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MCCS -大規模犯罪対策室-

Case1. 刑事と魔女見習い、出会う

 発達した科学は魔法みたいなもんだと大昔の作家が書いてたのをどこかで見た覚えがある。

 それはアーコロジーや仮想現実だサイバネだのアンドロイドにクローン技術まであるこの御時世には大当たりの文言だと今更ながら俺は感じるね。

 だから誰か俺に目の前で起きてる現象の科学的な説明をしてくれないか。

「――いい加減死ねよお前ェ!!」

「貴女こそしつこいんですよ私の邪魔ばかりして!」

 なんで通報を受けた現場で、女の子二人が物騒な武器を振り回して殺し合いをしてるんだ。

「ったくなんなんだこれ……!」

 俺は今二人の争いの余波で滅茶苦茶になっていく公園内を必死に逃げ回ってる。女の子の片方は禍々しい大剣を何本も空中から取り出しては振り回し、もう片方は透明で光ってる鞭を振り回しながら冗談みたいにでかい犬を何頭も従えて戦ってる状況だ。

 何年も刑事をやっていた俺にしてもこんな事態に出会うのは初めてで、もうどうすりゃいいのやら。

「まじうぜェ! もうまとめて全部ぶった斬ってやるッ!!」

 瞬間、大剣を振り回してた女の子が取り出した剣を一纏めにしてビルみたいなサイズした後、横薙ぎしたのが俺の視界に飛び込んできた。

(死んだなこれ……エリシアすまない……アリア、俺も今そっちに)

 諦め、襲ってくる死の風圧を前に俺は目を閉じて衝撃に備えた。せめて最後は大事な家族の姿を思い浮かべながら死にたかったからだ。

 だが。

「――ん……あれ? いき……てる……?」

 いつまで経っても衝撃が襲ってこないのが不思議になった俺は、再び目を開けて現実を見ようとした。

「大丈夫ですかコールソン刑事! ここからは魔女見習いのリリィにおまかせを!」

 そうしたらバカでかい大剣を無数の花びらに変えて消し去る、雪みたいに綺麗な女の子が立っていたなんて信じられるか?

 すでに常識が通用しない事態だらけの中で、俺はただ一言発する他なかった。

「……誰?」

【続く!】

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