見出し画像

読書感想文④「ムダなことなどひとつもない」天台宗大阿闍梨 酒井雄哉

自分は何か嫌なことがあったり悩んだりすると救いを求めて本を読んだりするんだが家にある本の中でわりと自分の心の支えになってる本である。
この本は芸人のチャンス大城さんがおススメしていたので読んでみようと思ってネットで買った。千日回峯行というめちゃくちゃきつい修行を2回達成した偉いお坊さんの本だから堅苦しい説教臭い本かなと思っていたが、全然そうじゃなくて元々この方はお坊さんになりたくてなったわけじゃないらしく自然な流れで縁が繋がってお坊さんになった人らしいのでなんというかお坊さんらしくないというかへんに偉ぶってる感じが無い。それで産まれてからお坊さんの世界に入るまで失敗と成功を繰り返してぐずぐず葛藤しているうちに40歳近くになっていて気がついたら自分にはなんにもない状態だったらしく、老後とかそんなことを考える余裕もない状況で「老後とかどうするの?」と人に聞かれたら「さてな・・死ぬときは死ぬよりしょうがないんじゃないの・・」とつかみどころがなかったと書いてあって、僕も似たような感じだから勝手に親近感を抱いて読めた。それで30代半ば頃から比叡山にちょいちょい行って37才でお師匠さんに出会ってお坊さんにしてもらいお坊さんの世界に入った時は「これを逃したら二度とチャンスがないんじゃないかな」と思っていたらしいけど「なんでもよかったんだよ。お坊さんであろうが、なんであろうが自分がこれからやっていく何かに出会ったら、ほかのことをやっていたかもしれない」とも書いてある。これも共感出来る。なんでもいいんだよ一貫性がないように見えるけど、夢中になれればジャンルが違おうと・・内容としては主にこのお坊さんの考えが体験談から教えとして書かれていて読んでいるとなるほどなと納得したり勇気づけられたり勉強になる良書である。たとえば冒頭のほうの人生にムダなことなどひとつもないという話だと、若い頃大学の図書館の司書をやっていたけど図書館へ行くのが嫌になってその辺をうろうろしてるうちに金が無くなり、電車にも乗れなくなってしまった。家では仕事に行ってると思ってるから家に帰れないし他に行くとこもないから東京の街をとことことことこ毎日ぐるぐる歩いていた。するとだんだんその場所の空気が分かってきたんだ。ぐるぐるぐるぐる東京の街を歩き回ってるうちに、いろんなものを眺めながら歩く癖がついたから歩くことで一冊の本を読まなくてもいろいろなこと教えてもらえる状態になったんだ。ほかの人から見たら「なにばかなことやってるんだろう」と思うだろうな でも本人からしたらしょうがなくやっていたことだからね、それから20年後、まさか自分が京都の街を歩きだすことになるとは、その時は思ってもなかったしね。※千日回峯行は約4万キロ歩く
だけど行を始めて歩いていくうちに「どっかでこの雰囲気味わったなあ」
「そうだ東京でうろうろしていた時はこんなような感覚だったな
」と思い出したんだ。あの時東京をうろうろしていたこともムダじゃなったということになってちゃんと行に生きているんだ。だから人間が行うことはすべてどこかへつながっていて人生にムダなことなんてひとつもないんじゃないかな。と要約して書いたがそんなようなことが書かれていてなるほどなぁと納得した。俺も今までなにやってたんだろう?と過去を後悔することが沢山あるけど、もしかしたらすべて何かにつながってるんじゃないかと思えると勇気が湧いてくる。他にもそういう教訓になるようなことが沢山書かれているので人生に行き詰まってる人や悩んでる人にはお勧めの本だと思います。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,685件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?