井においでよ」と言われ、最初は福井が日本のどこにあるのかわからなかったという松井さん。初めて訪れた時の印象はどうだったのでしょうか。

松井さん(以下、松井):「あ、駅に恐竜がいる」と思ったのが福井の第一印象でしたね。まったく予備知識もなく来たのですが、駅前だけじゃなくいろんなところで恐竜を見かけるので、「ひょっとしてここではまだ恐竜が生きてるのかも!?」と錯覚したくらいです(笑)。

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「カンボジアですらあったイオンが福井にはないことも驚きでした。でもそれが逆にいいなと思いましたね」

福井には2、3日滞在して、
また別の友人のところに行く予定だったという松井さん。
ところが訪れた福井市内のカフェで「明日から働いたら?」と誘われ、
なんと、そのまま福井に残ることを決めました。

松井:どうやら友人が仕掛けたドッキリだったらしいんです。私が仕事を探しているらしいとカフェの店長に伝えたみたいで(笑)。でも、もともと海外でバックパックをしていた経験からどこに住んでも抵抗がなかったし、カフェを運営している会社のシェアハウスがあって住む場所も確保されていたので、このまま福井に残ってもいいかなと思いました。

住んでみると福井は魚も美味しいし、都会みたいに窮屈じゃない。「福井の生活には車が必須だ」と言われて早速免許を取りに行きましたし、その年の冬の大雪も楽しみながら過ごすことができました。

何気なく語った夢が実現


少しずつ福井の生活に慣れてきた松井さん。
ある時、カフェで働く同僚に「いつかミュージカルスクールをつくりたい」と話したところ、事態が急展開します。

松井:これまで世界中の子どもたちがミュージカルを通してキラキラしていく姿を見て、「いつかスクールを開きたい」という思いが心のどこかにありました。何気なく話したことだったのですが「それなら知り合いにスタジオの空きがないか聞いてみる」とカフェの仲間から紹介してもらい、急に動き出した感じがありましたね。最初はちょっと戸惑いましたが、よく考えてみると、福井でできない理由はない。幸い、スクールを始める場所も見つかったことから、チャレンジしてみることにしました。

早速体験会を開催したところ、参加した子どもたちの反応も良くて「次はいつやるの?」って聞いてくれたんです。はじめは、毎週開催するつもりはなかったのですが、それなら毎週やってみようかなって(笑)。

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「子どもたちが歌ったり踊ったりすることに興味を持ってくれたことが嬉しかったですね」

2021年4月、福井県坂井市に
ミュージカルスクール「Naz House」をオープン。
“Naz”とはウルドゥ語で
「他人から貰った無条件の愛によって生まれる自信や心の安定」
という意味を持つのだそう。
現在では毎週1回、市内外から通う子どもたちに
ミュージカルを教えています。

松井:教える・教えられる関係ではなく、ここに集う人たちがお互いに尊重しあってフラットな関係になればと思い、Schoolではなく「House」と名付けました。Naz Houseにはいろんなタイプの子どもたちが通ってくれています。演技が大好きな子、ものすごくシャイだけどお芝居になるとイキイキする子、学校は好きじゃないけどNazには休まず通ってくれる子など、みんな個性的でどこか尖ってますね。お芝居をきっかけに自分の世界を広げている子もいて、Youtuberとしてデビューした子もいるんですよ。Naz Houseが子どもたちにどんな影響を与えられるかはわからないけど、毎週1回90分、通ってくれる子どもたちにとっての居場所になればと思っています。

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小学校低学年から中学生まで、みんなが思い思いに楽しむことを何よりも大切にしている。

なければつくればいい


松井さんの活動は地元の雑誌や新聞記事にも取り上げられ、
さらに問い合わせが増えたそう。
今では大人向けの演劇スクールを開講したり
福井の伝統工芸アイドルグループにダンスを教えたりなど、
人の輪も活動の幅も広がっています。

松井:これまで国内、海外といろんな場所をめぐってきましたが、地元以外で1年以上も滞在している場所は実は福井が初めてなんです。よく「福井の何がいいの?」って聞かれるんですが、いいところというか「嫌なところがない」のが答えかもしれません。

私は一見、何でも全力で挑戦する人のように思われるんですが、これまで自分が心地良く思えないことや場所はできるだけ避けてきました。でも福井にはいやな理由がない。干渉し合わないけどみんなのびのびしているし、人との距離感がちょうどいい。でも冷たいわけではなく、福井に縁もゆかりもない私がミュージカルスクールを開きたいと言っても、ちゃんと興味を持って聞いてくれたし、つないでくれる人もいました。

たしかに福井に比べると都会は便利だし情報もたくさんあると思います。でも、あれもこれもやりたいと思ったところで結局抱えきれないんですよね。福井なら、やってみたいと思ったことが今はなくても、「新しくつくってみたらいいじゃない」と思えるし、「一緒にやろうよ」って集まってくれる人たちもいる。だから今の生活を楽しんでいるのだと思います。

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福井で仲間がどんどん増えていく松井さん。「よく『福井なんか』って言う人もいますが、こんなに面白い人がいるじゃん!って思うんですよね」

このまちでしかできないエンタメを届けたい


現在は福井で初となる公演を控え、準備を進めている松井さん。
今後もエンターテイメントを盛り上げていくために
計画していることを聞いてみました。

松井:私たちの公演をきっかけに、福井でミュージカルとエンタメにふれる機会をもっと増やしていきたいですね。とはいえ、エンターテイメントは数が多ければいいわけではなく、あくまでも質が大切。「地方だから都市部と同じようにはできないよね」と妥協するのではなく、都会のいいところをオマージュしつつ、このまちでしかできない質のいいエンタメの体験を届けていきたいと思っています。

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※記事の内容は取材当時のものです。

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Naz House Musical(ナーズハウス)
住所:Living space Atha.
(福井県坂井市春江町江留下高道95-5)
問い合わせはinstagramから↓
https://www.instagram.com/naz_fukui/

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福井暮らすはたらくサポートセンター ( 福井Uターンセンター )
〒910-0858 福井県福井市手寄 1 丁目 4-1 AOSSA7 階
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