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風俗嬢と闘牛

3月の上旬に沖縄に行った。
急遽決まったし、高校の友達とのちょっとした旅行ということで1泊2日だった。

旅行をしていてその土地の日常を垣間見たとき、遠いとこに来たなという感覚が強くなる。それが東京と違えば違うほど。

到着した日の昼に喫煙所でタバコを吸っていたら地元のおばちゃんに話しかけられて軽く世間話をする流れになった。こういうのは喫煙所の良いところ。
時期的にロシアとウクライナの戦争の話になって「なんか大変なことになってますよね」みたいな感じのニュアンスで話してたら、おばちゃんは結構当事者意識が強かった。そりゃ沖縄に米軍基地が多いことなんて知識としては知ってるし着いてからもたくさん見ていたけど、現地の人はそれが日常で常に意識の内にあることなんだなって初めて実感した。
「爆撃とかするなら島ごと沈めて欲しい、苦しみたくないから」みたいなこと言ってて笑っちゃったけど。

夜に沖縄料理を一通り味わって泡盛とか飲んだ後、風俗街に行こうって話になった。
沖縄の歓楽街は辻っていう街らしくて、タクシーの運転手に辻までお願いしますって言ったら運転手オススメのソープの前で降ろしてくれた。結局そこには入らなかったけど。
歓楽街はフラフラ歩いてるといろんなキャッチが声かけて来て面白いからみんなでぐるっと散歩して、沖縄の女の子と遊べそうな店に入ることにした。相手してくれた女の子は結構可愛かった。めちゃくちゃタトゥー入ってたけど。

プレイが終わった後にタバコ吸いながら(女の子もIQOS吸ってた)雑談してたら、「タトゥー最初に入れたの小学生なんだよね」って言い出して流石にカルチャーショックだった。というか嘘だと思ったし。
でも確かにちゃんと見せてもらうとめっちゃ下手なタトゥーが何個かあって、喧嘩でできた傷跡とか先輩にやられた根性焼きの痕とか次々に見せられたから多分本当なんだと思う。
「沖縄の田舎だとこういうの普通にあるよ」って笑いながら言ってたの一生忘れないだろうな。東京にもいるのかな小学生でタトゥー入れてる人。

2日目に闘牛を観に行った。
観光スポットって感じのところじゃないから検索しても全然出てこなくて、嘘みたいなサイトの嘘みたいなPDFファイルに載ってた情報だけを頼りに向かった。

土着文化ってこういうものを指すんだろうなって感じの光景だった。
1500人くらい入りそうな結構広めのすり鉢状の会場には地元の人が結構集まってて、次々に闘牛の試合が行われていた。
牛がいない間は闘牛が行われているフィールドに普通に小学生くらいの子供が出入りしてて、特に安全確認とかもなく何となく試合が始まりそうになったら客席に戻っていく感じ。興奮して走り回る闘牛に引きずられるスタッフを見て会場から笑い声が上がる感じ。勝った闘牛の上に小さい子供を乗せて記念撮影する感じ。

何もかもがその土地で完結している文化で感動した。
きっと毎週末のように当たり前にあそこに通っている小学生が20年後には闘牛を運営するスタッフになるんだろうな。それは決して特別なことではないし、”文化を受け継ぐ”みたいな意識もなく、ただ日常のものとして受け継がれていくんだろうなって。


いわゆる観光地にはほとんど行かなかった沖縄旅行だったけど、個人的にはものすごい満足だった。あの下手なタトゥーが入った風俗嬢も、地元の娯楽としてしか機能していない闘牛も、いつかは無くなる沖縄の文化だろうから今見ることができて良かったな。次回沖縄に行くのがいつかは分からないけど、また覗いてみたいと思った光景でした。





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