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中部空港アクセス増強+東海道新幹線バイパス(北陸新幹線米原ルート)案

2005年に開港したセントレアこと中部国際空港。

最近では2本目の滑走路の建設が検討されており、空港アクセスの増強が検討されているようです。

そこで、私のアイディアを皆さんにシェアしたく、ブログに書き込むことにしました。

これは単なる広範囲からの空港への鉄道アクセスを増強するだけでなく、三重新幹線の実現や東海道新幹線のバイパス機能として北陸新幹線米原ルートの実現にも寄与するアイディアです。

将来的には羽田・中部・関空のスムーズな空港間移動を可能とし、東海道ベルトと四国や九州への旅客や貨物輸送を可能とする「新太平洋国土軸」の一部としても機能することを意図しています。

フェーズ1:新連絡トンネル+JR武豊線延伸+名鉄河和線・知多新線乗り入れ

(1)まず、空港島の南側から対岸へ新しい鉄道アクセスを建設します。新線は約7km、名鉄とJRの双方が使用することを想定します。(JRと南海の両方が使用する大阪のなにわ筋線のようなスキームが参考になるでしょう。)

将来、もし需要が増え、新しい滑走路をオープンパラレル方式で増設する可能性を考えると、沈埋工法のトンネルが良いかと思います。新しい鉄道アクセスの建設は利用者の増加に対応すること、事故や災害の際に片方のルートが使用不可能になっても、空港と対岸へのアクセスが確保される点です。

なお、本案フェーズ3で線路の複々線化を提案しているので、将来線路の増設が容易になるように計画、建設を実施すべきです。

(2)JR武豊線を以下のように延伸し、空港への乗り入れを実現します。大府方面からのアクセスが便利になります。

名鉄と競合し合う形になりますが、名古屋駅からJRでも空港にアクセスできるようになります。北陸、飛騨高山、木曽、松本、長野方面からJRの特急でも直接空港に乗り入れることが可能となります。白馬や野沢温泉などへも将来、空港へ直通する特急を走らせることができるようになるかもしれません。

(3)同様に名鉄空港線を新アクセストンネルを経由して、名鉄河和線・名鉄知多新線へ乗り入れるようにします。

以下のように知多新線の途中から乗り入れるルートと富貴駅から乗り入れるルートを思いつきました。どちらのルートも知多半島にあるホテルや観光地と空港を公共交通で結ぶことになります。

そうすることで、空港にとってはトランジット客やフライトの前泊する利用者の宿泊施設の選択肢が増え、空港としての魅力を向上させるでしょう。

知多半島は国際空港とのアクセスを向上させることで、観光地として、また様々な会議やイベントの会場として世界中から集客しやすくなり、エリア全体の魅力を向上させることにつながります。

フェーズ2:JR三遠アクセス線

(1)次の段階として、空港鉄道アクセス線を東へ延伸し、東海道本線の蒲郡駅に繋げます。浜松、豊橋方面から空港アクセス特急を走らせることができるようになり、中部空港の更なる集客につながります。

(フェーズ1同様に将来、複々線化できるように設計するべきです。)

(2)アクセス鉄道延伸部分を使って、名鉄三河線の空港乗り入れを可能とします。

豊田、刈谷、知立から名古屋を経由せずに空港へ行くことが可能となり、利便性が大幅に向上するでしょう。

(3)名鉄西尾線と交差する位置に新駅を設置することで、西尾線沿線の利便性の向上に寄与します。特に西浦の周辺の観光地へのアクセスを便利にするでしょう。空港利用者や空港島にあるAichi Sky Expoへの訪問者の宿泊施設としての機能を提供することになるでしょう。

フェーズ3:伊勢湾横断線

フェーズ3は伊勢湾を横断する橋、もしくはトンネルを空港等から三重県鈴鹿市まで建設します。名古屋港へ入港する船舶への影響を最小限に収めるために、トンネルを採用した方がベターかと考えています。この区間の全長は約20キロ、トンネル部分は約17kmになります。

同時にフェーズ1、2、そして3の区間を複々線化します。線路の2本はJRと名鉄の旅客および貨物列車用の狭軌、残りの2本は新幹線と近鉄が運行できる標準軌とします。


中部空港から直接、対岸の鈴鹿市を経由し近鉄名古屋線および伊勢鉄道・JRへ乗り入れることが可能になります。これによって三重県や奈良県からの空港への所要時間を大幅に短縮させます。同時に静岡や関東地方への所要時間も短縮するでしょう。

また鈴鹿市が空港に隣接する事で、臨空都市としてホテルや企業が立地し、拠点都市として発展するかもしれません。

そして、伊勢湾を横断するトンネルができれば、「三重新幹線」が実現するかもしれません。

世界的に有名な鈴鹿サーキット。空港へのアクセスが便利になることで、鈴鹿サーキットで開催されるイベントに世界中から集客しやすくなります。もしかしたら、F1チームの拠点を鈴鹿に置くこともできるかもしれません。モータースポーツの聖地として、鈴鹿は競技面だけでなく、ビジネスの側面でも益々発展する展望が開ます。

鈴鹿サーキットでレース開催した後、名古屋方面だけでなく、伊勢方面や知多半島・西浦方面にも宿泊者を分散することが容易になります。観客増加に加え、混雑が解消されるでしょう。

関東地方や東日本全域から鈴鹿サーキットや伊勢神宮へ行きやすくなります。

フェーズ4:東海道新幹線バイパス

次に、関西方面からのアクセスを強化します。

関西本線および草津線を標準軌に改軌(若しくは新幹線用線路を新設)します。これによって新幹線の運行を可能にし、東海道新幹線の一部を東京発・中部空港経由・京都行き、新大阪行きとします。

空港のない京都、滋賀、奈良と中部空港が直結します。

現在、京都からは「はるか」で関空へ行くルートで空港と結ばれています。京都から中部空港までは直線距離で約95kmと関空より10kmほど遠いです。しかし、京都から中部空港へ行く場合、大阪や堺といった市街地を通らないいため、高速運転が可能となり、実際のところより速く到着できるのではないかと考えています。

ルートの代案として、線路を新設する場合は京都ー鈴鹿間は新名神高速道路沿いにルートを設置すると、ほぼ一直線に京都と空港が結ばれます。

ちなみに、国際線拡充の観点から、空港の名称は中部国際空港(セントレア)を改め、世界的スタンダードである都市名によるネーミングにするべきであると考えています。

名古屋に加えて、世界的な知名度のある京都と鈴鹿のゲートウェートと位置付けることで、英語名をNagoya-Kyoto-Suzuka International Airportと改名すべきです。

ドイツにはケルン・ボン空港やバーゼル・ミュールーズ・フライブルク空港など複数の都市名を含む空港の例があります。例えば、旅行サイトで「京都」と検索すると、中部空港がヒットするようになり、空港利用者の増加に直結すると考えています。

新幹線ができれば京都と空港は30分程度の所要時間となるので、京都の空港と名乗っても遜色ありません。

さて、私のこの提案は単に中部空港への空港アクセスを増強するだけではありません。北陸新幹線米原ルートの実現への道筋を作ることになります。

上記の東海道新幹線「中部空港経由バイパスルート」が完成することによって、ダイアの一部をこのルートに移管させることが可能となります。

結果、東海道新幹線名古屋・米原・京都・大阪間の運行頻度を減らせることになります。「中部空港経由バイパスルート」に東海道新幹線のダイアを移した分だけ、北陸新幹線がこの区間に乗り入れることができるでしょう。

北陸新幹線から名古屋へ行くルートも可能になるかもしれません。

北陸新幹線小浜・京都ルートでの大阪延伸よりも「中部空港経由バイパスルート」を建設する方が、経済的なメリットははるかに大きいでしょう。

フェーズ5:空港間連携+新太平洋国土軸+山陰新幹線


最後に、「中部空港経由バイパスルート」の将来性に関して考察しましょう。

東海道新幹線の羽田空港乗り入れは2010年ごろ、民主党政権下で検討されていました。もし今後、実現すれば中部と羽田が新幹線で直結し、悪天候の際のダイバートや空港間を跨いだ乗り継ぎが、ターミナル間を移動するような感覚で、可能になるかもしれません。

JR和歌山線やJR阪和線を活用し関空と中部空港を結ぶことができれば、関空・中部・羽田の3空港連携による実質世界最大級の巨大空港が誕生するかもしれない。

また四国や九州へと線路を延ばすことで、首都圏と九州•四国が結ばれ、人や貨物の輸送が容易になるだけでなく、災害時において山陽新幹線および山陽本線のバックアップとしての機能を果たすことができるでしょう。

また、中部空港から京都へ伸びる路線を福知山方面に延伸し、鳥取・米子・松江・益田を経由し福岡へ向かう「山陰新幹線」として整備すれば東京と山陰地方がほぼ最短ルートで結べるでしょう。

補足


さて、肝心なのは建設費はいくらかかるかという点。参考まで、以下の公共事業を紹介します。

  • 夢咲トンネル (沈埋トンネル)2.1km 片側二車線道路 1060億円 2009年竣工 水深約20m

  • フェーマルンベルトトンネル (ドイツ・デンマーク) (沈埋トンネル)18.1km 片側二車線道路+高速鉄道複線 約9800億円 2029年竣工予定 水深最大40m

  • 北陸新幹線 整備単価は 75.9 億円 /km であるが、用地費を除いた 路盤区間の工事単価は 55.1 億円 /km、橋梁区間(高架橋 含む)は 41.4 億円 /km、トンネル区間は 32.2 億円 /km

フェーズ1(新空港アクセス線)は約4.5km トンネル 水深は10m以下
フェーズ2(三遠アクセス線)は約33km 
フェーズ3(伊勢湾横断線)は約20km トンネル 水深は最大30m

ざっくり見積もると、

  • フェーズ1は夢咲トンネルの約2倍の長さ、水深は約半分、道路でなく鉄道インフラということを考えると2500-3000億円前後が妥当?

  • フェーズ2は新幹線2本に加え在来線2本。北陸新幹線の単価より高くなるため、3000-4500億程度だろうか

  • フェーズ3はフェーマルンベルトトンネルと同じ長さ、水深は10m浅め、鉄道線路4本を提案しているので幅は2/3、ヨーロッパと日本の労働賃金の差を考えると8000-9000億程度が妥当だろうか。

昨今の資源高騰を考えると、これ以上になるかもしれないが、フェーズ1-3の部分だけで、ざっくり見積もって1.5兆円以上の投資となるが、経済的・社会的なリターンをもたらしてくれるだろう。北陸新幹線のスキームを含めて検討すれば、決して悪い投資ではないと考えているが如何でしょうか。



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