見出し画像

2.仕事量の最適化 自分のライター人生を振り返る雑記

前回のこちらの記事の続きです。

この内容を受けて、対策として行った3つの施策「アシスタントを雇う」「個人仕事の単価を決める」「会社の仕事を(一旦)減らす」についてお話ししていきます。引き続き今回も、自分の思考メモのような感じです。

まずは、私の現在の働き方です。多分これがわかってないと「???」になりそうなので。。↓

■会社員として:受託編集者。オールジャンルでテキスト編集から漫画編集まで、なんでもやってます。産休中のメンバーを除くと、1番年下のくせに社歴が1番になってしまった。
■個人(フリーランス)として:ライター。ネット音楽・YouTuber・アニメ領域で主にライブレポやインタビュー記事を書いています。会社がフルリモート&時間の使い方自由なので、平日の昼間もガンガン取材に行ける。

1◆アシスタントを雇う

「雇う」というと大げさですが、自分の業務を一部切り出し、その部分に値段をつけて人にお願いした形です。昨年の11月中旬ごろにTwitterで募集をかけて、必要な契約を結び、12月から入ってもらいました。

もちろん、執筆に関わる工程は切り出すのが難しいので、お願いしているのはテープ起こしや〆切管理、あとは編集者としての仕事でルーチン化している案件の原稿回収、請求書回収など。ちょっと脱線しますが、原稿の回収は本来編集者の腕の見せ所だと思っていて、「このライターさんはこういう癖があるからどのタイミングでどのように声をかけて、どのように誘導すれば書き上げやすいか」みたいなところを考えて連携取っていくのは、編集担当が担うべき仕事です。なので基本のコミュニケーションは自分ですが、ほぼ毎日〆切があって、言葉は悪いですが「回す」フェーズに入ってる案件などは先ほど述べたような職能が不要と考え、アシスタントにお願いしています。

私がアシスタントにもっとも求めていた役割は、「私の仕事を横断的に見てくれる」ことです。会社員としての編集仕事と、個人としてのライター仕事は完全に分かれていて、それぞれで複数の案件が同時に走っているので、頭で意識しているとどうしてもパンクしたり取りこぼしがあったりする。外部メモリになってもらうことでできる限りマインドシェアを下げ、空いたエネルギーを目の前の作業に注ぎ込みたかった。前回の記事で書いた「一晩寝かせて推敲」を徹底するために、自分の締め切りの前日にアナウンスしてもらう、などもしています。

※余談
アシスタント選びの流れは、お願いしたいことを資料にまとめ、読んでもらった上でオンラインor対面で細かいご相談、後日お返事、という感じにしました。かかった期間は全員で1〜2週間くらい。
資料にはお願いしたい仕事内容や条件面などに加え、「なぜ募集しようと思ったのか」「雇うことによってどうなることを目指しているか」といった抽象的な部分を丁寧に書きました。結果としてこれはすごく良くて、面談で「資料にはなかったけどこういう作業もやろうか?」みたいなご意見もいただきました。

2◆個人仕事の単価を決める

初めて、個人仕事の単価を決めるようにしました。これまでは完全にクライアントから提示された金額で引き受けていて。そもそもいただく金額に疑問を抱いたことがなかったのと、生活費は会社の給料で賄えているので、「あわよくばもっと欲しいな…」的な欲が出てくることもありませんでした。そもそも自分にとってはその仕事自体が報酬みたいな感覚で。仕事のなかで起こる出会いやコミュニケーション、知らなかった世界を知れること、原稿を作り込んでいくあの没入感、担当した記事がたくさんの人に読まれ感想をいただいた時の何物にも代えがたい充足感。本当に、それらが私にとって最大の報酬でした。逆にそれらがない仕事は超しんどい。

多分会社の給料がなかったらこんな綺麗事言ってられなかったと思いますし、編集者として人にお願いするときは、先に書いたような”やりがい”部分の報酬が全くなかったとしても、無理なく稼働できる金額を模索しています。”やりがい”の部分はあくまで引き受ける側が勝手に見出すことであって、依頼する側は押し付けちゃダメです!!!!マジで!!!! 逆に言えばやりたい仕事が来た時に、お金に左右されずに引き受けたいから、会社員やってる所もありますね。

ただ、仕事を続けていれば取引先は増えていくし、取引が続けば、ご依頼いただく数も増えていく(淡々と書きましたけど、めちゃめちゃありがたいことです)。前回書いた通り、相談いただく案件は基本的に請けるスタンスでいたので、ご依頼が純増していくと引き受ける数も純増していく。そうして「あ、この生活そろそろキツイかも」と思い、初めて自分としての値段を決めました。

と言っても、専門にしていてある程度背景知識がある領域は、これまで通りの金額で。それ以外の領域はリサーチやファクトチェックにかかる時間が膨らむので、インタビューはいくら、コラムならいくら、のような形。私はどんなに「今月はもうパツパツだから次来たら断るぞ」と思っていても引き受けちゃう病にかかっているので(あと、なぜかそういうときに限って超〜〜〜〜やりたい仕事が来る)、そもそも来る量をやんわり絞れたらなあという意図です。これで私の所にくる仕事は、下記の2種類になるはず。り、理論上……。
・専門領域の仕事
・専門じゃないけど金額が嬉しい仕事

3◆会社の仕事を(一旦)減らす

仕事を減らしたいときには、上に2つ書いたような遅効性の取り組みも大事ですが、一番は仕事を減らさないことには減りません。当たり前のことですね。ただ、会社に直接言う勇気がなかったり、あるいは仕事を減らしたくない上司からごまかされたりして、遅効性の取り組みに逃げ、結局さらに半年同じ働き方が続くコースに行きがちです。これは1社目でめちゃくちゃ体感していました。正直1◆と2◆はどちらかでもよかったかなあと言う気がしていますが(2がまだ始めたばかりで効果が見えていない)、どちらを選んだとしても3◆は必須でした。

会社とのやりとりの内容は伏せますが、今回学んだノウハウや意識してよかったポイントなどをまとめると

・冷静な判断ができるうちに相談すべし
・自分の担当案件を書き出して、引き継げるもの引き継がない方が良さそうなものを整理すべし
・どんなに細かい作業も、マインドシェアが取られてる以上「一案件/一本」とカウントすべし
・引き継いでもあんまり負担が変わらないものは、後任への引き継ぎや教育の方が大変かもなので引き継がないのも手
★引き継ぎ資料=マニュアルは、引き継ぎが必要じゃない普段のうちから作っておく(超自戒)

そんな感じですかねえ…。会社自体に不満がなくて、「辞めたくないけど仕事は一旦減らしてほしい」という要求って、要は自分側の都合なのでなかなかしづらいと思います。仮に良好な関係が築けていて、その相談ができたとしても、クライアントへの影響を最小限に留めるとなると、数ヶ月かかることもあります。ですから、「今の状態があと数ヶ月続いてもOK」なうちに相談した方が良いと思います。逆に「来週にはもうぶっ倒れそうです」な場合は、もっと緊急策に走りましょう。

難しいもので、人間、「前期頑張ったら50件できたから、今期もできるはず」とはならないんですよね。前期の疲れが今期になってから体に現れることもあるし、甘っちょろい考えかもしれませんが、その時担当している案件によっても、さらには気候や世の中の雰囲気によってもパフォーマンスは変わってきます。もちろんそれを言っていたら成長はないので、量でカウントできる仕事の場合は件数を追うのも良いでしょう。ただ、少なくとも編集やライターといった領域の仕事は、数では表せない。特に受託だと、1件あたり3時間で終わる仕事もあれば、3ヶ月かかる仕事もあって、それぞれ求められる役割も違っていて、一概に件数や本数で判断できないのです。こういう仕事だからこそ、自分の体が発するSOSにはしっかり耳を傾けないと、と思う今日この頃です……。


続くかもしれないし続かないかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?