ミャンマーにおける小売業の変化 Part1 〜ミャンマー人は国産が好き?外国産が好き?〜
こんにちは、Healthy Humanity Myanmar co.,Ltdです。
弊社はミャンマーにて現地人向けのモバイルコンテンツ(アプリ、ウェブ)を提供しています。
現地に進出している数少ないIT企業として、ミャンマーにおけるデータ関連の情報を主に発信していきます。
今回はミャンマー小売業の最近の動向をまとめて行きたいと思います。
先日、ミャンマーで小売・卸売業の外資100%が容認されることが発表されました。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30394020R10C18A5FF8000/)
これまで現地での商品の販売は代理店などを通してのみ行われておりましたが、今後は外国企業がミャンマーで自ら自社商品を販売できるようになります。(一部条件はありますが)
これは海外の企業からすると「進出しやすくなる」という点でメリットがあると思いますが、もちろん自社のみで展開する際にはデメリットもあり、1番気になる点だと「ミャンマー人消費者の理解(ニーズ)」を自社で探る必要があるというところだと思います。
そこでミャンマー人のニーズを探るという記事として、
Part1:ミャンマー人は国産が好き?外国産が好き?
Part2:オンラインショッピングの現状と可能性
上記の記事を2回に分けて書いていきたいと思います。
Part1となる今回の記事では、少し古いデータとなりますがデロイトトーマツ「ミャンマー消費者調査」(2016年9月)のデータを活用し、まとめていきたいと思います。
(https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/consumer-business/cp/jp-cp-ci2016mm1207.pdf)
用語の定義
飲料(アルコール以外)
果物・野菜ジュース、コーヒー飲料、茶飲料、清涼飲料
進出例:ポカリスウェット、カルピス、お〜いお茶等
菓子類
ビスケット、パン、チョコレート、焼き菓子
進出例:ポッキー、チョコパイ、キャラメルコーン、ハバネロ君、トップバリュー商品など
加工食品
朝食用シリアル、インスタントラーメン、イワシ缶詰
進出例:出前一丁、カップヌードル、エースコック(現地商品)など
パーソナルケア・衛生用品
入浴・シャワー用品、ヘアケア製品、洗濯用品、口内洗浄液、歯ブラシ、練り歯磨き
進出例:GATSUBYなど
家庭用電化製品(大型)
エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機
進出例:Panasonic、SONYなど
家庭用電化製品(小型)
アイロン、扇風機、ヘアドライヤー、電子レンジ、トースター
進出例:Panasonic、SONYなど
これから出てくる用語は上記を参考にしてください。
都市別のブランド選好
はじめにミャンマー人消費者の購買決定要因の一つとなる「ブランド選好(好み)」を都市別でみていきたいと思います。
上のグラフから気になる点としては、
■ 飲食については国産のものを好む人が多い
■ ヤンゴンはマンダレーと比較すると外国産のものを使う人が多い
■「加工食品」と「パーソナルケア・衛生用品」のカテゴリにおいては、ヤンゴンでは外国産の方が好まれている
■ 家庭用電化製品は95%以上が外国産を購入している
という4点です。
飲食において国産のものを選ぶ傾向が強いということは、デロイトの調査内にも記述があり、
一般的に、ミャンマーの消費者はなじみのある低価格帯のものを求めるため、国産品を好む傾向があるが、ここにも地域差が現れ始めている。例えば、モダントレードの店舗が市内各地で急速に発達する中、ヤンゴンの消費者は輸入ブランドに触れる機会が比較的多くなり、海外ブランドを好むようになってきている。一方で、マンダレーの消費者は、国産品を選ぶ傾向がいまだに強い。
との見解を述べています。
このヤンゴンとマンダレーの違いは非常に興味深く、好みの問題という可能性ももちろんありますが、マンダレーの消費者はまだ使ったことがない・食べたことがないだけという可能性も十分考えられます。
実際に数字として顕著に表れているのが「パーソナルケア・衛生用品」のカテゴリです。ヤンゴンとマンダレーでは比率がほぼ真逆となっているので、実際に使ってもらう機会、食べてもらう機会等を増やすことで今後ヤンゴン以外の地方の人々が外国産の食品、日用品を使う機会が増えてくると思われます。
世帯収入別の輸入品原産国の選好
次に、外国産のモノを購入する際に「どの国のモノを購入することが多いか」というところを世帯収入別でみていきたいと思います。
こちらのグラフから気になる点としては、
■ 家電以外ではどの世帯でもタイ産のものが好まれている
というところです。
こちらの結果は非常に驚きました。
個人的な思い込みではありますが「富裕層は日本製品を使っている」という認識を持っている方は少なくないのではないでしょうか。
僕自身はなんとなくこの思い込みがあったのですが、この調査の結果だけで見ると実際にはタイ産の商品がどの世帯からも好まれていることが多いようです。
理由に関してはこの調査の中では記述されていないので詳しくはわかりませんが、タイ産との違い(料金、味、そもそも商品数が多いなど)を調査すると興味深いデータが得られそうだと感じました。
日本製品の場合、車や家電は浸透しているものの、食品や生活用品レベルのものはまだあまり浸透していない印象です。
まとめ
ミャンマー人消費者の好み(国産 or 外国産)
→飲食に関してはまだ馴染みのある国産を好む人が多いが、外国産の商品が増えているヤンゴンでは外国産のモノを好む人が増えているので、
今後ヤンゴン以外の地方でも、外国産の消費が増える可能性がある。
世帯収入別の輸入品原産国の好み
→家電以外の、食品・日用品のカテゴリではどの世帯でもタイ産の商品を好んでいる人が多い。
おまけ
ミャンマー人消費者の話からは少しずれてしまいますが、先述した「小売・卸売業の外資100%容認」は、もちろんすでに進出している日系企業についても適用できることなので、
これまで代理店や合弁として展開していた企業も、自社のみでの展開が可能となります。
現時点ではイオンが単独での展開を図っているようです。
(http://myanmarjapon.com/newsdigest/2018/06/11-001839.php)
どちらにもメリットデメリットはありますが、他の企業のこのような動きにも今後注目していきたいです。
さいごに
長くなりましたがHealthy Humanity Myanmar co.,Ltdではミャンマー人向けのモバイルコンテンツを現地で展開しています。(現在約20万人ユーザー)
同時にそのユーザーを活用したミャンマーの市場調査サービス(オンライン・オフライン)も日系企業様向けに提供していますので、ミャンマー人の生活・興味関心や市場動向に興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください。
担当:村上雄太郎
yutaromurakami@hhmyanmar.com
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