ヤンゴン証券取引所上場第1号銘柄 First Myanmar Investment co.,Ltdの決算書からみる今後の方向性【ミャンマー市場調査】
こんにちは、Healthy Humanity Myanmar co.,Ltdです。
弊社はミャンマーにて現地人向けのモバイルコンテンツ(アプリ、ウェブ)を提供しています。
現地に進出している数少ないIT企業として、ミャンマーにおけるデータ関連の情報を主に発信していきます。
今回はFirst Myanmar Investment co.,Ltd(以下FMI)の2017年決算書から現状と今後の方向性を見ていきたいと思います。
FMIはヤンゴン証券取引所(ミャンマー)の上場第1号銘柄であり、主に金融・医療・不動産の3つの分野で事業を展開しております。
その中でも金融事業が大きな比率を占めており、ミャンマーでも有名なYoma Bankなどがその中にあたります。
2017年の売上とポイント
1円=12.4MMK(2018年5月25日)
2016-2017 Annual Reportより筆者作成
2017年は売上が130億円、純利益が12億円となっており共に前年比40%超えの大きな成長率となっています。
特にそれぞれの事業別で売上を見てみると、
金融事業が9割以上を占めていることがわかります。
ちなみに金融事業は売上が前年度比+53%で成長していて、FMIにとって今一番力を入れている事業ということができるでしょう。
そんなFMIの金融事業をもう少し詳しく見てみると、
①顧客に対する貸出金が増加
前年度と比べると、約470億チャット(約38億円)貸出金が増加しています。企業やその他銀行に貸している金額が増えたということなので、今後の収益を大きく見込めそうです。
②預金額の増加
2014年から2017年で預金額が287%の増加、前年比だと31%増加。
個人的な感覚ですが、「ミャンマーでは銀行口座を持っている人や企業はまだ少ない」という話をよく聞くのでこの結果には非常に驚きました。
ここでは口座開設数が増えているのか、1人あたりの預金金額が増えているのか定かではありませんが、預金額が増加すると銀行が貸出できる金額も増え、より企業や個人がお金を借りやすくなるのでFMIにとっても、国にとってもいい流れなのではないかと考えます。
また、売上の9%を占める医療事業でも売上ベースで前年比23%増加しており全体的に好調のようです。
今後の方向性
それぞれの事業別で今後の方向性が記載されていましたが、個人的に興味を1番ひかれたのは、既存の3事業に加え観光業への投資を本格的に初めていくということです。
以下、決算書から1部抜粋
"Looking into the future, we've also identified two other key sectors that will play an increasingly important role in our portfolio: tourism and infrastructure. Myanmar is quickly rising as a premier tourism destination, and its infrastructure needs are apparent. We have already begun implementing projects in these sectors and plan to make further investments as new opportunities arise."
"将来を見て、ポートフォリオの重要な役割を果たす2つの主要セクター、観光とインフラストラクチャーも確認しました。 ミャンマーはすばらしい観光地として急速に立ち上がっており、インフラのニーズは明らかです。 我々は既にこれらの分野でプロジェクトを実施し始めており、新たな機会が生まれるにつれてさらなる投資を計画している。"
"This restructuring will allow us to participate in a variety of tourism-related ventures while still maintaining an interest in the iconic ‘Balloons over Bagan’ business."
"この再編により、様々な観光関連のベンチャーに参加することができ、象徴的な「バルーンオーバ・バガン」事業への関心は依然として維持されています。"
"This new listco will focus on developing tourism related businesses in Myanmar with the aim of becoming the premier player in Myanmar’s tourism sector."
"この新しいリストコマーシャルは、ミャンマーの観光部門で最高の選手になることを目指して、ミャンマーの観光関連ビジネスの開発に焦点を当てます。"
もうすでに観光業のプロジェクトは始まっているようで、現時点ではバガンの気球事業にすでに出資していたり、カレン州にある宿泊施設などに興味を持っているようです。
ミャンマーでは現在観光省が2020年までに750万人の外国人観光客の誘客を目指し、国としても力を入れている産業だということがわかります。
それに加え、実はミャンマーにはリゾート地があったり、山や温泉、歴史や多様な文化があったりと観光資源がとても多い国なので、今後ビザ緩和やインフラ等の問題がしっかり整っていけば観光業が伸びていくことはほぼ間違いないと思われます。
既存事業である金融、医療、不動産もそうですが、国の発展に伴い大きく成長する産業で事業や投資を行なっている印象で、これから取り組んでいく観光事業も今後FMIの大きな収益源になるのではないでしょうか。
また、事業以外の取組みとしても
"As more international companies look to enter the Myanmar market, we will continue to look for partnership opportunities, and I believe we will remain the partner of choice for outstanding multinational corporations.
One of the reasons we are frequently chosen as a local partner is our commitment to transparency."
"国際企業がミャンマー市場に参入するようになるにつれて、引き続きパートナーシップの機会を模索し、優れた多国籍企業の選択肢のパートナーになると確信しています。
私たちが地元パートナーとして頻繁に選ばれる理由の一つは、透明性へのコミットメントです。"
海外企業とのパートナーシップや、企業の透明性を高めることに積極的なFMIは、今後グローバルへの展開を目指していたり外資と共に事業を行なっていきたいミャンマー企業にとってロールモデルのような存在になるのではないかと個人的には考えます。
非常に楽しみです。
さいごに
長くなりましたがHealthy Humanity Myanmar co.,Ltdではミャンマー人向けのモバイルコンテンツを現地で展開しています。(現在約20万人ユーザー)
同時にそのユーザーを活用したミャンマーの市場調査サービス(オンライン・オフライン)も日系企業様向けに提供していますので、ミャンマー人の生活・興味関心や市場動向に興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください。
担当:村上雄太郎
yutaromurakami@hhmyanmar.com
First Myanmar investment co.,Ltd Annual Report
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