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電車の中での人間観察がやめられない①

かなり久しぶりに、電車の中でメイクをする人に遭遇した。

朝8時台、いつもより早い電車に乗れてちょっとした充実感を覚えたのも束の間、
前に座っていたお姉様が、
マスクから覗く目の周りを入念に「お絵描き」しているのが目に止まった。

一応ここで補足をしておくが、
目上の方を説明する時、
相手が男性だと「おじさま」だとしても、
女性の場合は「お姉様」と呼ぶようにしている。
今回の場合「おばあちゃま」というにはちょっと早いくらいの「お姉様」、
といえば大体の見た目年齢が伝わるだろうか。

大前提として電車でメイクをするなんて論外だと思うのだが、
久々に見た、しかもお姉様の想定される年齢に
相応しいとは思えない光景に悲しくなった。


顔の半分をマスクで覆う生活がデフォルトになってかれこれ1年半が過ぎた。
職業柄ノーメイクではいられないものの、
「マスクに着くから」と、ファンデーションは薄づきになり、
口紅なんてほとんど塗らなくなってしまった。

そんな中で、少しでも顔を整えようとする
「美意識」は天晴れだとも思うが、
電車の中という公共の場でするメイクには、
果たして「美意識がある」と言えるのだろうか。

もし仮にメイクをする暇もなく家を飛び出して来てしまったのなら、
いっそのこと、年齢を重ねたありのままの姿で堂々としていた方がよっぽどかっこいいのではないだろうか。

ここまでいろいろ考えてみて、
ふと、自分が寝坊した時の事を思い出した。

私のポリシーとして、
必要最低限のメイクは家でしてから出かけるが、
髪の毛は後回しにしがちだ。
加えて、ちょっとしたヘアアレンジなら、
ノールックで出来る。

実際に、髪の毛のセットを家でする余裕がなく、
飛び乗った電車の中でいそいそとまとめる事が度々ある。
あれももしかしたら、周りの乗客からしたら迷惑だったのかもしれない。

自分の行動を反省しつつ、
完成させた仮面を被って平然と
電車を降りてゆく「お姉様」を静かに見届けた。

どうか、約束の時間に間に合いますように。

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