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日記 2023年10月25日(水)〜10月27日(金)

10月25日(水)の日記

天気の良い日だ。週中日、体は疲れ始めるが家を出ると秋の空が清々しい。自然と心を通わせるのは健康だ。

太ったので最近また昼メシを抜いている。在宅のせいだコンニャロー。今年中に3キロ落とす目標。無理は祟るのでゆっくりやることにする。

来月にオンラインライブ開催を画策中。今年はソロで弾き語りを始めて15周年だというのに、周年らしいことができていない。楽しんでもらうには何をすればいいのか、それをずっと考えている。動き出さなければ始まらない。深海に生きる魚族のように自らが燃えなければ何処にも光はない(by明石海人)。何処にも光はないが僕は名前に光がある。自ら光るしかないのだ!

今日から寺地はるな「大人は泣かないと思っていた」を読み始める。連作短編だがそのストーリー自体だけでなく、読者に対する優しさが溢れている。優しすぎる気がするのは町田康を読んだあとだからか。

10月26日(木)の日記

通勤電車は無になって読書をし、たまに車窓を眺める。余計なことを考えずに小説の世界に浸っていたいと思う。

インフルエンザが流行っているようなので意思の結界を張る。「ウイルス入ってくんなよ!」

歌詞を書かなければと思うが脳が創作モードに切り替わらない。曲を聴きながら、いつものようにその世界に入り込んで。ハナモゲラの歌とリズムに心をリンクさせて、この曲は何を歌ってほしいのだろうと探っていく。この日は結局一行も書けなかった。いつだってこの繰り返しで、その時が来ればするするっと嘘のように言葉が溢れる。繰り返すことだ。

10月27日(金)の日記

朝の電車で寺地はるな「大人は泣かないと思っていた」の最終章、クライマックスに差し掛かった。涙もろい僕は最初っから泣く気がしていたが、鼻の奥がつんとするのを何度もこらえて我慢していた。電車の中だから。自分の部屋で読んでいたら大放水だったはずだ。あと少しで読了のところで時間が来てしまう。残りは帰りの電車にとっておく。

ようやく歌詞が生まれはじめた。するりと出てきたフレーズを足がかりに積み上げては壊す繰り返し。歌詞は自分の力で書き上げるというより「うまく掬い取る」感覚。いつもそう思う。漂う透明な言葉たちが待っているのを、耳を澄ませて歌詞取り網で。

永遠にも思えた一週間、お疲れ自分。帰りに「大人は泣かないと思っていた」読了。人は人と関わって人間だ。強さ弱さ、らしさや常識や普段僕らを縛っているさまざまのことを静かに厳しく見つめさせてくれる。そして優しく解きほぐすきっかけを与えてくれる小説だった。7編からなる連作小説で、僕が一番生き生きと読んだのは《妥当じゃない》という作品だった。「私があの人を気になっているのは好きだからじゃない、私にとって妥当だからだ」というある意味でこじらせた女性が主人公で、僕はこの本に出てくる登場人物の中でもっとも人間臭くて不器用で好きなキャラクターだった。そしてこの平野さんが他人とは思えなかった。僕だって(タイプは違えど)平野さんと同じように歪で、こじらせているはずだから。
僕にはこの本を薦めたい人の顔が思い浮かんでいた。

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