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トピックス(小説・作品)

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素敵なクリエイターさんたちのノート(小説・作品)をまとめています。
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2021年3月の記事一覧

「怖がらず、自分を壊す勇気を持って」 ライター 浅田よわ美さんに聞く、独立初期の苦労の乗り越え方

「新しいメディアでのお仕事が決まりました!」 「紙媒体で執筆することになりました!」 そんな言葉をSNSで見かけるたびに、焦燥感に駆られます。 フリーライターになって8ヶ月が経った今、同時期にライターになった方々が、活躍の場を広げていくのを目にするようになりました。それに引き換え、私は......。 あれ、なんでみんな、こんなにイキイキと働いているように見えるんだろう。 執筆しているメディアの編集担当、浅田よわ美さんもそのひとりでした。様々なメディアでインタビュー記事を

短編小説 「グレイとの恋」 #5

悟が目を開けると、エリと慎也が心配そうに覗き込んでいる。 「車は!」悟が思わず叫んだ。 「落ち着けって。もう、大丈夫だ」 辺りを見回すと、そこは高架下の土手だった。悟は慎也の言葉に安堵し胸を撫で下ろすが、エリが使った〈超能力〉を思い出し、恐る恐る彼女を見た。 「あれ…君がやったの?」 グレイは困った表情で頷いた。 「いや、マジすげーよな!知ってはいたけど、初めて見たわ! なっ!」と喋り辛そうな悟を気づかい、慎也が先に口を開いた。 喋りや行動はぶっきらぼうだが、慎也

短編小説 「グレイとの恋」 #4

グレイの両親は犯罪者で罪を償う為にこの星に送られてきた。地球に生まれたというだけで、迫害を受けてきた。お金の為、商品としてガチャの会社との契約をさせられた。ガチャの商品として他の人の所へ行くことが人身売買の隠れ蓑になっている。本来は別の人のガチャに引き当てられるはずが手違いで、主人公の元へときたのだ。 三人が路地を走っている。エリと慎也が先を行き、悟は息を切らせながら、二人に懇願した。 「待ってよ、無理だよ。もう体力が…」 背後からは黒のセダンに乗った関口と水木が追って

短編小説 「グレイとの恋」 #3

「突然の訪問すみません。私、マジカルアイドルズ運営の関口と申します」と、見た目の厳つさからはかけ離れた物腰の柔らかい口調で関口と名乗る男が話始めた。 「先程のレアガチャでエリが当選し、お宅に送信されたの思うのですが、大変申し訳ございません。こちらの不手際で手違いがございまして…」 悟は真也と顔を見合せ、戸惑った。 「手違い…ですか?」 「はい。お客様がガチャを行った際にサーバーの故障が起きて、当選確率に変動が起きてしまいまして。その、大変申し訳無いのですが、今回、エリの

短編小説 「グレイとの恋」 #2

突如、スマホから現れた美女は戸惑い、辺りをキョロキョロ見回した後、恥ずかしいそうに悟を見つめた。 「あ、あの。はじめまして」 「え、あ、はじめまして…」 異星人、伊崎エリと紹介文にあった女性の美しさに見とれる悟だが、我に返り、「って、いやいや、よく出来たホログラムだなぁ」と言いながら、エリの胸付近に触れた。しかし、そこには柔らかなハッキリとした感触がある。 エリは恥ずかしさで真っ赤になった顔で悟をみつめ、「あの…いきなりそういうのはちょっと…」と呟いた。 慌てて後退る

短編小説 「グレイとの恋」 #1

「どうやら、目の前のこの美少女は異星人らしい」 男はずり落ちそうになった眼鏡を直し、目の前に突如現れた女性を呆然と見つめた。 この世界に異星人が現れて、早数十年が経とうとしている。侵略する訳でもなく、彼らは友好的に現れた。友好的とは言え、彼らはその異形から中々受け入れられる事が難しかったが、変身する<能力>を使い、人間の容姿を真似た事で次第に社会へと溶け込んいった。やがて、人類は彼らの<能力>でそれまで以上に発展していった。中には正体を明かし<能力>を使う事で各分野でスタ

ばれ☆おど!㉞

 第34話 通じ合う二人  そこに現れたのは、緑子であった。  彼女の灰色の瞳は閉じられている。  そして、ボウガンの引き金には、彼女の細く、しなやかな指が、緊張が解ける時を待っていた。  メデューサは狼狽し、命乞いする。 「え? ……ま、待って! 降参するから撃たないでちょうだい。お願いよ」 「じゃあ、人質と動物たちを解放してもらうわよ」  メデューサは黙り込んでしまう。 「……………………」 「どうなの? 私は本気よ」 「え~~。それはダメ~~。今度はこっちの

ばれ☆おど!㉝

 第33話 隠された切り札  災難とは突然やってくるものだ。  事前に予測できるなら、対処のしようもあろう。だが、多くは往々にして予測し難い。  カン太は、シータとの会話が弾み、人心地ついたところだった。  だが、突然、背筋に冷たいものが走る。そして、背後から、すさまじい気配がした。  カン太は思う。 (これは、……殺気?)  後ろを振り返る。  いや、振り返ることは叶わなかった。何者かが、カン太の首に手をまわし、締め上げてくる。  カン太は気が遠くなってくる。声も出

ばれ☆おど!㉜

   第32話 秘奥義〝カン太の拳〟  一方、裏側の入り口から侵入したカン太たちはというと――  金髪ツインテールのアイリ、銀髪ツインテールの緑子、シータを抱いたカン太が突入の構えを見せていた。  しかし反対側と同様に、こちら側の見張りの黒服も〝ウージー〟で武装していて、厄介で危険な展開が予想された。  いきなりアイリは黒服に声をかける。 「おい! そこの黒服! 真面目に仕事してるな。感心だ。あ、お前ちょっとカッコいいぞ。その銃。似合うな」 「そうかな? やっぱり? 

ばれ☆おど!㉛

   第31話 うるみの身体検査?!  車から降りてきたのは、樹里だけではない。  反対側の後部座席から、身なりの良い一人の紳士が下りてきた。片手には大きなスーツケースが握られている。  中身は一億円の現金。  彼は深牧家の当主、舜命(しゅんめい)である。外務省勤務の腕利き外交官であり、樹里の良き父親でもある。そして、競走馬を何頭も所有する、有名な馬主の一人だ。    運転手を残し、二人は車から降りてから、ある方向を睨みながら歩きだす。電話の相手の指示に従っているの

ばれ☆おど!㉚

 第30話 スポンサー確定?! 「運転手さん、もっと、とばして!」  アイリの小気味よく弾んだ声がひびく。  夢の中にいるカン太。そして彼らを乗せた車は北に向かっていた。  国道17号線から18号に入り、軽井沢方面へ。  追跡用の発信機で、樹里を乗せた車の位置はわかっている。山間の蛇のようにうねる道に入ると、ガラガラだ。  ハイペースで追いあげる。やがて樹里を乗せた車が先の方にチラッとみえた。 「あれね! やっと追いついたわ」 と声を張りあげるアイリに源二が答える。 「

パステルカラーの恋 16 最終話

1話から読む 15話に戻る  昨夜、久しぶりに美和からメールが届いて、居ても立っても居られなくなった私は、今日の診察を終了するとタクシーで駅に向かった。  松葉杖は片手で使うクラッチ杖というタイプの物に変わり、少し慣れる必要はあるが、動きやすく、多少は身軽になった気がする。  怪我の具合もかなり良くなって来た。ここ数日発熱して寝込んでいたのだが、それも治り体調は格段に回復していた。  電車に揺られ、美和の住む街にたどり着いた時には、すっかり夕暮れが近付いていた。クリスマス

パステルカラーの恋 15

1話から読む 14話に戻る  さくらから退院したという嬉しいお知らせのメールはちゃんと届いていて、わたしは密かに喜びの涙を流した。けれどもそのメールに対しての返信をわたしは打てずにいた。メールでやり取りをすれば、またすぐに会いたくなるのは火を見るよりも明らかだ。メールや電話だけして会わない、なんてそんな器用なまねを、わたしには出来そうもなかった。  無視する訳ではないが連絡だけを受け取り、胸の中で良かったと呟くのみで収めていた。このわたしの行動はわたし自身も辛かったけ

パステルカラーの恋 14

1話から読む 13話に戻る  長くて辛い入院生活も後少しだ。このところ私は毎日リハビリに励んでいる。  師走に入り、気が付けばもう年の瀬がすぐそこに迫って来ている。焦りはするがひたすら耐えて、私は小山医師を驚愕させる程のスピードで日に日に回復して行った。来週には退院出来ますね、医師からそんな言葉を聞いた時、人知れず目頭を滲ませてしまった。  早く美和に連絡をという想いでいっぱいなのだが、眼の調子があまり良くなくて、パソコンやテレビ、ましてやスマホなどが禁止されている。病院