適応しすぎた先に待っているのは・・・
今日ふと考えたことがあるので、書きます!!
“特殊化”した我が社のシステム
皆さんも名著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫・戸部良一ほか)』をお読みになったことがあると思うのですけど、その中で「恐竜がなぜ絶滅したのか」に関する一説を用いて、組織論について論じられている部分があるのですけど…(以下引用)
恐竜がなぜ絶滅したかの説明の一つに、恐竜は中生代のマツ、スギ、ソテツなどの裸子植物を食べるために機能的にも形態的にも徹底的に適応したが、適応しすぎて特殊化し、ちょっとした気候、水陸の分布、食物の変化に再適応できなかった、というのがある。つまり、「適応は適応能力を締め出す(adaptation precludes adaptability)」とするのである。
僕が強調したいのは
適応しすぎて特殊化し(中略)変化に再適応できなかった
まさにここですね。
で、なにがどう我が社の業務と関係があるのか。というところなんですけど。。。
我が社、火葬場という非常に特殊な環境の中で、神聖ないわば“儀式”のお手伝いをさせて頂いているわけですが、実は裏では相当なテクノロジーを駆使しながら業務を行っているのです。
例えばお客様の案内・誘導については、刻一刻と変化する待合室の利用状況をみながら次の案内をいかに効率よくしていくのか、火葬業務については、火葬時間の管理からご収骨のご案内に至るまで、スマホや無線機を使いながら行っていて、さらに火葬炉や式場の予約システムについては、ホテルの予約に匹敵する(いや、むしろ上回る)システムを導入しており、ペーパーレスでしかも重複予約が起きえないようになっている、という。
他にも精算システムやデジタルサイネージ、レーザー彫刻機まで備えてます。
(↑ちょっと自慢というかアピール入ってますがw、本当にビックリするようなオペレーションを行っているのです。)
便利さゆえに、システム依存が進行することによる弊害
こんなシステムが、我が社の特殊な業務オペレーションに対応しすぎてしまった為に、つまり、完全オーダーメイドで最適化されたすばらしいシステムを構築したが為に、気付いたら様々な制約が課せられていた。いや、自ら課していた。と思うようになったのです。
どういうことか。
一例を挙げると、社員が自ら考え、仕事をよりよくする為のクリエイション(創造すること)を怠るようになった。ということでしょうか。
なんでもかんでもシステムが自分たちの仕事をある意味“ラク”にしてくれるもんだから、その結果、自分たちがすべきことをシステムにどうサポートしてもらおうか。と考える前に、「システムでなんとかできんじゃねぇか!?」という発想になってしまい、本来のシステム導入の目的がすっ飛んでいってしまうのです。
つまり、システムが稼働する範囲の中でしか自らの行動(仕事)を定義できなくなってしまっており、そこに何かしらの創造性を用いて課題解決するような姿勢が失われつつあるのです。
さらに問題は、システム開発要望に関わるメンバーが限られており、また入れ替わることもない環境なので、僕を含めてこのメンバーの創造力を超える発想がなかなか芽生えてこないのです。
適応しすぎた先に待っているのは、明るい未来か?それとも・・・
何かミスが起こる。それを防ぐ為のシステム改修を行う。また違うミスが起こる。また改修する・・・
まさにこれの繰り返しによって、より最適化されたシステムへと日々進化していくわけですが、一方で、様々な機能に制約をかけているというトレードオフが水面下で起きており、失っていく機能もあるわけなのです。
本来柔軟性や弾力性、緩衝性によって非常にゆるやかな機能を有していたはずが、あれも予防しなきゃこれも予防しなきゃで見る見るうちに目の細かい網を張るようになり、気が付いたら網をかい潜れるものが無くなってしまった。
なんてことが色々な場面であるのではないでしょうか。
冒頭の恐竜の進化の過程にもあるように、環境に適応していくことによって享受されるメリットも大いにあると思いますが、一方で、失うものも多くあるということは窮地の事実なのではないでしょうか。
僕は現状を踏まえると、もう少し人間が考えて、たまに失敗しちゃうくらいのシステムの方が面白いななんて思ってたりしているわけで。w
お金の計算間違えたり、我が社の場合は故人とその家族に迷惑がかかるようなことは絶対ダメ!な雰囲気はあるのですが。。
でもほんと「失敗は許されないんだ!!」みたいな、なんかそういうマインドセットに陥れば陥るほどかえってミスが生まれたり、人が機械的になっていくような気がしています。
何かやっちまったら「ごめんなさいね〜」くらいの感じでお互い付き合えるような、そんな商売だったり取引だったり業務運営だったり。
なんといっても人間らしく生活したいなと思うのは僕だけでしょうかね。w
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