「黄泉比良坂にて」 #08
「どれぐらいいるの?」
「とにかくたくさん」
「だから、どれぐらい?」
「三十はいる」
「あたしたちが通れないぐらい?」
「だろうな」
「本当に?」
西川原は強い口調で念を押す。おれが立っている位置から階段までは十メートルほどだろうか。階段のまわりを地蔵が取り囲んでいて、そのあいだを通れるような感じはしない。いつの間にか、西川原はおれとぴったり背中をつけていた。
「ごめん、変なことに巻き込んで」と西川原は言った。「教室で、父がここで死んだ、って話、したでしょう」
「あれは、