見出し画像

【日記】歯医者はなぜ何度も通わないといけないのか

今日は歯医者に行った。
以前治療のため通院していた歯医者がなんとなくそりが合わず、そのまま自宅待機期間になって、行かなくなってしまっていたのだ。
なので一年以上ぶりの歯医者である。

私は歯医者に通うのが大の苦手だ。というか、歯医者に通うの得意な人なんていないだろう。やっぱりどうしても身構えてしまう。
いかにも削ってますよ!と言わんばかりの機械音も苦手だし、ずっと口を開け続けるのもしんどい。治療の途中で、自分の舌の位置がわからなくなる。
あとなんといっても、一度通いだしたら治療が終わるまで通いつづけなくてはいけないのも苦痛だ。ただえさえ苦手な場所なのに、毎週決まった時間に行かなければいけないなんて…。

そんな色んな不安を抱えていた私だったが、結論からいうと新しい歯医者は当たりだった。
そこは従業員全員が女性で、広い治療スペースで皆きびきび働いている活気の良い歯医者だった。けたたましい音の機械音がそこら中で鳴り響いている。
治療は中でもとりわけキビキビしている医師が担当してくれた。
レントゲンを撮って歯の状態を確認する。奥歯が染みると相談すると、どうやら親知らずが邪魔をしているようだった。
「どうする?親知らず抜いちゃう?」とまるで「コーヒー飲んでく?」みたいな軽快な言い方で聞かれた瞬間、ああ、このお医者さんに任せたい、と思った。

「治療は次回からにして、今日は歯石を取りましょう」とお医者さんが私の歯の隙間をゴリゴリ削り出した。
そういえば以前の歯医者は、歯石とりがやけに慎重だったのを思い出す。歯茎にスケーラーの先がチクッと引っかかるたびに「ごめんなさいねえ」と謝られていた。
私がそんなことを考えている間も、お医者さんは容赦なく削っていく。まるで、ガスコンロの固まった汚れをそぎ落とすみたいに歯石を取っていく。
もうめちゃめちゃに歯茎は痛いんだけど、「痛いです」とかいう間もなく削られる。そのうち痛みが気持ち良くなってきたぐらいだった。

歯石取りを終えてうがいをすると、陶器のように歯がツルツルになっていた。ずいぶん久しぶりの感覚だと思う。普段手が届かないところまでプロが掃除してくれたおかげだ。その間私は口をあんぐり開けたまま寝っ転がっていただけだ。

私は清々しい気持ちになりながら、ゆっくりと自転車を漕ぎ帰路に就いた。歯医者に行っただけなのに、ものすごい偉いことをしたような達成感がある。
歯がツルツルになり気分は晴れやかだったが、歯茎はじんじんと痛む。
歯石を溜めてしまっていた代償だからしょうがない。
そして来週からは虫歯の治療が始まることを思い出し、「全然偉くなんかないな」と自分をふがいなく思った。




この記事が参加している募集

#最近の学び

181,879件

読んでいただきありがとうございます。いいなと思ったらサポートしてもらえると、飛び上がって喜びます。 いただいたお金は書籍代として使い、マンガを描く肥やしになります。いつもみなさんありがとうございます!