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トピックス(小説・作品)

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素敵なクリエイターさんたちのノート(小説・作品)をまとめています。
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2020年1月の記事一覧

ばれ☆おど!㉖

 第26話 新たなる刺客  樹里の急用のため、深牧邸を後にするカン太と緑子であった。  駅前のショッピングモールに入る――。  それまで、ずっと沈黙していた緑子が、皮肉混じりに言った。 「カン太。あんた、ロリッ子に大人気だったわね」 「そうかな? 別にふつうじゃなかった?」 「まあ、いいわ。でも気をつけなさいよね」 「ん? 何に気を付けるのさ?」  緑子の顔には〝氷の微笑〟が浮かんでいた。 「ちょっとでも、あんたが変なそぶりを見せたら、こうするのよ」  そういうやい

ばれ☆おど!㉕

 第25話 ロリっ娘は御執心  樹里は、制服の上着を脱ぎ、リボンを外す。  ブラウスのボタンに手をかけると、彼女の細くてしなやかな指が動き、上から順番に一つ一つ外れていく。  その白い肌は息をのむほどのまぶしさで、艶かしさ、というよりも神々しさを感じてしまう。  ブラウスを脱ぐと、くるっと後ろを向いた。  天上の光を思い浮かべるほどの白い素肌だが――  腰の部分には気味の悪い刺青が入っていた。  一転して、彼女の肌のまぶしさと対をなして、浮かび上がる呪術を感じさせる紋様

ばれ☆おど!㉔

 第24話 ハーレムへご招待?  ……(警察の発表では、昨日の深夜、何者かが、NOTE動物園に忍び込み、白くま一頭を連れ去った模様です。動物園の職員の話では、見かけたら、近寄らず、最寄りの警察署に連絡を入れて欲しいとのことです。川辺などを中心に捜索していますが、未だ、その消息は不明です。現場からは以上です)……  長身のイケメン藤原大福丸は部室のテレビのリモコンを手にとると、電源をオフにした。 「……部長、それにしても怖いですね。最近ちょっと多くないですか? サーカスから

ばれ☆おど!㉓

 第五章 歌う猛獣使い  第23話 謎の美少女  雀ヶ谷南高校の名を一躍有名にした〝動物愛護部〟――校内の生徒はもちろん地元でもその功績を称える人々で溢れていた。  それもそのはずである。  ごく普通の高校生といえば語弊があるが、高校生が国際的な組織に挑んで壊滅とまではいかないにしても、かなりのダメージを与え、国際社会に貢献したのだ。当然の帰結といえよう。  だが、それを快く思わない者もいないわけではない――。 「アイツら! 余裕ぶっこきやがって!」  そいつは、その

ばれ☆おど!㉒

 第22話 ヒーロー誕生の軌跡  ドゴン、ガコン、ドドドドドドドドド、ガガ、ゴン、ゴゴン  その音は施設の入り口を破壊している建設用の重機の音であった。みるみるうちに、大きな穴ができていく。  その破壊された入り口から、巨大なショベルカーが入ってきた。驚くのも束の間、そいつは十数メートルはあるアームを自在に動かして、地階への階段をふさいでいる瓦礫を撤去し始める。  ウイーン、ガガガガーガ、ガガ  ガガガ、ウイーン、ガガガガ……  その重機のアームは、まるで何かの生き物

ばれ☆おど!㉑

 第21話 消えたスペクター  うるみと源二は、新聞部副部長である藤原のボディーガードとして、地階への階段を降りていった。  階段を降りると、正面にドアがある。  うるみはノブをそっと回して、少しだけ開いた隙間から中の様子をうかがった。 「中には三人いるわ。みんなでお酒を飲んで騒いでいるみたい」  うるみがそう囁くと、源二は声のトーンを落として答える。 「よし、三人が一箇所に固まっているのは都合がいいな。一気に決着をつける」  源二はそっとドアを開けて、室内に入ると、

考えるより 感じろ!

書類整理をしていたら、去年12月に訪れた埼玉県立近代美術館<ニューヨーク・アートシーン>の作品リストが出てきました。 その空きスペースに汚い字で “ロスコの言葉” と自分の走り書きを発見! 去年パリで購入した手帳-Paroles D’artiste 2020-を使用するようになってから、芸術家の言葉に興味が湧いているので メモを読み返してみました。 「画家の仕事は、時間の中を点から点へと動きながら、たえず明晰さへと移動していく。 画家と観念、そして観念と観察者の間に横たわ

〜 Neo-Impressionism 新印象主義の話 〜

≪ パリ滞在記・その31 ≫  〜Musée d’Orsay オルセー美術館・② 〜 オルセー美術館の訪問1日目は「まず5階!」へ。 最初に出会った絵画は、シニャック そしてスーラでした。 昨年 縁があって、新印象主義やシニャックについて書かれた文章をいくつか読んでいたので、いきなりの出会いに驚き感激しました。 私は新印象派の画家たちの作品に魅かれます。 展示室に入って、輝く色彩で溢れそうな画面を見つけると、優しく穏やかな気持ちになれるからです。 しかし、構築的で

オルセー美術館で再会

≪ パリ滞在記・その30 ≫  〜Musée d’Orsay オルセー美術館・① 〜 今回の旅行で最初に訪れた美術館はオルセー。そして旅の中盤にも再度訪問しました。 あの場所を回想し始めると激しい興奮に見舞われ、帰国した今も 何をどのように書けば良いのか… 。迷っている間に他の美術館について先に投稿していた次第です。 とにかく凄かったです! 日本の大型美術展であれば数十万人の観客を呼ぶことができる(⁈)目玉級の作品が、あちこちに展示されており、私はオロオロするばかり

光の花束が降りそそぐ夢の世界

≪ パリ滞在記・その29 ≫  〜Palais Garnier オペラ座(パレ・ガルニエ)・② 〜 オペラ座の大階段を上がり 最初に立ち入ったのは 鏡に囲まれた小さなスペース。 オレンジ色の柔らかな照明が鏡に映り、見つめる先に永遠に小部屋が続いているような不思議な錯覚を覚えます。妖しい世界につながる秘密の入口でしょうか☺️。 そこを抜けると現れたのは大きなロビー<グラン・フォワイエ>、煌びやか✨ ヴェルサイユ宮殿の鏡の間を思い出しますが、面積が狭いぶんだけ、余計に

モンマルトルから旅に出る

≪ パリ滞在記・その27 ≫  〜Musée de Montmartre モンマルトル美術館・③ 〜 さていよいよ美術館のコレクション展です。 展示されている資料の写真や、作品から19世紀末当時のモンマルトルの様子がわかります。 キャバレーのためにロートレックやスタンランが描いたポスター。 キャバレーで上演されていた影絵芝居に使われた亜鉛板。 「ムーラン・ルージュ」で大流行していたフレンチ・カンカンに関係した作品やビデオ上映など。 とても楽しいのです。 また、か

ルノワールの庭で空中浮遊

≪ パリ滞在記・その26 ≫  〜Musée de Montmartre モンマルトル美術館・② 〜 アトリエを後にして “ルノワールの庭” に出ました。 1875年から1877年までこの敷地に住み、『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』や『ブランコ』を描いたルノワール。この中庭に立つと彼の作品の中に入り込んだような気分になれます。 緑色のベンチに座って一枚、 ブランコに乗って一枚、と写真をとりました。モデル気取りで…💦 植物に詳しくないので「紫陽花に似てる!」「アーモ

画家 ユトリロとヴァラドンという女性

≪ パリ滞在記・その25 ≫  〜Musée de Montmartre モンマルトル美術館・① 〜 別行動をしていた旅のパートナーが「新しい発見が満載の場所あり!」と興奮して戻ってきました。そこはモンマルトル美術館。 うっ💦サクレ・クール聖堂の帰りに立ち寄ればよかった…。 行きたい!どうしても行きたい!!、と3日後に再びモンマルトルの丘に向かいました。 19世紀から20世紀にかけてモンマルトルを活動の拠点にした芸術家は多く、美術館に向かう途中にもその名残りを見ること

ルーブル美術館でオペラ⁈

≪ パリ滞在記・その28 ≫  〜Palais Garnier オペラ座(パレ・ガルニエ)・① 〜 シャガールが描いた天井画を見るために、オペラ座(パレ・ガルニエ)に行ってきました。 16日前 空港からバスでパリに到着し、最初の記念撮影はこの建物の前でした。 後で写真を見ると、期せずして 設計者のガルニエ像が撮れていました ✌︎ 「やっと来ましたよ!」と、荘厳な建物にご挨拶。 正面ファザードの上部<ACADÉMIE NATIONALE DE MUSIQUE>の文字の下